しんしんと闇のかたれり春深し 昼下がり 
古いテニスコートを占領して
自転車の練習をする女の子
もうずい分上達したようで
ぎこちなくだが転びもせずに
不規則軌道を描いている
ヘルメットを被った人工衛星
昔は誰も被って ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ

中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
私の目はどんどん見えなくなっている
ぼんやりと、ゆっくりと、確実に
どんどん見えなくなれば
みなの姿も あの人の顔も
どんな感じなのか 憶測で考えていくだろう
できるだけいい方向へと思う ....
 水は、万象の旅人

 生き物の身体は
 彼等の泊まる、仮の宿

 水よ

 お前が
 笑いさざめくのは
 春の林床に降り注ぎ
 小川を結び、走るとき

 お前が
 咳き込み ....
水彩の草原に僕はひとり仰向けで、
空をゆく雲を見ている。
淡い太陽の光を縫うような、
ぼやける事のない雲の輪郭を僕は指でなぞった。

寂しくなんてなかった。
なんとなくの不安を誰かに知 ....
ことばに変換できない
内に断層の捲れ上がる感覚
{ルビ穿=うが}たれた二つの池が風もないのに細波立つ
千も万もの透明な手足を生やしては
縋るものもない空の空を
死にもの狂いで掻き毟る

 ....
誰もいない夜に落ちていく
眠りの中で 目覚める時に
このまま 永遠に 僕は
帰らぬ人となりたい時もある

東京に出てきて
もう 何年だろう 悪いことばかりで
良いことはなかった 振り返れ ....
ポップコーンを食べている
君を見ているだけで
訳もなくいらいらする

ちまちまと1つ摘まんでは口に運ぶ
それもすごいスピードで

ポップコーンを食べている
君を見ているだ ....
眼下の木目のまな板に
鯛が一匹、のっている

包丁を手にした、僕は
ひと時の間、思案する

いつかの夢の誰かの囁きが
何故か脳裏にりふれいんするのだ
(かっ裁いちゃあいかん、かっ裁いち ....
日帰りのお年寄りを家へ送り
1日の仕事を終えた後
2才の息子の入院で
3日休んだお詫びに
昨日妻が買ってきた
レーズンサンドがたくさん入った
紙袋を一人ひとりに、差し出した

息子のか ....
いつの間に寝ていたのだろう

まぶしい

もう朝か

目の前に虹がある

壁紙のわずかな凹凸紋様と相まって
まるで絵画のようにかすれて
わずかに揺れているように見える

 ....
いつもの窓からは
光が差している
塗装の剥げた電車が転げている
昼すぎに、森の気配は
いくつかの季節を巡る


まだ青い瞳で
私は階段を昇っていく


となりの部屋の人たちの
 ....
立ち読みした本に涙落として帰る 春の野がどこまでも遠いこの{ルビ病室=へや}できのうさくらが終わったと知る


この年のさくらも終わりわが{ルビ病室=へや}はたとえようのなく北東を向く


春風が知らずにすぎる向きに建つ ....
銀杏の木には

パンチパーマみたいな

新緑の芽吹き

それが遠くからだと

星雲のような

新緑のふくらみ


海がこわい

狭いところ

天井の低いところ

 ....
そのわらべうたは
作者不明だという

畑に添って
作られた石垣
その隙間から
シダやペンペン草が顔を出し
しっぽがふたつに別れた小さな虫が
忙しそうに出たり入ったり
雨が降れば
水 ....
しあわせな瞬間を
こっそり切りとって
あわいブルーのアルバムに
貼りつけてほっとする

あとから眺めるわけでもないのに
夢中でレイアウトを考えたりして
だれに見せるわけでもないのに
 ....
今夜ぬかるみそうですね
まだちょっと震えていて
瞳は亀裂して手招くのです
梢に掛ったビニール袋の
違和としての惨めさの中へ
眠りは逃げた僕から逆行した

福寿草のように笑う
気の早い毒 ....
如何ように描かるるべきかと
花問いて舞いて乱れて
我立ち尽くす

誰がために
愛をしぼりて咲く花か
実にやどらせる
生わぬ命よ

忘れさす末期の雪に
霞みゆく
 ....
指の絆創膏をはがしてみれば
血は止まったものの
いまだ なまめかしく
傷はそこにあった

たった一日
空気を遮断されただけで そこは
色が蒸発したように
あっけらかんと白く
まるで湯 ....
凹んだままもどらないこころを
あえて膨らまして生きている弾力をおもう

生きることに引きずり回され
足下がみえないまま歩をすすめて行かねばならない
立ち止まるわけにはゆかないのだ
それが残 ....
季節を
終わらせましょう。


実らない季節を
あきらめましょう。


踏ん切りをつけて
新たな歩みを始め
次なる光を探していく。



悲しみを増幅させてまで
しがみ ....
僕は書く

それは文字による記録ではなく
文学作品でもない
書いているのは

言葉

自分の考えや気持ちを表す言葉
つまり
自分を言葉で表した
自我像

僕は僕のことを誰 ....
月と火星がとなりんこ

そんなこととは露知らず

太陽あびてひかりんこ

ひとも誰かととなりんこ

そんなことさえ忘れちまって

正義の旗ふりだまりんこ


ああ、とかく

この世は住みにくい

月と ....
視力が弱り輪郭がボヤケタ月も美しい。

あの日、遺影のそば、泣いた女。

消えた気配。亡くなった子供。



あの日、頬に触れた赤。

伝う水は、裂め目から漏れ。



曇 ....
暖かな日差しを受けて
春爛漫の息吹を感じる
子供達の遊ぶ声が届く
大らかな芽吹きの声が
ここに春が来たことを
そよぐ風が告げている

悩み苦しみさえも嘘と
想える程暖かな陽射し
誰も ....
   フルーチェを作った
   冷蔵庫で冷やして
   お風呂上がりに
   娘と二人で食べた
   フルーチェのメロン味が
   美味しいねと娘がいう


     幸せというのは
 ....
桜が散り始めた
昔、誰かがそこに植えたのだ
古びた板壁のペンキが剥げた営舎の
埃っぽい運動場の端に

左旋回だったのは
右利きだからかもしれない

春霞の海は穏やかで
座している私の ....
自炊の道を極めんと
愚娘の助言を聞き入れ
圧力鍋を購入した

やや季節はずれのブリ大根
今日は黒霧島のお湯割

圧力鍋には
なにやらタイマーが付いていて
超絶簡単レピシ本通りで
 ....
由木名緒美さんのおすすめリスト(3334)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜想- 織部桐二 ...俳句114-4-25
めまぐるしくも- ただのみ ...自由詩21*14-4-24
かあさんも受験生だった頃がある- そらの珊 ...自由詩1114-4-24
さよならの鎖- 唐草フウ自由詩16*14-4-24
透明な声- まーつん自由詩14*14-4-23
水彩画の少年- ヒヤシン ...自由詩10*14-4-23
軋む人- ただのみ ...自由詩16*14-4-22
五反田の夜の光- 番田 自由詩214-4-21
ポップコーン- chiharu自由詩2*14-4-20
まな板の鯛- 服部 剛自由詩514-4-20
紙袋の中味- 服部 剛自由詩314-4-20
小さな朝のギャラリー- ichirou自由詩9*14-4-20
二十一歳- アオゾラ ...自由詩1214-4-20
立ち読みした本に涙落として帰る- 北大路京 ...自由詩1214-4-19
「かおるのおと」2014.04.19_(一五首)- もっぷ短歌8*14-4-19
新緑の芽吹き- 吉岡ペペ ...自由詩214-4-18
アルカディア- そらの珊 ...自由詩20*14-4-18
アルバム- 藤原絵理 ...自由詩3*14-4-17
コウフクノモノサシ- ただのみ ...自由詩18*14-4-16
桜-someiyoshino- 游月 昭短歌1*14-4-16
溺れる人魚- そらの珊 ...自由詩22*14-4-16
弾力- 梅昆布茶自由詩2114-4-15
咲いては音楽、散っては忘却。- komasen333自由詩2*14-4-15
自我像- ichirou自由詩1014-4-14
となりんこ- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...214-4-14
「曇っては晴れて」- 宇野康平自由詩314-4-14
暖かな日差しに・・・- tamami自由詩1414-4-14
【_フルーチェ_】- 泡沫恋歌自由詩17*14-4-14
遠景- 山部 佳自由詩914-4-13
染み込む20分間がこんなに疲れるとは思いませんでした- ichirou自由詩1414-4-13

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112