朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
私の本当の理想のタイプは
背が高くて格好良い人だけど
クラスでも地味で目立たない
あいつの事がなんだか気になる
私の本当の理想のタイプは
頼りがいのある人だけど
時には冷たく突き放す
....
どうせ私なんて独りなんだから
言ったら独りじゃなくなる
そんなことないよって
みんな寄って来る
知ってるんだ
知ってるんだ
『どうせ私なんて独りなんだから』
振り返る ....
二月のはじめに、
菜の花が咲いていた
異常気象と言ってしまえば
それまでだけど
咲く花を見てかなしむのではなく
共に生きる命と、尊ぼう
人間だけにふりかかるんじゃない
この星に生きるす ....
自分は自分なのに
自分のことは知らなくて
他人と比べて
ようやくおぼろげな自分が
浮いている
他人は他人なのに
他人のことは気になって
自分と比べて
すぐにうらやましい相手が
現 ....
オレンジ色に染まる公園で
僕はひとりかくれんぼうをする
ぞうさんのすべり台の上で
数を百までかぞえても
僕を探しに来る子はだあれもいない
風が気まぐれに揺らすぶらんこの
長くのびた ....
春の花を見つける
忘れないように匂いを嗅ぐ
きっとこの花が
私を飾る
だから忘れないように
匂いを嗅ぐ
夏の果実をかじる
熟す時期を覚えておく
きっと私が最期に食す ....
家に帰ると門が壊れていた
妻と娘が代わりに立っていた
家の中では妻の短大時代の
同級生だった山本さんがいて
食事の準備をしていた
十年ぶりですね、と言って笑った
煮物の味見をしてあげた
....
あぁ、
お前も なのか
カーテンに包まれるのが
そんなにも
愉快なのか
そんなにも
楽しいのか
娘よ
娘よ、
お前も なのか
息をすって
息をはいて
それを一緒に
森の中で
雨にぬれて
森の中で
息をすって
息をはいて
おまえのこころ
いばらのとげに
息をすって
息をはいて
....
赤
これは色ではなく
文字です
そしてそれは
人によって色が違う
ある人はペンキの赤を思い浮かべ
ある人は流れ出る血を思い浮かべるかもしれない
もしもここに
私が思っている赤を画像 ....
おいおい
もう座るのかい?
さっき歩き始めたばかりじゃないか
歩いているだけだぜ
走ってなんかいないんだぜ
上り坂もなかったぞ
第一
ここは道の上だぞ
座るとこじゃないだろ
普段 ....
カーテンの裏に潜んだ結露を
指でなぞると
するすると雫は流れ落ちて
行き場のない小さな水溜まりは
冬の外気と人の温みのあいだで戸惑っている
わたしはうっすらと冷えた指先を持て余しながら
....
あめのなかに
ゆきのまじる
ぶーげんびりあの
かねのねの
音のあまつぶ
しらゆきまじる
むすめはやらない
むすめはやらない
{引用=三つで病に
五つで迷子 ....
あの日
砂利道で蹴り上げたものは
小石 なんかじゃなくて
はっきりしない哀しさだった
どこかに行けそうな気がするのに
行くべきだと思うのに
どこにも行けない自分だった
何 ....
キミは緑色
あなたは黄色
僕は赤色
この世界を描くとき
いろんな絵の具が
必要なんだ
色は混ぜれば
....
たとえその花が
どんなに綺麗であったとしても
どんなにあなたが好きであったとしても
だれもが知っている
だれもが持っている
どこにでもある花では
だれもあなたらしさが見出せない
人は ....
昔の自分を振り返り
今恥を知る
ぁあこれで成長するなら
いろんな恥を感じ大人になるなら
私大人になんてなりたくない
これ以上後悔したくない
そう思っても
大人になって ....
この先にある物…
栄光か挫折か
どっちが欲しい?
僕は思うんだ
どっちでもいいんじゃないかって
例えばそれが望まない物だったとしても
何も無いよりはマシだろ?
それが足跡 ....
純白は、汚れ無き色
どの色よりも
限り無く
調和的で、融和的
どの色をも
理解する為に
その懐は無 ....
どうしようも ないくらい
しがらみに 迷いこんで
どうしようも ないくらい
くらい 底のほうへ
いって しまって
ただ ただ
グラヴィティ を ふりきっ ....
心は 魔法の呼吸がなければ
読み解けないし イメージは
裸眼にうつらないから 純粋だと
目をつぶった あなたの
耳たぶを そっと噛んだ
今夜は 君の部屋にあがれないんだ
意気地がないワケじゃないんだ
今夜は 君の部屋にあがれないんだ
君が嫌いなワケじゃないんだ
靴下に穴が開いていて 靴を脱げない
ただ 今日は靴下に穴 ....
脊椎動物として生きる
その悲しみ
そして
珍しく雪が降った
朝の喜び
もし君が生まれてきたら
おもいっきり抱きしめて
そんなことのいくつかを
教えてあげたい
冬
人は無口で
私もその一人でした
白く吐かれた息を寂しがり
いつか隣り合った部屋の人間を思い出す作業はゆっくりと
指先から染み入って出てゆき
そして世界へとかわるのでした ....
この先が見たくて
ここを越えて新しい
世界や自分が見たくて
君は気付いてた?
プライドがとても高い君は
いつでも僕の右斜め前
その半歩先を歩いているね
そこが君の指定席のように
表情を伺ってばかりの僕は
いつでも君の左斜め後ろ
その半歩後 ....
鳴かぬなら 殺してしまおう ホトトギス
鳴かぬなら 鳴かせてしまおう ホトトギス
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス
まったくもって酷い話だよ
ホトトギスの気持ちはどうなるの? ....
空が
暗く暗く暗く
ティシューをつまみました
そして空へ
空は白くはならず
私の頭にゆっくり落ちようとするだけでした
お客様、番号は何番でしたでしょうか?
....
鍵をかけましょう
心の扉に
誰も入って来ないように
ノックしても無駄ですよ
私には届きませんから
無理に開けようとするのも止めて下さい
壊れてしまいますから
誰にも会いた ....
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