蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨
現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど
安らぎは
もっとずっと
遠かった
求めたものと
与えられたものと
砂粒みたいに
隙 ....
ひまわりのうなじは
ふれると
かたくてざらざらしていた
ひまわりといえば
黄いろと茶いろ
そのいろが語りかけていた
おう、そうかあ、
それはたいしたもんだなあ、
冷えたコロッケの香り ....
ペットボトルが散らかった
小さな部屋の
6センチの窓から顔を出した月を
今はねむいから、と
人差し指で押しのける
ぜんぶ
見えなくなって
ちょっと冷たかったかな、なんて
ハミ出さな ....
君とならんで泳ぐ
それだけ
ちょっとだけ
幸せ
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ
やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする
やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
名残の夕立に
溶けていく
そんなあなたが溶けていく
明日は皆既月食
もしも
ほんとに地球が
月を食べちゃったら
悲しいね
月のうさぎも
いなくなっちゃう
夜空に光も
なくなっちゃう
願い事も
できなくなっちゃう
....
夏空の雲
お、あれは俺だ
俺は夏空なんだと
勘違いしている
雲だ俺は
もこもこもここもこもこ
宇宙からのぞけば
たんなる地球の模様だよ
夏空の雲 ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
浴衣着た
乙女の数で
気がついた
今日は
びわ湖の花火大会
続々と
打ち上がる音
聞くだけで
私カタカタ
仕事終わらず
あの日見た
打 ....
静かなるこの夕べ
魔法の世界
空間が歪む
暑い朝、暑い昼
飛びかう情報
滅茶苦茶のおばさん
尊敬なんて言葉が無い
誰も頭を下げない
金金金銭銭銭
気持ちが伴ってない
親から ....
あるメロディーを聴いた
けたたましい騒音の中から
あるメロディーを聴いた
さかまく日々の雑音の中から
街に集まった人びとは
メロディーに合わせて歌を歌った
どんなに綺麗 ....
きみもいま
地球の重力のなかにいる
月を見てる
おなじ引力のなかにいる
もう二度と
積極的には会わないひと
さいごの約束を
ふたりで破ったのは
何年 ....
私達は
狭い空の鷹
傍若無人に翼を広げ
疎む声は聴こえない
私達は
晴れた日の雷
平穏無事を突然壊し
嘆く声は聴こえない
私達は
樹林の中の焔
湖の厚い雲影
白い壁の ....
感情が泡の様に生起する
産まれては消え、消えてはまた気まぐれに現れる
胡蝶が視た夢の様に儚い現実
ある時絶対だと信じた世界の認識は
すぐに別の大きな波に浚われ、記憶の深淵にゆっくりと沈み込んで ....
堂々と
真夏を誇った
向日葵が過ぎ
いつの間にか
ひそやかなやさしい
秋桜の花が咲きはじめた
季節が
かわっていく
止めることは
出来ない
誰にも
目から水を飲み
花になり
やがて言葉に
うたになる
数歩のぼる風の音
ひとつひとつの段の上に
しずくを含んだしずくが震え
空を囲む樹を映している
触れてはこ ....
知らない内に咲いたんだ
夏花
柔らかなぴんく色をした
まるで、夏休みに恋をした
小さな女のコみたいで
緑色の細い腕を
一生懸命絡み付けて
この夏、最後の恋命を
たったひとりで
咲かし ....
松ぼっくりも
気づかないうちに
こんなに大きくなっていた
ほんとに秋がくるんだ
黄金色の秋が
色づく秋が
天に向けて咲く花の
香は地に這って 熟み淀み
ひれ伏して嘆く夢の
その清浄を食みながら
私は 私は
還りゆく夢の
最期の一片を 奥歯で砕いた
花はいずこに咲くのだろう
古風な恋愛をしたいって
女優さんが言っていたような気がする
三歩下がって師の影踏まず
じゃなくて
それは夫唱婦随ってやつだよね
男尊女卑だと指差されそう
でもね
ちょっと考え ....
ゾウが支える世界の右で
小さく小さく座り込む
静かに赤い太陽が
ゾウが支える地面の下に
ゆっくりゆっくり、潜ってく
ゾウが支える世界の右で
夕日と虚無を眺めます
....
海に浮かぶ吐瀉物の様な雲
ノアの箱舟で誰か酔ったかな
海と空は溶けてしまったみたい
だからあの飛行機は魚だと思うよ
もし本当は僕が魚人で君が人間でも
愛し合う事ができるなら
先祖みた ....
雨の名残のしずくが
葉々から伝い落ちる
久しぶりの雨に
葉や花が
笑っているように
淡い光を受けて
やさしく
しずくを
滴らせている
するする
溶け出すように
きっといま
ぼくは
終わろうとしている
夜と朝の
この狭間で
ぼくは
ほどけて
明日はまた
違う僕が
笑って
きらきらを
なでてる ....
秋色の冷たい風を伝い
夏を施してゆく
胸を締め付ける余韻を撫でるように
下へ下へと流れて消えた
涙を堪える癖は誰のためでもなく
移りゆく“時”に静寂を与えるため
咲いては散り
散っては咲いて
....
優しく、風に靡く。
美しい、羽根は。
生えなかった。
空を、切り裂く。
硬く、強く。
脆い羽根を付けて。
ごまかした。
一行が零れてきそうな
静けさに
眠りなさい と
夜は耳元でささやく
白い羽を揺らす誘惑に
応えようとする肉体
沼地の底に落とされるかもしれない
そんな不安は
片顔隠した月が
煙草 ....
自分では
絶対着ない色だけど
好き
淡い淡い
恋心のような
透き通った透明や
闇より暗い漆黒
あたたかな黄色や
蘇る緑
世界は
彩りで溢れてる
愛にカタチがないのはね
きっと カタチがあったら 壊れてしまうからなんだよ
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