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    きみ

   そういうやさ ....
水彩画の背景を
紫の濃淡で塗りつぶしたことがある
いつも通りの'Aをもらい
わたしはそれを忘れ去る

あれは何の背景だったか

紫は
幸せのように見え
不幸せのようにも見え

甘 ....
月が眼の見えない日
紙の欠片が寝返りをうつと
月の手からこぼれ落ち
ゆらり、ゆらり空に泳ぐ


慈愛の翼に煽られては
喜び香る
ひとひらの
さくらの花びらとなり

情熱の翼に煽ら ....
過ぎ去った日が
空に帰る
桃色の囁きが枝にゆれる
泳ぐ手が雲の向こうに消えて
祈るように風が舞う
誰かの嗚咽がピアノソロのように聞こえる
確かな足取りで
その塀の向こうを通り過ぎていった ....
ホリデイ
青空にはためく白い洗濯物
私は音の出ない口笛を吹きながら
遠くに走る車のきらめきを見ていた
いつか見た潮騒のようだとふと思う
あなたはまだ帰って来ない
風が気持ちいいわ 春のよう ....
私はベルトコンベアーに乗っていた

高い天井が見える
顔を持ち上げ
ベルトコンベアーの動く先を見ると
何台もの大きな機械が一列に並んでいる

私はなす術も無く
巨大な芋虫に飲み込まれて ....
喜ぶのなら 何かを分け合い

生まれてきた意味を信じ

笑うならば 手と手を結ぶ

人は誰も淋しい旅人だから

想うならば 遥かなる道を

永く果てしない夢を

感じるなら空と ....
薄くゆるやかな隙間から
見え隠れする姿

ひそかに映る白い笑みは
今何を語ろうと

かたくなな心そのまま
やわらかな羽衣に包み
両手から
そっと空へと放つ
わずかにそよぐ風と
ま ....
つるつるして光沢のある
金属性の空を
黒ずくめの
鋭利な男が
静かに切開する
美しい処女の血が
あふれ出す 
みな恍惚の表情を浮かべ
死に絶える
栄光の
オルガスムス
太陽は
 ....
泣いた日
左手が動かなくなった日
ボケットに突っ込んだ手を
先生に注意され
からかわれた手と
庇われたことが恥ずかしくて
泣かされた日

泣かされた日
いつも庇ってくれてた友達が触っ ....
私がホームセンターで
百五円で買ってきたアリッサム
少し大きめの鉢に植え替えて
ベランダの日陰に置いた

毎朝少しずつ水をあげて
眺める
心の中で「おはよう」
少しエネルギーを貰えた気 ....
草むらに寝ころがった

ふたりで

もう
なんにも考えずに

この
ゆるい風に吹かれて

しばらく
うたた寝しようよ

春の気配を感じながら
皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿

必死
倦怠も必至
体を溶かしながら

もう
くすんだエプロンで拭いてしまう

思考の発酵は
かなわず
退屈の余地は
ない

 ....
その雷は
曇天を引き裂き
暴風雨を引き連れて

街は
次の雷を
静かに待っている


悲しみ
悲鳴を伴って

わたしは
それがくるのを
あきらめて待っている
自由に奔放に伸びる
風のようにしなやかで
たくらみがなくて

照明が音楽が掻き乱す空間
リズムに身を捧げて
縦横に駆け巡り

空間をその身体で
象ろうとするように
きっぱりとした動 ....
「愛していると思ったのは錯覚だった」

そう言って別れを告げて
逃げるようにあなたの前から去った

許さないという留守番電話のメッセージ
それが最後に聞いたあなたの声だった

電話番号 ....
地に根をはって生きる
ということはない
アスファルトの厚みほどの
喪失がある

それでも
浮遊する心を抱いて
在り続けようとする意志に
命の根を見る

私達は
花のように
咲く ....
そばに
空を映す
手鏡の面

扉のない部屋の中で
人知れず
鳥になる

面の中を
千年の時の重みに耐える私が
飛び去って行く

誰もいない部屋の中で
温かな記憶が
私を探し ....
ねぇ、死んじゃったら 
なにも見れなくなるんだよね? 
なにも伝えられなくなっちゃうんだよね? 

そこには、なにもなくなっちゃうの? 
なにも残らないの? 
天国にいくの?   ....
朔太郎さんよ
あなただけだ 分かってくれるのは
誰も僕の気持ちを分かってくれない
なにを話しても無駄だ
あいつらは僕のことを馬鹿にするが
馬鹿なのはあの汚らわしいあいつらの方で
それ故に僕 ....
ゆきよ、つもれ




自分で自分を
追い込んでる
そんな気がした
雪の降った、日


さよならを、待ってるの?
追ってくる、影
掴まれた、腕


黒い感情


 ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先

あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
私は流れてゆく
水のようになめらかに
時には{ルビ滔々=とうとう}と
時には穏やかなせせらぎになり


私に映るのは雲の流れ
陽のきらめきがいくつも反射する
あるいは透過して泳ぐ魚の群 ....
 、の入口に従えたのは、その言葉が正しいと思えたからだ。

だから不安と向かい合って椅子に座った。
クッションに針が仕込まれているなどとは思いませんし、仕込まれていても構わない。
この言葉が真 ....
人に命が宿る時
神様の手により
その頭の中に差し込まれる
天より伸びるプラグ
その幾つかを
神様は差し間違える
人の頭に差し込まれるそのプラグは
膨大な数にのぼり
人の頭の中の配線は  ....
牛カルビを箸で持ち上げる
タレにくぐらせてご飯の上に乗せる
口へ運ぶ
あっさりとした旨み
歯ごたえがあるようですぐに消えていく
油っぽくはないと
半分ほど食べ進んでから気づいた
乳臭い旨 ....
 カウ・ボーイがあたしに言った
 
 「忘れ物だよ」
 
 あたしは
 忘れたんじゃない

 わざと置いていったのだ

 もう
 いらないから

 「よかったら
  あげ ....
皿の上に不恰好な卵焼き
違うようホットケーキだようと
いもうとがきゃんきゃん吠え立てている

味は悪くないぞいもうとよ
頭を撫でてやると
子供じゃないんだからと言って
手をぽんと払われた ....
いたい

     と 君が言って

いたい

     と それを何度も
     くりかえすうちに

いたい

     は ちいさなけものの形になって
     遠くへ走 ....
ねむいのか まぶしいのか
わらいたいのか よくわからない
とにかく目を細めて見ている
爪は色を置いたよりも
きれいな色を
しているし 空も意外と透明度の少ない
くっきりとした色をしている
 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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