はじまりは一本の大きな幹でした
その幹がどんなに大きくたって
みんなみんなその場所にいたから
誰かが声を発すれば
その声は確実な伝言ゲームで
紛うことなく誰かのもとに届けられました
や ....
ヒーローだったことについて
話す気になった
守るものを見つけたから
ヒーローの後の仕事として
誰からも愛されないヒーローになり
どこに行くにも
無人島がつきまとった
悪は相変わら ....
無知は孤独を理解できない
彼は言った
私にはただ、昨日のキスのように思える
暖かい気がして、いいえ、それは確かに暖かいのに
温もりは消された
振り返って、それからまた ....
ドロドロの田んぼの中をはいつくばって
生き物の猥雑さの
皮膚と鼻と口と目からしみこんでくる緑と汚濁に
わずかに厭う潔癖さをかなぐりすてて 染まるにまかせると
肉体が饐えた深いため息をつく ....
ちいさな頃書いた、日記のように
空を何度もみた
いそがしいんだ、私
匂ってくる
なにもない、があるよ
との言葉に
泣きたくなる
こんな、ありきたりで、
罵ってください
むかし ....
光にあたりたい
ただ それだけで
日光の当たるところに何かあれば
必ず 陰ができるように
光の当たるところにだれかいれば
必ず だれかの光が途切れるのです
それでも
欲 ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
まだ 明けぬ
朝間の空に
日の使者は
濡れ羽色した
大烏
烏 鳴く 鳴け
朝焼けを
呼び込む 力
漲って
今 日は昇る
いつもの リズム
右手にアイボリー色の傘
左手にスケッチブック
いつもの原っぱ
大きなくすのきの下に
しゃがみこむ
パレットにはお空の涙
透明な絵の具を
筆先に含ませ
描写する世界は無限色
....
見上げた空
偶然の 流れ星
あの日の涙 思い出す
サヨナラ ナミダ
さよなら あなた
夜明けとともに
目的もなくふらふらと
外を歩いてみる
そこの夏は冷たかった
葉の上の雫に触れ
その一瞬にしかない冷たさは
手のひらの中で
やがて消えてゆく
川のせせらぎの音も
....
ほら
きっとあの雲のなかには
朝陽が隠れてる
薄い天使の梯子を下ろして
わたしを天空へといざなう
雲の色も形も
刻々と変わって
変わらないものなんてなくて
永遠なんて信じない
この一瞬がすべて
....
詩について一生懸命考えていると
ときおり
その胸の中に詩はいますか?
という澄んだ女性の声がしたもんだから
私は飛び上がってそうですと答えたけれど
実際詩という姿を見たことも ....
手を引いて
歩く指先は、きっと
温かかったような
そんな気が
している
お母さん、と
間違えて呼んだ私の
頭を撫でては
大丈夫と
微笑んでいたから
髪を結う仕草の ....
なぜ
些細なことで殺しあったり
つついてみれば
脆弱な理論に扇動されたり
なぜ
こんなにも人は
君のアドレスを消去することにした
一件消去しますか
イエス
一見消去しました
僕は 君を忘れることができるだろうか
鬼さんこちら
手の鳴るほうへ
あたしのあとを
追いかけてきて
校庭に伸びる
わたしの分身
光を与えられない
無邪気な沈黙
朱色に染まる
雲の峰 ....
風の言葉は聴かない
大きな波間に揺られてしまうから
静かに耳を閉じて
心の水底を漂うだけ
哀しみの理由は知らない
日々を馴染ませる湿度のようなものだから
低空で胸を開いて
攫 ....
A「明日から夏休みやね…」
B「『青春18きっぷ』買ったんだ」
A「『乗り放題のトクトクきっぷ』っていうやつ?」
B「そうそう。それそれ。」
A「どっか行くの?」
B ....
このやさしき夕暮れのなか
あなたはなにを想う
陽が沈んでいく
あたたかなやさしい一日が
終わろうとしている
このやわらかき黄昏のなか
あなたはだれを想う
星を見上げて
一人のベランダ
月の明かりが
孤独をうつす
ため息一つ
フゥ…とついたら
歌の終わりの
ロウソクのように
月も、星も、
全てが消える
....
私。
どっぷり
水に浸かって
悩んでいました
生きるべきか
死ぬべきか
ここは闇
先の見えない
私。
迷っていました
出るべきか ....
GIVEが先、TAKEが後
与えて与えて与えて
始めて貰える物
皆損得で動いている
GIVEばかりでもだめ
TAKEばかりでもだめ
GIVEですぐに見返りを
期待すると行き詰ってしま ....
何かに追われて
自分が見えなくなって
約束すら忘れて
遠い遠い道のりの途中で
出会いがあった
運命と呼ぶには
少し大袈裟な
そんな出会い
他人は他人
自分は自分
....
中古品も
古着もきらいだけど
アイシテルって言葉は
何回使ってもいいよ
今まで見えなかったものが
見えるようになった
自分が生きている今の世界が
迷路になっている
高い壁と細い道しかない
何も拠りどころもなく彷徨い続けると
展望台と書かれた案内板があった
そ ....
あの
紅く透き通った朝陽は
使い古されることもなく
一日中世界を照らしていく
この光を待ち焦がれる夜も
この光を恐れる朝も
この一日
誰かは泣き
誰かは笑うだろう
わたしはたぶんたくさん泣き
き ....
舌のざらつき
肉の指紋
おまえのフェラは
そこを紅いろにする
ルドンのようではっとする
没頭する髪の毛を撫でてやる
意に沿わない仕草で深くなる
舌のざ ....
夕方の街
見慣れた通り
不思議な空
切り取られた
時間
+落葉の日には
赤い色、青い色
残りの空を数えている
穏やかな日々、頬は
青く紅葉として
時間は等しく流れていく
境目に乗って遊ぶ
あなたの身体に耳を置く
....
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