海を渡る狼
小川 葉
てのひらを
みみにあてると
なみのおとがきこえる
そのうみを
いっぴきのおおかみが
わたっていく
とおいむかしに
ほろんでしまった
くにのしきちに
さくらがさいている
そこにもうみがあったことを
しょうめいするように
てのひらをはなすと
みみはかいがらににている
のこされたおおかみが
うみをわたっていく
すこしずつ
むかしになっていく
みらいのまちで
わたしのおおかみが
ぜつめつするまで
うみはつづいている
自由詩
海を渡る狼
Copyright
小川 葉
2010-04-18 01:22:45
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