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{引用= ビニル箱がバイオレットに並び・はや私は夜に気づく
(高円寺南三丁目の夜)
バイオレットにビニル箱が廻り・はや私は夜に気づく
(水晶体の所有する夜)
ビニル箱 ....
割れた瓶から
歌が こぼれた
はてしない青をうつし
暗闇をふたつに切り裂く
ひとつの歌が今こぼれた
まだ名前はついていない
言葉さえ、まだ追いつけない
....
蓬色の夜、
つぶれた{ルビ褥=しとね}に居て
夥しい数の接続詞らが
わたしの躰の至るところで
いっせいに哄笑をはじめたので
何か 訳のわからない一塊の
....
赤銅色の振り子の
陰にかくれ 笹船をほどいた
幼い女児の はにかんだかなしみ
そのときも わたしはうずくまっていた
わたしは なにかをかぞえていた
夕焼けのう ....
夜の芝生で
いるかは一度だけ跳ねた
手に拾えそうなほどの光が今日、
とおくの月やら星やら町やら、そんなものから
迷いこんできていたから、けれども
そのなかを泳 ....
女は戯画のなかのインディアンみたいな出で立ちをして
紙紐を使って ベッドに男の四肢を括り付けていた
人工の冷めた光は磨りガラスの窓を白く染め
取れかけた口紅を不気味に照ら ....
頭の中に
一匹の犬が眠っている
擦れてしまって読みとれない
古い名札のついた小屋で
静脈のほそい暗がりを
血液がそっと滑ってゆく
夜、
....
ひだまりのなかで
かなわない夢をかぞえて
暮らしたいのです
ねむたくなるくらい
語りあって、
愛しあって、
傷つけあって、
....
あなたの狭い部屋の
ヤニ臭いキスと
ヤニ臭い枕
抱きしめられるたび
ごんごんと揺れる古いギター
それは嫌い
私のしかめ面に
気づかない ....