わたしが
命をもらった日から
吸って吐いて
繰り返されてきた
呼吸の仕組み

その息は
かじかんだあなたの指を少し温め
その息は
幼子の風車を廻し
その息は
ケーキに灯されたろう ....
小さなほころび
どこへゆくのか
頬ふくらませ
どこへゆくのか


果実の耳を
匂わせすぎて
帰るころには
涙あふれて


雨の朝ふいに
何をしているの と問わ ....
かーさん ももいろひよこ かってや
めっちゃ かわいーやんか
そらいろも いるんやで
にじいろも いるんやで
ハートマークも いるんやで

息も絶え絶えのひよこたち
鳴いてるんじゃない
 ....
「ねえ、これは骨?」

チキンナゲットを食べ慣れているお前達に
フライドチキンを与えたら
飢えたライオンの子供のようにそれを貪りながら
何かを思い出したように下の娘が訊く

「そうだよ。 ....
挫けそうな心に運命が扉を叩く。
足音を忍ばせて私の部屋をうかがっている気配を感じる。
私はしばしものを書く手を休め煙草に火をつける。
天井に立ち昇る煙の中にポーの大鴉が浮かび上がる。

 ....
私が子どもだった頃
十二色のクレヨンの中に「肌色」があった
その色を使って絵を描いていた

黒いクレヨンで輪郭を描いて
肌色で顔の中を塗りつぶす
手も足も全部肌色を塗った
何も考えずに無 ....
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊

どこまでも透明な
追憶の彼方

舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉

堆積する秋

深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
死と生の間で
行ったり来たり
そして
時々 
つりあってみたりする
遊具

傾いた板の上を
滑り落ちてくる
日常という名の欠片
秋のうすい陽をまとい
氷砂糖のようにきらめく
し ....
沈んでいく
高層ビルの乱杭歯を
掠めて

噛み砕かれる
西の稜線の
大臼歯で

この街で生き長らえるなら
むやみに懐かしがってはいけない

闇の中でも決して眠らない街は
執 ....
我々はこまかい罅を 感じている
誰にもある
あかるい三月の路上で
したたるような朝がまぶたをひらいた
我々がおもえば
頑固な落葉松の ひきしまった松根の一本や二本
適度なふかみの罅がはいる ....
まちがいだと
笑わないでください

季節を
取り違えた
ばかな花だと
笑わないでください

きょうだいたちが
眠っているのを
ただ静かに見守るためだけに
秋に咲いた
一輪の紫陽 ....
すべてがそよともせずにそこにある
流れるものからとりだされる静止画

こんな時間もいいとおもう
背景はつねにうつろいとどまることはない
いっしょにながれるのもいいさ

でも自分のなが ....
支柱にありがとう、と言った

夏のあいだじゅう
あなたが支えてくれたおかげで
私は安心して背を伸ばし
太陽に近づき
あおい葉を繁らせ
たくさんのこどもを生むことができた
赤い血がしたた ....
始まりと終わりはどこまでも流れ落ちていくので
現在の幅に射し込む水の光だけで流れていく渓流
岩は感情のように水の流れを変え
木の葉は矜持のように水の面を彩る
僕はその川の方向のよう ....
出ていかなければならない
と知っている
部屋は
あなたとあなたでないものでできている
このまま朝は終わらずに
言葉もひとつも終わらずに
開かれなかった小説
届けられなかった手紙
呼ばれ ....
天気予報が
いい具合にはずれて
空に陽が差してくる

中学校の校庭
トラックに引かれた真新しい白線
「出陣」の文字が描かれた入場門
砂埃の匂いがくしゃみを誘う
テントの下に置かれたキャ ....
あるラジオの
みえない声をきいていた
あの日
みえなかった
今も
みえない
からだもなにも
かりているにすぎない
しっとり
どこへともなく
アンテナをのばす
 ....
「お父さんは、いつもむっつりしてたけど
 家族は結構大切にしたんだよ。
 日曜日の度に色々なところへ
 連れて行ってくれたんだから。」
 
週六日精一杯働いて
やっと巡ってきた休日なのに
 ....
お前は木の葉のように
大気の騒がしいうねりを巧みに乗り継いで
俺の途上にやって来た
到来はすべて拒絶であるので
お前は遥かな海からはるばる俺のもとへと
拒絶の華々しい毒を優しく手渡した
 ....
湖のほとりに立つ

秋にしては風が冷たい
氷の手が首に絡みつく

湖の水は風を受けて
ゆらゆらと揺れている

ここは寒い季節にだけ
訪れる特別な場所

森も風を受けて
ゆらゆら ....
 男がいた
 一度は膝を屈し生まれ在所へ戻った
 そこまではよくあるはなしだ

 だけど男は
 厩へ戻ってきた
 きっとそのとき思ったのだろう
 もう俺にふるさとはないと

 体を鍛 ....
焦げついた蜜
油照りの午後2時08分
萌えたぎるアロカシア
茹でられた風のカーヴ


(Lent et douloureux)
(:ゆっくりと苦しみをもって)
(Lent e ....
何故自ら受難者になる必要があるのか?
四度でも五度でも席を譲ればよいではないか!
そして今日は沢山の人を助けられてよかった、と
胸を張って夕焼けを見ればよいではないか!

満員電車の中
三 ....
娘の担任の先生から突然メールが届く
件名は娘の名前
かすかな心臓の高鳴りを覚えながら
本文を開ける
文字が目に飛び込んでくる
“She had an accident!”
アクシデント!? ....
亀とは
亀のようにゆっくりなペースで成長中の私の長女
この間9歳になった

その亀
学校以外の場所では
とっても朗らかでおしゃべりなのに
小学校入学以来
教室で全く口を利けない
少人 ....
君からもらった
クッション
誕生日だったか
クリスマスだったか
君が僕にくれた
唯一のもの

くっついて
はなれて
またくっついた


またはなれた


それから僕は
 ....
「ママ!ママぁ!」

真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
 ....
君たちは分裂して数を増やす君たちは分裂して夢を数え上げてく、
何しろ満足しない方法を覚えたときから、
君たちは足を増やして切り落として、
切り落とした足を食べて生きているんだから、
そのために ....
きみのし
考えたこともなかったし
その日の空はうそみたいな顔をしていたから
言葉は何も浮かんでこなかった

この物語では
信じられないことが
信じられないほど起こるし
それ ....
  橙に染まることはあっても
  緋の季節は 彼方へと去り
  空はただ 紺のトーンへと落ちていく
  ロイヤルコペンハーゲンブルーに暮れる今日は
  やがて三日月の窓の明かりを際立たせる
 ....
由木名緒美さんのおすすめリスト(3334)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ためいき- そらの珊 ...自由詩18*13-10-14
泡を巡る(大きな服)- 木立 悟自由詩413-10-11
夜市- そらの珊 ...自由詩17*13-10-11
食卓- 夏美かを ...自由詩27*13-10-10
戦うということ- ヒヤシン ...自由詩13*13-10-8
【_肌色のクレヨン_】- 泡沫恋歌自由詩17+*13-10-7
赤いスカーフ- Lucy自由詩28*13-10-6
シーソー- そらの珊 ...自由詩12*13-10-6
夕陽- nonya自由詩18*13-10-5
ワレモノワレワレ_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩12*13-10-4
シークレット_ガーデン- そらの珊 ...自由詩12*13-10-1
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秋別れ- そらの珊 ...自由詩17*13-9-28
無色の欲望- 葉leaf自由詩513-9-27
水をかためる- はるな自由詩1013-9-26
遠景- そらの珊 ...自由詩13*13-9-19
闇と- こしごえ自由詩3*13-9-18
無口で運転の上手い人- 夏美かを ...自由詩30*13-9-17
- 葉leaf自由詩513-9-15
湖のほとり- 栗山透自由詩213-9-6
心に鞭_—加賀武見へ—- 平瀬たか ...自由詩11*13-8-16
ジムノペディ- eyeneshanzel ...自由詩713-8-12
名詩『夕焼け』の娘の感受性- 夏美かを ...自由詩27*13-6-15
八重の優しさ- 夏美かを ...自由詩35*13-5-4
亀のいちばん長い日- 夏美かを ...自由詩34*13-3-8
クッション- ちて自由詩7*13-1-17
使命- 夏美かを ...自由詩20+*13-1-10
アスピリン・ソング- 由比良 ...自由詩8*12-7-29
やさしいし- 自由詩7*10-8-11
連詩_「星一つ」_奥主_榮__萌木_碧水- 鵜飼千代 ...自由詩4*10-2-4

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