あしの裏が焼け付きそうな砂の上を
わきに浮き輪を抱えながら
生き物のように往復する波へ向かって歩くとき
ぼくらは〈ビーチ〉を忘れる。

まったく別の場所で
余所余所しく産み出した
接点を ....
一切風が通らない部屋で息を乱していた
スチールデスクには埃が湿気を含み固まっている
東南アジアで押し付けられた色鮮やかな花器は
様々な銘柄の吸殻が横たわる墓地として
ただただ存在する いずれは ....
     海だ
 荒れ狂い、渦巻き、
静まり返って包み込む
  青い蒼い碧い
  無限の広がりだ

私を呑み込んでくれ
  殺してくれ
  生かしてくれ

その波打つ柔軟な腹に ....
生きている
この街のどこかで
それだけで尊い ふと思い出す 


生きている
この国のどこかで
それだけで尊い ふと思い出す


生きている
この星のどこかで
それだけで尊 ....
終わりを
 惜しみたいのに

始まりを
 準備している

じんわりと、
しずかに

余韻が
 満ちていくのを  
  
   手がかりに


 それは
求めは ....
はやにえ
しるべ
ひかりが開けた穴
いそいで




雨の肩書き
午後のおさがり
陽の水母に
別れを言う


溺れかけたのは
羽の子ども
空気の傷が ....
熱中症の蜂が 花びらに躓く
ちょうど昼寝時
樹陰のない夏の蜂が 躓いた
まるで羽の折れた言葉のように
何でもありの蜜の中へ
フラフラに 脱水した蜂は 真っ逆さまに
琥珀の決意とともに
 ....
あっちむいてほい、と言われて
まんまとひっかかった
その顔の向いた方へ
大きな夕日が沈んでいく


今日も今日とて
僕は僕のままだった
そんな小さな誇りが
積もりに積もったおへその下 ....
春 そよ風の優しい囁きに
夏 肌を滑る熱い眼差しに
秋 想い出の肩を包む腕に
冬 肌の温もりの静けさに

とろけても ながされない
自分のかたちを失くさない
凛としてつめたく だけど 
 ....
戦争を知らない世代の私にとって
原体験は高校1年の夏休み、先輩から渡された一冊の文庫本だった。
原民喜著「夏の花」
爆心地近くに居て奇跡的に生き延びた彼は
五感のすべてに焼き付いた惨状を克明に ....
右をとるか、
左をとるか、
減点で埋めつくされた
スマートフォンは
昇るように階段を降りる。

 ....
硬い硬い残響に
冬の孔雀舞う
優雅に羽広げ
雪原を辿り

遥か突き上げた独立峰は唐突に
曇天の灰色背景に
クリーム色に映える
頂柔らかな円みを帯び

孔雀はもう止めどもなく涙を溢れ ....
ヴィルトゥオーゾ奏でる生命久遠の大遁走曲(フーガ)。

あらゆる衆生の影に咲く、神へ祈る五言律詩。

ああ、いつか、かの場所が、

開闢以来の融和地点!

(雲雀の揚がる・・・)
カストラート唱(うた)う永久無音の鎮魂歌(レクイエム)。

あまねく衆生が岩に彫る、神へ咒(のろ)う七言絶句。

ああ、今宵、この場所が、

絶対無比なる臨界地点!

(鳩の飛び立 ....
コンビニをのがしてから
ひとけのない
やまあいの国道をずいぶん走った。

自販機のある消防分団の横にとめ
ポカリを買って
その場で少しだけ飲んだ。

隣家の枯れた生け垣の中に見える
 ....
昨日、犬を 殺してきましたと
あなたは言った。

あまりにかわいそうなので
殺しましたと。

母以外の他人には けして 懐かない
犬でした。

夏には きゅうりを丸齧りしてい ....
酸素吸入器に 繋がれて
あなたは、
二週間 生きました。

酸素吸入器に 動かされて
胸いっぱいの 息をして
かつて こんなにも 深く長く
呼吸したことはなかったと
思われるほ ....
奈良の大仏が涙を流したのは

今のような暑い夏の日

むわっと熱された空気が水蒸気となって

仏の涙袋にたまり

雫となってしたたり落ちたのだ

そんな風に思っていた

近代合 ....
空々漠々 とした
あおぞらも ちぎれるときは
わすれぐさのように 赤く鮮烈に土壌と宇宙との間で炸裂するのだ
きょうも嘘で すべてを汚染しつづけている人々の足元で 蟻は動く
死してもなお ....
週刊少年ジャンプください
広げられた右手に
ちょこん載せられた
100円玉2枚
足りません

ごめんね
集英社がバカでごめんね
謝るのだけど
子供はジャンプを離さない ....
一粒の雨が

古い葉に落ちた

消えそうな心音が糸となり

内側から優しく絞めあげる

やっと出来上がった憧れの森で

君はすっかり色あせてしまった

殻を固めて作った土を
 ....
炎は、
はちじゅうはち年の喉ぼとけを
紅蓮に染め、
煙は、
迎えにもこない夫をさがして
透明な森をただよい、
空の底をぬけていく。
 ( うつむく言葉たちよ

股関節のなかで
硬質 ....
きこえるものが
みなすいとられていく
みえるものが
みなかすんでいく。
私のなみだを誰も知らない。
ティッシュ箱を並べてみても
素通りされてしまう。
だから私は、
道化 ....
こぼれる時間は青い砂だ
と あなたが云う
青い谷に迷い込んだ蝶はわたし
不在しつづけるひとつの青い無名

立ち尽くしていた
凡庸な言葉の出かかるのを ぐっとこらえ
まるでひとつの禁忌
 ....
見かけはふつう
少し美しいくらい

性格もふつう
少しやさしすぎるくらい

それなのに
嫌われやすく
面倒に巻き込まれやすく
しばしば傷つけられてしまう

そんなあな ....

ひとつの金属が鳴り
かけらのように冷えてゆく
響くことなく かがやいてゆく


背中を押す手が
ふいに昇る
何本かの指を
残したままで


声を映す手鏡に
 ....
『ダイパー・ドライブやっています』

“おむつのドライブ?”
丁寧な発音
穏やかなトーンの声に
思わず立ち止まる
行きつけのスーパーの入り口

『新生児用のおむつが特に不足しています。 ....
蜘蛛が
雨糸をゆらすと、
針の穴ほどの
光たちが
きらきら
とけあい、
うっすらと
午前十時五十分の星座が
あらわれる。

めざめている
、という夢をみていて
にげおくれた妖精 ....
なんにもない
なんにもないこの界は
ただ白く白く輝いて
音を響かせ和んでいる

響く音はそのうちに
透き通った奥行き旋律
形造ってくっきりと
光の輪となりループする

あふれるあふ ....
スパイスと宝石の匙で
耳を穿られる

《誰の膝が欲しい?――

頭の中から始まる旋回舞踏
透明な花びら 光彩のミスト 
すぐに船内の浴槽が揺れるよう
隠れた海が押し寄せて捲れだし
突 ....
由木名緒美さんのおすすめリスト(3334)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ルトルルル_- ハァモニ ...自由詩4*15-8-10
終点- コハル自由詩3*15-8-10
苦肉苦魂〇包容と放擲- たけし自由詩6*15-8-9
生きている_この心のどこかで- komasen333自由詩5*15-8-9
隠しきれない見つけたみたいに- ハァモニ ...自由詩4*15-8-9
連話_外側- 木立 悟自由詩815-8-8
ロースト・サマー- ハァモニ ...自由詩5*15-8-8
マグマ- 豆腐小僧自由詩815-8-8
アイスクリーム- ただのみ ...自由詩16*15-8-8
夏の花- Lucy自由詩13*15-8-8
稚魚- あおい満 ...自由詩715-8-8
沈潜キセキ- たけし自由詩415-8-7
零の反歌- ケルリ自由詩115-8-7
零の時間- ケルリ自由詩115-8-7
かたっぽ- nemaru自由詩315-8-6
母の願い- 南無一自由詩415-8-6
腐った息- 南無一自由詩215-8-6
仏の泣いた日- りゅうさ ...自由詩715-8-6
わすれぐさの_みそら- るるりら自由詩13*15-8-6
こどものみぎて- にゃんし ...自由詩515-8-5
ピアノの呼吸- 自由詩215-8-5
火葬場にて- 草野大悟 ...自由詩815-8-5
写真- あおい満 ...自由詩9*15-8-4
スイセンのある部屋- 伊藤 大 ...自由詩415-8-4
聖性- 葉leaf自由詩415-8-4
戴冠夜- 木立 悟自由詩315-8-3
ダイパー・ドライブ- 夏美かを ...自由詩24*15-8-3
エスキース- 草野大悟 ...自由詩415-8-2
命脈生起- たけし自由詩6*15-8-2
音楽の効能- ただのみ ...自由詩16*15-8-1

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