遭難
山中 烏流

揺れる電灯を
膝立ちのままで、消す
扇風機からの人工が
生々しく
私の頬を通り過ぎる
 
茶色い光の下
飛び交う光がある
テレビを消してみた
全く
見えなくなって、しまった
 
 
手を伸ばした先に
世界の断片が、あって
触ろうとしたら
勝手に砕けてしまった
 
欠片を、そっと
両手で掬ってみる
きらきらと光っていたけど
それが何なのかは
まだ分からなかった
 
 
昨日、踏み潰した花は
 
今日、生き返っていたよ
 
 
ゆっくりと目を閉じて
時計の音に
耳をそばだてる
 
終わりのないものに
なれてしまったみたいで
怖くなる、と同時に
とても
楽しい気分だった
 
 
 (太陽を
 
 (しばらく見ていない
 (気が、する
 
 
空を
 
しばらく見ていない
気が、する。


自由詩 遭難 Copyright 山中 烏流 2007-06-25 02:03:41
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