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心の空が雲に覆われそうな時、僕は 
右手に家の電話の子機を持ち 
左手に携帯電話の子機を持ち 
番号を押して、両耳にあてる 

((もしもし))((もしもし)) 
自分の中の、相談役と聴き ....
幸せって
気付こうとしないと
わからないものなのかもしれない

幸せって
いつも すぐそこにある
身近なものなんだろうな


気付こうとする心の目を持つことが大事なんだろうな
  寒い日は
  煙草を一本吸うことも
  悲しみに沈むことも
  完璧すぎるほど完璧なのです



  だから、なるべく
  傷を負わないように
  躓いたりしないように
 ....
愛しているよとささやいて
私の心
を盗むあなた

断りも無しにと腹立たしさを覚えたとしても
ある意味期待していたのは確かことで

四十六時中、あなたのことだけを考えていた自分に気付く
 ....
ひとりは食用ハサミを購ってカバンにまぎれこませた
ひとりは旅行パンフレットに載っていたキティグッズに赤ペンをした
ふたりは義理の親娘で
口もきかない絶縁状態だった

ひとりは殺人 ....
  蘇生のイキをするように
  そっと虚空に
  言葉をはなったとき
  言葉はすぐにちりぢりになってきえた

  あの日の
  あの青空には
  二度とであえはしない
  ....
上等な絹の布団が
重く
息苦しく感じられて
寝付けぬ
夜がある

棘だらけの
イラクサで編んだ
それこそが
妙にしっくりくることがある
物の怪の心というものは
不思議なものだ
 ....
テーラワーダ仏教の長老
アルボムッレ師の優しいことばを
アジアンカンフージェネレイションのアルバム。(崩壊)を聴きながら読む

生きるとは無常
怒りは人間の原罪
ブッダは救済者ではない
 ....
{引用=ああ
それはあなたを思い過ぎて変わり果てた私の姿
月光も凍てつく森で
樹液すするあたしは虫の女
         
           〜 パンク蛹化の女  戸川純}


  ....
満たされたら
充分 というのは
嘘だ

永遠を誓っても

手をのばすところに
触れる存在があっても

ふとした瞬間に
冷たくなる
魂がある

その証しに

もう
ふたつ ....
無限の時から逃れるために
大型店から 時計を買う

腕につけたら タイム・サービス
すべりこむ キャッシュ ワン・コイン

仮眠しかとれないんだよ
にっこり 煮込んだ 憎しみ
すすりあ ....
寒さが緩むと
凍りついていた月光が溶け出して
暗い穴の中にも
虫たちの道を通って

滴り

滴って

ヒグマは

浅い眠りの中で
霞がかった
春の野山を

夢に見る

 ....
砂浜にはガムが落ちていた

それを鵜飼順平は拾いポケットに入れた

砂にまみれて湿ったガムが太ももをころころとくすぐった

鵜飼順平は波を見つめた

今日の波はいい波ではなかった

 ....
四年ほど前から付き合いのあるこの男は、不思議なことに何も教えた記憶はないのだが、俺の昔をよく知っている。一日のうち五,六度、俺の前に顔を出し、あるときは俺の読んだ本や詩を酷評し、あるときは俺の書い .... おいっ
おいらたちを拾うんじゃない
可愛いからって 持って帰るなっ

おいらたちは種なんだ
ちゃんと土の中に埋めてくれよ
いつかは立派な
どんぐりの木になるんだ

池に放りこむなっ
 ....
古い絶望の上に

俺達の廃墟が立っている

「今更どうなるものか・・・全てはもう遅いのだ・・・」と誰かの嘆きが

古い牧歌のように流れて行く・・・

と、俺は急に俺の夢から覚めて

 ....
何が彼女をそうさせたの
何が彼女を駆り立てたの
何が彼女を塗り替えたの
何が彼女を陥れたの

She was beautiful
たまらなく惜しい
She was beautiful
 ....
時間のオブジェなんぞ飾った
キザなダイニングテーブルで
おれたちの議論といえば
百万回も繰り返された
チェスの攻防だ

おまえの遺体の第一発見者となった
夢を見たことを黙っていたのは
 ....
勝者と敗者の間に
三角定規で線を引く

本物と偽物の間に
フリーハンドで線を引く

好きと嫌いの間に
眉間で線を引く

面白いと面白くないの間に
口角で線を引く

瞬きする ....
朝どこかで

読経の声がする

一日のはじまりの

静かの時間に

慎ましやかな叫びが

聞こえてくるのだ


明日への祈りや過去への懺悔

今を強化し越えてゆこうとする ....
昭和二十年八月六日午前八時十五分

ヒロシマは地獄と化した

おなかのなかで泳いでいた名もない 胎児
三輪車に乗って遊んでいた あやちゃん
竹の物干し竿に洗濯ものを広げていた 母さん
ア ....
   瑠璃色が

微弱な電流を絶って不明になる
そのことがわたしのこころを危うくする、
馬鹿げたことだと思うけれど
わたしは時間について
なにもわからなくなってしまったのだ

   瑠 ....
  暗い夜には
  一羽の鳥がやってきて
  私の口に潜り込むと
  枝を使って舌根の辺りに巣を作り
  数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく



  朝、私の舌で
  殻を破 ....
全く、窓辺の風よ
そうやあやあと声を張らず
少し黙っていられないのか

私の爪先ももちろんそうだが
なにより、カーテンが困っているよ
お前の冷やかな愛の歌が
彼女の心を惑わせているよ
 ....
便利やで。このひと。
うれしいと泣く。
哀しいと笑う。
恋もできる。
歌も唄う。
故障は少ない。軽くて丈夫。
充電式やから停電に強い。
環境に順応。
ええ仕事する。みんな欲 ....
ファスナーがいつも従順だと思ったら
それは思い込み もしくは 先入観みたいなもので
生地を喰うことがある
貞淑だった人妻が 
何を思ったか豹変し 
畏れをしらぬ 厄介なうえ 世にも面倒な 小 ....
なんだか知らないが
兎に角 最初の一行が出来あがる
なんだか知らないが
次の行は誰も知らない
もちろん自分も

なんだか知らないが
行と行の間には
深い深い溝がある方がいい
つまり驚 ....
深夜の海で独り船に乗っていた 
やがて風は強まり、波はざわめき 
震える両手をあわせ、必死に祈った 

遠い暗闇からひかりの人が 
こちらへ、歩いてくる 
ずっと昔から私をみつめる目が 
 ....
生まれぬ仔を
待望して止まないように
生まれぬ言葉の
形なき存在を想う

非存在という
存在のありかた
存在なきことは
ひとつの救いでもある

発そうとした言葉を
失いつづけ ....
まだ
誰一人として
踏みしめてはいない
ふわりとした新雪のままの
土手に重なって 遥か遠く
超然とした白雲が広がり
それを 微かに淡い
冬の空がつつんでいる

こがね色の午後の日差し ....
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