アレグロ
豆腐小僧

かるくて
あかるくて
はかなくて
さくらの花は
詩そのもの


花びらいちまいいちまいに
残った風が
地面に落ちてもまだ
ふわり ふわりと
その浮力を手放さない
逃げ足ばかりが速い
か弱い生き物みたいに
駆け出した花の音符が
人の世のあれこれを
軽やかにすり抜けていく


美しいとかきれいとかいう言葉も
今はどこか邪魔くさくて
黙っていたいけど 
やっぱり黙っていられない
かるくて あかるくて
はかない詩を
うたいたくなって
はち切れそうな唇が
花吹雪のなか震えてる








自由詩 アレグロ Copyright 豆腐小僧 2016-04-03 16:01:15
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