ときどきわたしは きみのけいこくをわすれてしまっては
傷を縫った糸を食いちぎられる思いをする
ときどききみは わたしのおもいなくときにあらわれて
たどたどしくやわらかく、レクチャーをして ....
日の当たらない屋上で
ぷかぷかと煙をふかす
何も考えたくないけれど
よぎるのは同じ事ばかり
この前誰かに問われた
何の為に誰の為に
苦笑してやり過ごす位しか
誤魔化す術も思いつかない ....
†ヒスイ†
緑まばゆいこの丘に
君のヒスイを埋めよう
哀しみが溶け込んだ
君のヒスイを埋めよう
ぽつりと流れ落ちた
その温かなしずくの中に映りこむ ....
冷たい空に
根を張った樹形
空気を吸い込み
邪気をはらってくれる
何も言わず
今日も立っている
何もはばかれずに
正の気を出してくれる
アコーディオンの
大道芸人は
今日も ....
寒いねって、つぶやいた
Fw:寒いねって、返ってきた
あなたの膝のうえで
まんまあるくなった
温かいねって、ささやく
温かいねって、返ってくる
コンコースに響く
着メロの不協和音
スモッグの下
クラクションの多重奏
熱帯魚たちは
濁った街を泳ぎ
あちこちに転がる
温んだ水にまどろむ
浅い眠りの透 ....
ひとめぐりする
違いについて
考えてみようと思うけど
夕日が沈むのか
それとも
僕らが遠ざかっているのか
わかるものか
薄っぺらな紙も透視できない
僕らには
粘土層を貫いた深い根 ....
わたしが
どうしても我慢できなくて
でも、教室には絶対間に合わないし
歩道に面していくつか並んだ
車庫の一番奥に勝手にはいって
おしっこしたって
話したら
妹はそこで、ひとり、
....
君の身体の片隅に
夕焼けが腰をおろすころ
僕は心の模様をたどる
君の存在を指でなぞる
それは下書きのまま君にあげる
いつまでも清書でき ....
みかんの皮をむくと
いくつかのいのちが並んでいる
土にまけば
また
みかんといういのちが
生まれていたにちがいない
くやしがっているだろうか
人の手が汚いと
叫んでいるだろうか
....
沈んでく夕日みつめてひとりきり誰を待つのか知らない黄昏
さよならと言えないままに日は暮れて君と二人でどこまで行こう
終わらないあの日と同じ夕間暮れ悪夢にも似た遊戯は続く
いつまでも日 ....
もしあなたが
どこか遠くのほうで
泣いているとしたなら
わたしには
すり寄ることも
包みこむことも
その涙を
掬ってやることも
難しい
伸ばした腕の先に
あなたを見つけ
躊躇う指の先で
あなたを撫で ....
切り取られた一部のような
柔らかな陽射しと
穏やかな雲のワルツ
私はただそこに立って
無音のメロディーに
耳を傾けながら
秒針が幾度も描く円さえも
この瞳を奪えないほどに見入っていた
....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり
耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する
すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
....
この頃は
新聞の死亡記事を切り抜いて
町内の電信柱に
べたりべたりと貼り付けることにしている
今日もこんなに沢山の人が死にました
毎日毎日人は死にます
これだけの人が死ぬ中で
わ ....
毎年、節分の時期が近づいた頃
駅には近所の小学生の作った『鬼のお面』が飾られる
"上手な子"の作品が選ばれて飾られる
自分の作ったお面が飾られる子供は
近所の おば ....
鏡を見ていると
もうひとり
自分がいるような
そんな感じがする
鏡に映っている
自分が
本当の
そのままの
自分なのかなぁ
少し
びっくり
することもある
もしかし ....
ころがる
しずかな すいへいせんの上
あさ
お茶をわかしながら
てのひらで
背骨をなぞった
恐竜のように
そらへとつづく梯子の ように
あなたが
つづいている ....
いつでも急いで履くし
履きかけで何歩も歩いてしまうので
かかとから靴はいつでも痛んでしまう
妻も老いた母からも
もっと大事に履けとか
みっともないから止めろと言われるが
そういうことに構う ....
心の底の声を
君は聞こえるかい?
手を伸ばせば
助けてくれる。
世の中はまだまだ
捨てたもんじゃない
生きる事を大切に
人に心を与える楽しさ
優しさを取ったら
何も残らない
....
ひかりがひかりに逢えるように
そうであったうたに戻れるように
ひかりがひかりになれるように
そのままの水を飲めるように
足にからまるまだらな音
消しても消しても残 ....
私の影がそろりと
地表から剥がれる時
私はやはり独りで
遠く空を見上げているのだろう
そして夜毎夢の中で
出逢う死者たちは
いつもと同じ柔らかな手を
差し伸べるだろう
けれど彼 ....
地下をめぐる清流
宇宙から撃たれた
偽りのテーブル
その支配を暴く
我々を去来する
天命が凍りつく
地下をめぐる清流
宇宙から撃たれた
暖かな色した
おれんじ
深い色した
こん
空は何時でも
こころと
りんくしてる
いま
この瞬間は
もう
何も
いらないね
あなたは
そんなもの
ないって笑ったけど
ほら
あったでしょ
なないろのばら
悲しみのいろ
憎しみのいろ
そんないろしか
思いつかない
自分がきらい
そう言ったら
ほら
これは
喜びのいろ
....
おいらは孤独な道化師
ホームレス、ネットカフェで
寝泊りして
その日暮し
夢なんてない
腹いっぱい食べてみたい
人の役に立ちたい
何も悪い事はしていないのに
寒さで錯乱状態の仲 ....
虫のいどころでも悪いのか
いつまでも押し黙ったままで
あなたはテレビの画面を眺めるでもなく
そっと箸を置く
テレビのなかには
つまらないギャグに笑い転げる顔があり
テレビのそとには
....
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
愛おしいひとからの糸が垂れてくるのでそ
れをするすると引っぱっていると空がほどけ
てすっからかんの空になってしまい空の上の
ひとに「なにを考えているんだ」と怒ら ....
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