羊水の中で生きぬように
私はかく強くありたい
境界線に達してもいいさ
それが私の生き様となるのなら
羊水の中で溺れぬように
私はかく厳しくありたい
機械にも人形にもなりたくはないさ
....
ほんとうにあるのだろうか
この身ひとつでゆけるところなんて
そんなところあるのだろうか
肉や骨やで出来ているこの身ひとつだけで
おたがいの
純な気持ちの正当化が
....
群れを成し
一点を見定め
乱れぬ様は
予め組み込まれた
仕掛けのように
波紋がやがて
飲み込まれ
波間の一部となり
消えゆくように
石瀬に映る影が
揺れながら
あとを追う ....
夜が控えめな口で笑っております
ニコリと、いえニタリと
時折墨色のハンケチで覆い隠しながらも
笑うのをやめようとはいたしません
ウフフと、いえキヒヒと
奇麗な弧を描く口元に見惚れ ....
花は散り
葉が開く
ベルの音
オレンジ
人に頼られ
人に好かれ
人が優しく
尊敬される
思わぬご褒美
永遠の薔薇を
重圧を感じる
裏切を封じる
いつもの時間
いつもの場所
いつもの景色
幸せな空間
それでいいと思う
何も欲しがる必要ないと思う
これ以上は望まなくていい
今がきっと最良だから
....
その日はとてもいいお天気で
猫ですらも暑そうだった
私はベッドにうつぶせになって
布団に体を沈みこませていた
そのうちに
耳に聞き慣れた音が忍びより
私を、不安に陥れる
また、やって ....
東京、ぼくの見た東京
髪や服に滲みついた煙草と、酒と青春と
01/06/2007
イヤフォンは四六時中、質問を繰り返す
だから答えばかり眺めている
きみのいないところで
間違い ....
ふうと一息
空に向かって
シャボン玉が膨らんでゆく
光に照らされて
青くなり
赤くなり
くるくる回る
たくさん飛ばして
気づけば
シャボン玉の空
地上では
アジサイが ....
さよならを言ういとまを
あなたはくれないだろう
私の知らないうちに
あなたはどこかに消えるだろう
夜空の星はいつまでもそこにあるわけではない
青空の太陽はいつまでも輝くわけではない ....
ゆらゆらと揺れる
木々の間で
風に吹かれて
瞬きを思い出す
一つ、ぱちんと
音をたてて
瞬きをしてみると
風がそっと
頬にキスをした
吸い込まれそうな
深い、青の ....
きょうはいつもと違う降り口だった
彼といっしょに通勤したからだ
いつもと違うラッシュアワーであったのは
会話するひとがいたからではなくて
女性専用車両じゃなかったからかも知れな ....
夏
森には緑が生い茂る
その中のたった一枚の葉
その葉がなくとも
森は揺るぎないだろう
でも
その一枚の葉が
一枚の葉になるまで
どれだけ過程があるのだろう
その一枚にも
命が通っ ....
ありがとう
ありがとう
自然にありがとう
生命にありがとう
命の潮騒
波の音
鼓動
月
他人を犠牲にして
生存権を奪い取り
当然の権利として
競争に勝ってゆく
いつか見た大きな虹
空に架かった大きな橋
24色の色鉛筆じゃ描けない事
あの日はじめて知ったの
ねぇ あなたは知ってた?
その日は限りなく純白で
限りなく静寂だった
まるで雪が色と音を吸いとってしまったかのように
真っ白な空から降ってくる真っ白な雪は
やっぱり真っ白な白砂糖のようで
白い湯気をたてる ....
先日、祖母の誕生日でした。
80歳になりました。
「傘寿」というらしいです。
「傘」の略字が縦書きの「八十」に見えることから、そう呼ぶのだとか。
来年は「盤寿」だそうで、その後も「卒寿」「白寿 ....
六月の薄い胸に
雲の痣が白く浮かび上がる
体育座りの女の子の膝のような
山々は
深緑にけぶる
出発するはずの電車は
死んでしまったかのように動かない
信号機はうなだれ
....
満たされぬ言葉想いて立ちつくす
足元に身をすり寄せる猫
故里のなまりやさしく語る友
友も故里をとく出でしなり
何着ても似合はずなりし我が年を
哀れがりつつせめて紅さす
故里の老 ....
さらば
私の中の少女
セーラー服を盾に
無邪気を剣に
守られながら叫ぶ時はとうに過ぎ去った
いまや盾も剣も自分の心と体でしかないのだ
さらば
私の中の初夏の風
爽や ....
渓流の音を引きながら
潅木の尾根へ向かう
苔むした倒木
ぬめり しめり
厳しく鳴く 色とりどりの小鳥
影 押し寄せる
山の霊気
汗 額を伝い
心拍はあがる
狂気のよう ....
恋の道 照らすかのよう 月明かり ためいきさえも いと柔らかに
道すがら 出会った二人 ときめいて この一瞬が 永遠にと願ふ
優しかれ 涙はすべてを 許します 闇に小さく きらりと ....
おそらく男の多くが女の下着姿には興味がある。それが行きすぎて犯罪に手を染める人もいるほど。盗撮、下着泥棒などなど。罪を犯す人は典型的だけれど、男の多くが相手の女の事情をあまり知らない。私も含めて。
....
余りにも多くの人に
あってしまい。
自分の中で
夢の中で消化できない
気持ちを理解するのに
時間がかかる
思いが塊となって
押し寄せてくる
胃が痛い
夜食を取る
太る
散 ....
(ミルクティを飲まなきゃいけないの
(ミルクティ、ある?
(歯を磨いたんだから、もう寝なさい
最近、きみは早く寝てしまうから
赤いランドセルの留金をひらいて
見てしまったんだ
....
小さな影に
小さな水が触れ
小さな手のひらのかたちとなり
雨の木陰に結ばれてゆく
風を後ろに
花はひらく
ひろく けむる
ひとつ ゆれる
野に落ちる光
川に立 ....
なんども欠伸をしたけれど
深い海鳴りはやまなかった
孤独なのは俺が
ひとには言えないことをしてるから
そうさ、それが
知らぬが仏、ということなのだろう
なん ....
愛すことを忘れた
曖昧な笑みで
あなたに似たあたしは
赤い糸を
あちこち千切っている
朝に疲れてしまった
あたしは、そっと
新しい夢を見る
明日を、探している
飽き ....
花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。
父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
海が黒いね
ひび割れているの
それはあの大きなタイヤだけだよ
もうずっと
さっきあなたが
持ち上げて
少しだけ転がすまで
倒れたままだったね
ひび割れるまで
ほら海の ....
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