ありのままの
星空よりも
ふんわりと雲のかかった空を見上げ
満天の星空を
想像する方がきれいかもしれない
ありきたりなことだけれども
わたしたちの想像力は
ある種の創造力よりもずっとずっ ....
「こっ、これは
ただの糸電話じゃないですか?」
「そう見えますが違います
iPhoneは誰とでもつながりますが
itoPhoneは一人としかつながりません」
「持ち出して外で使えなけれ ....
詩人のふりをしていた似非随筆家がくたばり
みんな瞳をのぞきこんだ
そこにはただ
遺族に裂かれて捨てられた
人生訓もどきの山が詰め込まれているだけだった
....
とても
大きな夕暮れの
前に
ただ
泣き崩れてしまった
嗚咽を
もらしながら
ことばに
出来ないことは
こんなにも
苦しく愛おしいものだと
知った
瞬間だった
....
西洋では日曜日には
教会の鐘が町中に鳴り響く
皆子供達が出かける。
私たち幼児は特別な部屋で
面倒を見てくれる。
そして甘くないまずいブドウジュースを貰う。
礼拝中は小さい子はうるさい ....
お昼寝の時間
うまく
流れに乗れなくて
眠ったふりで
じっとしていた
人影がくる
園長先生
ことば
かわすわけでなく
寝顔を眺めて
うなずいている
そうして
ブ ....
{引用=
少女はあしあとをのこさなかった、水はけのわるい雨にゆるんだ
校庭をあるくときも、また、うすく雪のつもった歩道のうえをあ
るくときにも、わたしは彼女に聞いてみたことがある、それって
....
原寸大のあいを
ゆりかごで揺らす
太陽のひかりを浴びて
おおきく育まれた
栄養素というむすびつき
遠くで誰それが呼んで
名があかく色づいたよう
葉脈を通って
根から吸い ....
七月七日は
晴れだったんだろうか
雨だったんだろうか
そういえば私は
一年という月日を君と過ごして
入籍を決めたのだった
色々な人々が
星のもとで生活していて
私と君が
しあ ....
  
 
父の隣の病床に
テレビが入院した
治すよりも
買い替える方が安いですよ
と医院長は言ったまま
ろくな治療もしない
翌朝テレビは死んだ
....
息子もいつか
フルーツパフェに登りたい
などと
わけのわからないことを言って
この家を出ていくんだろう
わたしもかつて
プリンアラモードに登りたい
と言って家を出たけれど ....
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
戸棚のクッキーが
食べられていた
何もないように
皿だけ残して
同じ大きさの
宇宙の皿に
ふたたび
クッキーが現れる
ぼくに
食べられるために
からだのどこかでおぼえてる。
きみのこと、いくつかのこと。
ひとにはいえないような、
ひとのことはいえないはなしをしよう。
青信号であしたはすすみ、
赤信号できのうはとまる。
きょ ....
わたしは男のくせに、何も出来ないのである。これでも妻と息子を食わせているつもりであるのだが、殊、家のことになると別問題である。
先日用事があって、妻が息子を連れて仙台の実家に帰った。 ....
都会はいいねと人が言う
暮らすところではないけれど
雪国はいいねと人が言う
暮らすところではないけれど
だから人は旅に出る
暮らしを離れ
夢を探しに
ふりつもったばかりの
しろいゆきをほると
くろいつちがでてきた
そのつちをほると
こんどは
しろいほねがでてきた
しろいほねをほると
またくろいつちが
しろいほねが ....
ポケットから
手帳を取り出す手が冷たい
ことばを整理する
その過程で
冷えてゆくものも温まるものもある
あられが窓をしきりにノックする
冬が訪ねてくる深夜
うまれてきたことに感謝し
....
千代千代と鳥が鳴く。冬には朱色だった夕方がもはや黄色である。子宮が死んだ。かの様な月がまだ暮れない空に浮かぶ。女。隣に住む奥さんが産まれたばかりの赤子を連れて庭園散歩から帰って来た。其れを見た女は ....
このきもこうよう
するんだね
そういわれるひまで
どれだけの
つきひをついやしたのか
たくさんの
ごかいがあった
このきは
きではないのかと
いわれた
ひも ....
君が押し花してくれた
葉もつけてくれた
すぐに覚えられた
これを見ると
君を思い出す。
結婚を諦めた
そう言った君を
思い出す。
君は入院してしまった。
家族はバラバラになり ....
ヒロシマ
といって
アメリカをにくんだ
フクシマ
といって
ニッポンをにくんだ
そうして
わたしたちは
にくむべきものを
みうしなった
いなほが
かぜにゆ ....
しぜんはとても
ふまじめだ
こどもができたら
そだてるおかねどうしよう
がくれきは
しゅうしょくは
せきにんは
なんて
まったくおもわない
ふりょうほど
し ....
秋の言葉を山盛りにした籠には
色とりどりの付箋が貼ってある
坂道の先の赤トンボが群れている辺りに
配達する家があって
どんな挨拶を交わして
玄関を入るべきかを考えている
素肌に纏っ ....
....
ひとつになろうと
ひとはいうけれど
わたしたちは
はじめからひとつなのだ
それなのにひとは
ひとりになるために
ひっしにいきているようだった
ひるもよるも
きせ ....
せみが
ものをいっている
ぎえ
ぎいぎぎぎい
いったい
どんないみなのだ
いみをしって
どうするというのだ
そういえば
姉の名前は
梨の華と書きます
はじめての孫に祖父が名づけました。
昨日の午後に
私はのこぎりを持って
全身を使って
梨の枝を切り落としていました
父と一緒に
....
かぜはなぜ
ふいてるんだろう
しんぞうはなぜ
うごきつづけてるんだろう
ほしはなぜ
そのほしをちゅうしんに
わたしがいなくても
まわりつづけてきたんだろう
....
風は ふいに吹いて 窓を叩く
黒板の向こうに 鯨がゆく
地学の時間のあくびと 古生代
わたしが 海から来たのなら
うたたねで見た あの鯨は 真実、わたしの古い友人だ
だれかが私を呼 ....
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