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いつの間にか裸足だった
あてのない旅をしていた
気付いたらここがどこかよく分からなかった
草原を目指していたような気がするが
はたしてここは岩ばかりだ
ああそうだ
この頬を ....
春に迷い込んだ赤とんぼが
ゼンマイをキリキリとうたわせた
ブリキのおもちゃのその中の
ブリキでできた心臓の
あんまりとんぼが赤かったから
ブリキはとんぼに恋をした
おもちゃであ ....
あえて描かないことは描ききることと同じで
透明にはじける炭酸水が吹き上げる泡のように
この七行に込めるものは
あなたを愛する、ということではなく
砂時計が流れ落ちるのを眺め続けている
....
ダイヤモンドが燃えた
白い皮膚で
月が燃えているという
小さな嘘で
笑い飛ばしてしまおうよ
わずかばかりの白い炎が
燃え尽き果ててしまう前に
穴のあいた靴下を
霧雨のより糸で繕 ....
すすまない
空の向こうに
つながない
星の瞬きがおりました
わたしは、
柔らかい草に寝ころんで
それを眺めつつ
星色の鈴の首輪を着けないで
どこかへ去った猫については
悔やむこと ....
こたつにはみかんがあるから
あかねこはまるくなり
さまざまな約束事によって
針が回り続けているのを
ゆるしている
やさしい
そして、かなしい
芽が出ている
ちいさなちいさな芽が出ている
この真冬の空き地に
まるで荒野のようだった空き地に
風が吹き抜けたからだ
女神に愛された風が吹き抜け
この地にも雨が降った
雨は芽 ....
ステンのやかんで湯を沸かし
凍った車の視界をひらく午前七時
柔らかさを帯びた空気の向こうに
こっぽり
と浮かんでいるあれは
マリーゴールドの豊潤
あるいは熟れた蜜柑に似た
色 ....