僕は死に始めた、見慣れた部屋の中で
僕は死に始めた、変わりない日常の中で
僕は死に始めた、まだ果たせぬ思いのまま
僕は死に始めた、いびつな過去を抱いて


石灰色の目覚めがこめかみを締 ....
「私のことどれくらい好き?」と聞かれたから

両手を一杯に広げて「これくらい」

と言いながらそのまま君を抱きしめた
見えなかったものが見える
ふくらんで
ふくらんでほどけ
ふわり ひらく
ゐろかおりかたちあまく
風に光にとけて
そらを渡るもの
ほそい弦で触れながら
匂やかな{ルビ詩=うた}の足跡をた ....
生活保護より哀れな手取り
くるひもくるひもサービス残業
睨まれたら地獄行き
カミさまホトケさま上司さま
あんたがサイコーでございます
おっしゃるとおりでございます
カラスがシロにみえまする ....
ぐらぐら
不安定な私が
ぐらぐらぐらぐら
また揺れ始めた
抱き止めてもらわなきゃ
倒れてしまう
というのは嘘

しばらく放っておかれたら
揺れたことも忘れて
また笑うから
安心し ....
抜け出せない脳裏の影
息を殺すMonster

暗い場所から
天の輝きを見上げてた

私の草原には
青い空と太陽があって
それはそれは美しい場所だけど

なぜか所々に井戸があって
 ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
またひとり 友達が逝った春
ホームの売店で香典袋を買う
無愛想な店員が差し出す
派手な化粧に 朝日が散乱する


押し頂くような仕草で受け取り
擦り切れたバッグに入れたとき
倒れた ....
天にはひとつの
(視えない手)があり
私は、全ての恐れ・震え・野心を
不思議な手の上に、置く。

この胸に乱れた炎は
いつしか――闇に溶け去り
静かな青い火となる。

そうして私は、 ....
宏大な界が突然開ける

視界右上奥に
空の濃く暗らんだ青が微かな裏光りを帯び沈黙して在る

視界中央仰げば
巨大な白雲無数、それぞれの意図を持ち漂い溢れ流れている

視界正面遠く近く
 ....
門の前はひっそりとして
呆けた顔で、立ち尽くす
{ルビ襤褸着=ぼろぎ}の男

雨の滴は、腕を濡らし
門柱に ぺちゃり と
白い糞はこびり、落ち

(この世を覆う、雨空に
 数羽の烏は ....
憧れてはいけないと思うし
聞く尊さゆえに忍んでる
私は私でいても良いのだなどと
思い切ることが難しくてもそれでも

夜空にオリオン座がかならずみえてそれが
不思議ではなかったそんな頃
畏 ....
何が幸せかよくわからない夜がある

泣いて凍えて
来ない誰かを待っていたころ

こんなにつらいことはないと思ったけれど
それでも

そんなに誰かを愛して幸せだったのかもしれない 
黄金の太陽、陶然と
茜に燃やす、この部屋を
開き放て!己のすべて
持続スルこの永久の時に

  ああ、俺の両眼は割れ砕けそうだ!

目が眩む目が眩む
眩暈、眩暈
光の海だ
黄金に躍 ....
小さな白雲一つ、
ふわわ漂い流れ来て
唐突スッと消えた、視界の無

己、只只ア然とし
驚キ沈黙の青を凝視スル。






3月25日(金)記.
天界の桃を食べてしまったのは
大きな間違いだった
帝釈天は怒り
死ぬことのできないぼくは
闘いを続けなければならない

ほんの少しの過ちは
誰にでもある事なのに
後戻りができないことが ....
狂った魚は
     おひれはふり
宙に浮かんで
      あなたを捜す

浮かぶ女は
     どこにここで
みなもを割って
       天へと沈む

透明宇宙と地球の真ん中 ....
丈の長い草密生する
4月の草原を吹き抜ける風は、
艶やかに波打ち移動する緑の透明。

このひたひたと押し寄せる冷気に、
覚醒していく意識の輪郭くっきりと
風の息の律動と 私の命の鼓動が
 ....
かるくて
あかるくて
はかなくて
さくらの花は
詩そのもの


花びらいちまいいちまいに
残った風が
地面に落ちてもまだ
ふわり ふわりと
その浮力を手放さない
逃げ足ばかりが ....
    一人の夜を

アセビの木の下に
捨てられた子イヌは
今頃どうしているだろう
 一人の夜を
そうやって、いつも

遠くから自分を見ている
もう一人の自分がいる
 一人の夜 ....
社会人になって幾数年
歯車と化して十数年
叱られ叩かれ使われて
上昇したのは尿酸値

痛風発作に怯えつつ
言った言わないエビデンス
横文字並べて要するに
費用を安く抑えたい

わか ....
病棟の廊下を行き交う
光を亡くしたオブジェたちは
意味のない言葉を呟きながら
閉ざされた空間を彷徨っていた

秒針の動きに従い
その営みは飽くことなく続けられる

影さえ失った彼らは
 ....
測れない
計れない
量れない
ものをはかろうと
脳は身をよじるが
生まれたのは不肖の子ばかり
どれ一つ それ一つでは
役に立たないものたちを
手妻よろしくこき使い
広げてきた
安心 ....
生神の鍬に
ぬっくり耕され
おれは畑になった
ねじ切られた灌木の陰茎に
スズランテープが引っかかって
女の声みたいに風がふざけている
ムクドリ毛虫食え
ミミズ食うな
おれはミミズの糞を ....
そのインコはレモン色で
くれたのは男の子
見知らぬ 男の子
なぜなら前日が クラス替え

中学時代はそういうふうな
忘れたいことばかりがよぎる日々
レモン色は苦しい
レモン色が苦しい
 ....
一生懸命がいいと
祖母は言うけど
結果がすべてだと上司は言うんだよ

今がんばれと先生は言うけど
夢をみなさいと校長は言うんだよ

愛し合ったはずの
父と母は別れ
憎み合うはずの
 ....
旅先のホテルの部屋にて
机の上に置かれた一枚の紙

「この部屋は私が清掃しました  
 ゆっくりお過ごし下さい
            〇〇」

名前のみが直筆の
見知らぬひとの心遣い ....
     今夜わたしは玉葱を刻む
     包丁の切れ味は鈍いが
     こんな夜にはちょうどいい
     指先と玉葱と踊る包丁
     それだけを見つめ、不器用に
      ....
誰ともすれ違うことのない
道を歩いていく 私は私を探す 一体の体として
しかし他の誰でもない自分とすれ違うことはなかった
だけど 確かに道を 私は歩いていたのだが


桜はどこにあるの ....
灰色の薄明の底に
灰色の湖が静かにひろがる
その汀にひとり佇んでいる

灰色の薄明は薄明のまま
明けることも暮れることもない
灰色の湖はただ静かだ
誰の 何の気配もない

ただこの場 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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