すべてのおすすめ
入り口は すぐに見つかった
もう何年も
ここでこうしています
と、いった具合の
あぐらをかいた白髭の老人から
地図を手渡される
地図はすべて
記号化されており
懐中電灯はな ....
空が笑ったら迎えにきて
そう言って
きみは去っていった
わかった
とぼくは言った
ぼくは
今もあの時のあの場所に立ち
一歩も踏み出せないまま
シャボン玉をとばしている
....
桜散るのは夕日の丘か
日暮れ近づく夕日の丘か
散りゆく桜は薄紅色
薄紅色の十二単
十二もまとった春の衣
一枚脱げば夏の予感
呼んでいるのは母の声か
遠い故郷の母 ....
1
縁側につるされた風鈴を
さやかに押すその御手
彼らは海峡をこえてゆく海鳥の
滑空する翼の先端に生まれ
たたみで昼寝をする私の
ほほをなでて死ぬ
2
二人 ....
今までにどれ位の人達が
私の前を通り過ぎて行っただろう
何かを与えてくれる者もいれば
何かを奪い去って行くだけの者もいた
でも今となってしまっては
そんなことはどうでもいいこと
さっさ ....
クローバーの海に沈みながら
流れてゆく雲を見た
雲がちぎれ また別の雲に繋がり 空の色に染まり 風に操られる
疲れ果て
クローバーの海に身を任せ
四葉を探すついでに
忘れていた涙を地球にあ ....
まぶたのうえから
なぞる
いたみを
きみは
またしらんぷり
くるしい
ことば
むねに
しずめて
ふりかえり
くちつぐみ
またあるいてゆく
いっぽん
す ....
どこに吹いているのだろう
どよめく風の中に
探し求めているものは
人からの毒をはらんだ風が
わたくしの肺に充満して
わたわたと苦しみ始めたのは
おこんじさんを初めて見たときだったか
....
空が群青を増す
黒い鳥の列は視界を横切り
どこかの汽笛をよそに
寝床に向かう
遠い汽笛、の中では
知らない誰かが
知らない誰かと
別れ、を歌っている
そこには色さえも、ない
....
痛いほど 靴紐ギュッて結んで
駆け上がってきたきた坂道
ふと見渡せば固く結んだ拳に
まだ何も無い事知ったんだ
それでも君が愛した景色は
誇り高く空は紫に色づいて
いつか あの空の様 ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
赤
夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく風景に溶ける
橙
”ちかみちはこっ ....
電話が鳴った
今日
肌身離さず持っていた
携帯電話が
いつもなら
部屋に放っておかれるはずの
携帯電話
今日は
大切な携帯電話
電話が鳴った
午後10時37分
着信音 ....
「チャンスはいつも平等に」
急行の止まらない駅でチャーリーはいつもつぶやく
いくつもの携帯電話の着信音が鳴り響く遺失物届所には、
いつまでも使われない傘と
これからも役に立た ....
泣いている
空があんまり綺麗だと言って
悔しいと一言吐き出して
絞り出された血がこの土に染み渡る
噛み砕いた錆色の土は毒の味
染み渡る毒が身の内を刺す
それでも声を上げるこ ....
過ぎてしまったことだけど
聞いてもいいかい
君にとって愛ってなに
僕にとって優しさってなに
微笑が愛を知る道しるべなら
君も僕も見落としたね
涙は悲しみの印だけど
君も僕 ....
僕は君を諦めてしまった
諦めなかったら
同じことだろうね
君が離れて行っただろう
思い通りに行かなくて
願ったように進まなくて
君はイライラしてきた
僕は自分の中 ....
14:34発
皐月のシャツ着た
ゆふいんの森5号
水平線を描く
電線を
斜め下から
追ってゆく
風景も
ゆったりと
融けて
車窓の後ろへと
帯びてゆく
電車の中は
か ....
花のようにいつでも
あなたと笑いあっていた
悲しい出来事も
寂しい出来事も
あなたに会えば 全て
涙で流してしまえる
そんな風にいつも 私達は
花のようにいつも 貴女 ....
広さ8帖の部屋の隅にある
広さ2帖のクローゼットの中に
ボクは丸まった
何も考えずに
ただ
せまっ苦しい
真っ暗闇の中で
ボクは丸まった
誰にも見つからない場所
誰も探さない場所
....
蕩児はついに帰らない
粗暴な海にうまれた いきものの
鰭のひらめきのような
ひとときを
ただ過ぎてゆくためにだけ
夏はあったと
ひとしれずつぶやく
ここちよい自虐に
おしみなく反吐を! ....
さいきんなぁんもかんもわすれていきよるち
おかあちゃんがいいよった
なーなー、おかあちゃん
ぼくんことも
いつかはわすれてしまうん?
こーえん
ゆうやけこやけのあかとんぼ
うしろのし ....
種のようなものを拾った
地面に埋めて水をやった
芽のようなものが出て
葉のようなものになって
つぼみのようなものがついて
花のようなものが咲いた
僕のような人がそれを見ている
何か言 ....
田舎の小さな駅に
僕と君の靴音だけが響く
君は今にも泣きそうに言ったね
もう少しいられないの
東京に帰るのは明日でいいでしょ
そういうわけにはいかなかった
まとまっ ....
君に借りた
えんじ色のマフラー
返さないまま
春になってしまったね
君に借りた
えんじ色の傘も
返さないままだね
今日は雨降りだよ
君はこの
えん ....
ビルの非常階段の裏に
人影がみえた
また
ぶっそうなことかと見ると
青い瞳の
美しいサイボーグが
瞬きもせず
捨てられていた
俺は
白いシーツを彼 ....
幾重にも張り巡らされた電線と建物に縁取られた空は
そこから一歩も動けずに
ただ静かにたゆたうばかりで
そこには自由の象徴は伺えず
孤立した文明化社会を彷彿とさせるばかり
木々のざわめきは ....
頭に小さな針で穴をあけると
容易くゼリー状の意識が入りこむ
意味を下さいって
当たり前の様に垂れ流される
ネオンサインの空
夜をごまかすのは
眠りたくないからじゃなく
オルゴ ....
石を轢く
花を轢く
進んだ跡ができあがる
生きていることを
考える
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86