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誰が すきだなんていったのかな
ただ夢を見ていただけじゃないの?
ちいさな象が湖をはしり
サバンナを抜けて 浜辺まで訪れて
その細い鼻で塩水を吸ってむせたような
かわいそうなことじゃない ....
木目の顔はきみ
横になるたび
天井にうつる
深爪のゆびを
きみに伸ばす と
枕元で なぜか
目覚まし時計がなる
きみはどこにいるの
答えず微笑んだままに
人差し指の月に照らさ ....
めにいたい夏のひかり
アスファルトも臭い
おんなのしろい服が
めにつき刺さる
ちぎれた草はかれ
みみずも土にひからびる
ほした服はゆれ
あっというまに乾く
猫よけのみかんも
ぱり ....
となりのとなりのとなりのへやの
めざましどけいがなりやまないので
ゆうがた六時半にそとにでた
まだ日はしずまず
ふだんよりずっと赤いかおで
西のやまの端にキスするようだった
あんがいあ ....
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れた風が伸び上がる
カップに入れた珈琲はいつものように薄く
カレンダーは四月のまま終わらない
....
なんだか
おなかがへった
ふつかも固形物をのみこんでいないから
あたりまえかもしれない
歯をみがくのがめんどくさいので
みずばかり飲んでいる
ときおりおかゆさんを食し
うがいだけですます ....
おふろに一緒にはいってくれるきみへ
にくにくしいねといったときに
なぐらないでくれないか
わたしはこんなにほねほねしいのに
といったときに
胸のふくらみをつつくのをやめてくれないか
と ....
震える指先が凍りついて
いつか口に含んでも動かなくなったとき
幾度も自分を納得させる言葉を吐いた
私は人より多少不自由なだけ
壊れた右耳は機械の力で補える
動かない指先は動く片手で補える ....
目を閉じて
自分の身体をなぞる
髪がある 冷たい感触
耳がある したのほうが柔らかい
眼窩がある 目が飛び出そうで怖くなる
鼻がある 少し油っぽい
唇がある 言葉が溢れそうだ
首がある ....