すべてのおすすめ
どこから なみうちぎわに きたのか
あなたに てを ひかれてきたような
みぎてに ほんのり のこった じわっとしたかんじ
しろいあわにくるんで ひいて
ずっとちへいせんの むこうま ....
夜半から降り出した雨は
追いつけなかった枕を飲み込み
昨日までの湿度は
情に包まれた朝に変わる
取り付いた島には
虫たちの生活は無く
子供たちが響きあいなが ....
華を咲かせた
スケレトネマが
珪素の骨を
みごとに咲かせた
小さい自分を笑い飛ばしたくて
いつもの場所 いつもの格好
首をガクリと落とした
そう いつもの暗澹な自分の出来上がり
そうしたら お前さんが見えたんだ
いつもの場所 いつもの格好
首を ....
足音 は
ほっておくとどんどん先に進んで
呼び止められると不満を洩らす
体 は
手足を動かすことに夢中で
なにを訊かれても聞こえないふりをする
心臓 は
なにかあるたびペースを乱して
....
境内の裏に入ると
空間を埋め尽くす
しなやかな竹林の足元を縫うように
白い石畳の道を辿る
少女は
ひしめきあう竹の頂を仰ぎ
さやぐ笹の葉の隙間の青をみつめ
木漏れ日を浴びる{ルビ女 ....
夏雲のひろがる街よ燃えあがる道路に赤き百日紅の散る
黙々と入道雲の空にたちのうぜんかずらの橙さえる
ここからは道の跡絶えて砂の海絶望までの足跡長し
....
ぼくは産道から生まれてきたことが
いやだった 仏陀のように
キリストのようにぼくは人と違って
生まれてきたかった あまりにも
人間が生々しすぎて 羊水だ ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
からみつくモップと
モップにまとわりつく繊維
群れの腕力
めぐる螺旋 もさり
ロッカーに寄りかかる背中を起こし
居残りモップの羅列
一列に廊下で ふさり 足を投げだして
月の孤独から ....
もうこれいじょう
なーんにもかんがえたくなかった
ところかまわず
からだをなげだして
やーめたっ
なげやりなこえでせんげんして
あとはどこかのだれかが
つづきをするなりちょきんときる ....
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わる ....
じゃんけん、
負けたからぼくが去ればいいの?
きみは勝ったのにどこかにいっちゃった
そういうのって、
最初に決めとけばよかったんだ
たぶん
ケンケンパーだったら
もっとちがったのかもしれ ....
ひろがる ながれつづける みらいのいなほ
はしりゆく かぜにここちよく ゆれる
すうぅっと みちはつづく いっぽんみち
わたしは だいたんにも
とてもせいじょうな きもちになって
....
プラムがとけてゆく
手のひら
手首に甘露
肘まで蛇行
頬をくすぐる
芳香する湿気の下流
踏み潰しても
てのひらに残る
両手を頭の上であわせて
踊る方のリズム
おい、しゃ ....
突然
写メールを送りつけてきて
おれの誕生祝いに
夫婦ふたりで
温泉に行くのだという。
ちょっと待てよと
息子としては思う。
おれの祝いなのに
なんで
昭和元年と
大正十四 ....
カラン カラン
げたが規則正しく音を作り出す
カラフルな浴衣
出店の匂いと客引きの声人々の熱気が空気から伝わってくる
見上げれば光の洪水と下弦の月
川の流れる音
風が高ぶった心と身を冷や ....
鏡の前 裸を睨む
其れが酷くガラクタに見え
頭は巨大なボルト
手足は伸び切ったワイヤーで
そこら中 錆だらけ
仕事で売るのは 己の時間
だけど 求められる このガラクタ
錆を抱い ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな
と
親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔
まだ見たことありません
のような午後の世界に
河川敷の花火
の音が聞こ ....
冷凍庫から取り出した氷の
溶けていく音が響いている
ちりちり ちりちり
静かな部屋に染み渡っている
窓の中では雲の
輪郭と輪郭とが
混ざり合いながら変化している
終わらない終われない ....
アタシ
女の子でよかった
こんな悲しい日でも
アタシのスカートはヒラヒラ詠う
こんな悲しい日でも
太陽が眩しいのと同じくらい
君に目が眩んで
他には何も見えてなかったの
....
交差点に立ちながら考えた
なぜ俺はここにいるのだろう
紺色の制服の中のそのまた中は
少しも変わっていないのに
化石となって考えた
風がひゅーひゅーなっていた
女子高生が華やかに通り ....
梅雨明けの午後3時、
高架化成った西武池袋線桜台駅。
昼飯食いそびれた背広姿のサラリーマン(俺)が
ベンチにて団子3串にかぶりつく。
頭ン中にはお気楽な音楽。
「カリフォルニア、 ....
数学者は
0より小さい100の存在について考えながら
歯を磨き
大学前の坂道を登り
故郷の母親に手紙を書きます
今日は
0より小さい100の存在を確認するため
のみ市で
中 ....
それは目に見えない
見えないけれどある
確かにある
見知らぬ場所をお散歩中に
見つけた空き家
ぼろぼろの屋根の下から
黒猫が四匹
わたしを見つめ鳴く
知らない庭の
知らない犬 ....
だれもいない台所でぼくは
ひとりおこわの田吾作弁当を
食べた SOGO地下食料品売り場で
買ってきてもらったものだ うまくも
まずくもなかった 見栄えはいいが
....
いつだって繋ぎ目は曖昧だから
継ぎ接ぎは空にだってある
雲の
折り重なった影を
届かないその曲線をなぞったりする
ほんの些細なことが
いつまでも尖って痛いので
繰り返す垣根の下り ....
今思えば
すべてのことは
半径二キロの輪の中で
起こっていた
その中は
やさしい
繭のなかのように
柔らかくて
はじめて刺繍糸を買いに行った日のこと
鮮やかに覚えてる
刺繍で風 ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
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