一人ぼっちになって
寂しいけれど
泣かないで
ここで待ってます
だって
また頭を撫でてもらいたいから
またおいしいご飯を食べたいから
だから鳴かないで待ってます
大好きなあなたが帰ってくるまで
おひなたさま
おひなたさま
ときどき きみは 耳慣れない言葉を発する。
「 "陰"よりも"日向"のほうが良いでしょ 」と笑う。
....
朝起きたら
机の上にメガネが置いてあった
昨日の夜
酔って歩いていたら
呼び止められて
「透視メガネを買わないか」
と言われた
ほろ酔い気分だった自分は
うっかり買ってしまったのだ
....
こんなときだから
あなたのこと
思い出してみる
洗いざらしのティーシャツ
良く似合ってた
防波堤にふたり
たたずみ
いつまでも夕陽を眺めてた
はにかみ屋さんで
口下手で
....
はじめて吐き出したのは
六月の熱風うごかぬ午後
ぶあつい電話帳をパンツ
いっちょうでまるでそれ
久しぶりの童貞のSEX
川がギラギラ白くて
宇宙最小の孤独の単位 ....
すべてが逆転するという学説もあったんだそうだ
時間さえ逆行するとも言われていた
じゃあぼくたちの親が
冷凍棺桶から起きてきて
またぼくたちを叱ったりするのかな
そしてぼくたちはまた小さく ....
子沢山の家に
末っ子の鼻垂れ
多分食べていると思う
かんでもかんでも出てくる
腹をすかせ
食べ物に飛びついてくる
生存競争
お姉ちゃんがおしめ替える
朝のトイレも大変
とにか ....
こんなことがあってね
あんなことがあってね
生活がどうにもならなくてね
愛した人と別れてね
こんなことができなくてね
あんなことが叶わなくて
考えに来たんだ ....
白い花が咲き乱れた
僕は花の名前を知らない
囲むようにして
ごく自然に永遠がそこにあった
湖に出来た波紋のように
ひとしずくの僕が踏み入れたその地で
吹き荒れる風が花びらと共に僕を連れ去っ ....
続いた雨の音階は消え
訪れた静かな夜
問うこともせず
答えることもなく
過ぎてゆくだけの影に
狭くなる胸の内
満たしていたもの
耳に慣れた雨音と
肌に馴染んだ湿度と
それらの行方 ....
まばらなようで
まったく同じ
涙は
ひとから流れゆく
雨のぬくもりを
手探りつづける日々と
かぜの横顔について
語りあぐねてみる日々と
だれか
上 ....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ
やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう
幸 ....
あなたが夕刻を告げると
わたしのお遊戯が
奇妙な形で切り落とされて
真っ暗になって
ぽた、ぽた、落下する
わたし
という無数の子供たち
の見上げる、灯り
に群が ....
君は鳥のように 自由でいて
羽を広げて 青い空を駆けまわって
僕は大きな木でいよう
君が疲れたときに 羽を休められる
雨から君を守るため
枝をいっぱい伸ばして 大きな葉を ....
空が段々と綺麗になってきました。
夏です。
気分もカラッとしなきゃ、
ですね。
探し物をしていたら
押入れの奥から出てきた
学生時代のルーズリーフ
こんなものがこんなところに
物理のノートだろうか
数式やらグラフやら
長々とした漢字による専門用語やら
今では何が書か ....
月が後ろから見てる。
前から見てくれないとヤダッ!
と、ワガママに言ってみる。
声、聞きたかったな・・・。
あなたと反対の空には
星がきれいに
私の ....
小さな埠頭に飾られた
裸婦像のデッサンは
優しい夜を映していて
僕はそれを見るのが好きだった
そのデッサンには
味のしない名前がついていて
僕が生まれてから死ぬまでの間に
たった三人 ....
一人ぼっちだ
花々の中で
麦畑を風が渡って
そこに点在するポピーは
そのひとつひとつが
恋で
黄色と赤の美しい翼を持った小鳥が
巡礼道の真ん中で風に吹 ....
揺れる電灯を
膝立ちのままで、消す
扇風機からの人工が
生々しく
私の頬を通り過ぎる
茶色い光の下
飛び交う光がある
テレビを消してみた
全く
見えなくなって、しまった
....
すやすやと
安らかな寝息を立てる
ちいさなちいさな背中
このちいさな背中に
どれだけの重荷を
背負わせてしまったんだろう
たくさんの痛みに耐えて ....
アキコの場合も
どんな言葉言っても
すべて受け入れて
よけいに気持ち強くなっていった
おなじものを感じます
あれっていったいなんだろうね
正しいことがどうのこう ....
雨の中
白いドレスに
身を包み
虹に嫁いだ
梅雨の姫君
隣の席で
難解な数学の問題を
すらすらと解く彼が嫌いだった
無能な自分を見ていた
何でこんな複雑なものを
考え込むことなしに
さばいて見せるのだろう
その姿勢がどこか傲慢で
さらに彼を ....
傾くピアノの黄昏に
透明なオレンジの
一滴が
空に
しみてゆく
そうして
トタン屋根の宇宙では
魚たちが
泳ぎはじめるのだ
どうか
明日も小鳥たちが
....
何十人の友達とうわべだけの関係をもつより
心から分かり合った友達が一人でもいれば
それでいい
いくつもの経験を共にした親友がいる
そいつがいなけりゃ
俺はもう
とっく ....
扁桃腺腫らして臥せる吾が側に
苺食みつつ子等は饒舌
もの煮ゆる音も親しき独り居の
夜は気ままに猫の相手す
鄙びたる里を吹く風 豌豆の
からめる蔓をゆさぶりて過ぐ
くせのある ....
オレンジが沈むとき
ふたりで見上げて
染まったほっぺにキスをした
笑い合いながら
透き通る雲を見ていた
僕はあのときもひとりだった
君との将来
思い描いてたビジョン
輝きな ....
よじ登るんだ
向こうに行くんだ
自由になるんだ
あいつがカメラを
構えてるすきに
ちいさな ちいさな
そらを見つけたのは
近所の公園で遊んでいた
三歳くらいのおんなのこの
瞳の中
よちよち
浮かんでいるようでした
おおきな おおきな
うみを見たのは
田舎の天文 ....
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