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どんなに小さな波紋でも
今ひとときを願う夜
果て散る枯葉に焦がれている
ゆらゆら月の真ん中に
小石をひとつ投げてみた
ラジオノイズ
三秒先の暗闇から
明日の天気を届ければ
雲を脱ぎ捨ててしまう
その少女、青いシャドウ、巨大な蛾のような
指先に灯る重力が
心をそっと撫でてゆく
....
ずっと
深い底の ほんの少し上
ふたり歩いていく ひしめく無音の群に押されながら
姿を失ったわたしと
透き通るからだに 誰かの貝殻を包み込んだ ちいさな海の仔 と
ふたり ....
工場街の外れにある袋小路
ボロボロになった雑誌を小脇に置いて
今は誰にも咎められない
踊る石筆
アスファルトは真綿のように
こぼれ落ちる問いを吸い込んでいった
ドラ ....
バター色が並んでた
垂れ下がったぼんぼりの
次また十歩 遠ざかる
逃がさぬように目で追った
こおろぎの鳴く林道に
仄かに燈るわたあめを
父の背に揺られ啄ばんだ
....