夕焼けになって
曇り空も夢の中ね
大丈夫だよ
あたしたちは寝不足気味の眼をこすって
それでもここに居ていいみたいだから
明日は晴れるよね?
永遠なんて信じてないから
変わ ....
大丈夫
俺が
ゆくとき、
あいつが
もしも
あいつが
まだ生きているようなら
俺が
必ず
連れてゆく
だから、
いいか
お前は
あいつを恨むことで
己の穴まで
掘らないで ....
古本屋の中で
眠ってた
本を抱いて
それは湿気ていて
暖かかった
店番の
おじいさんは
お弁当を食べていて
たまに
お茶をずずーっと
すする音
幼稚園から
逃げ出してき ....
あの人が
あたしを
ピンクに
染めていく
耳のうらまで
染めていく
靴をぬぎすてて
乾いた道を疲れるまで
進んできた
僕は裸足が好きだ。
裸足で土を踏みしめるのが
好きだ。
ときどきうめき声をあげさせられる、
そのふいの痛みが、なにか重大なことのレッスン ....
里帰りが終わろうとしている前日は
意識が無音を好み
笑顔の裏側で背中が
泣いていた
変わってゆく景色の中に
変わらぬものを探しては
胸を撫で下ろす
瞼の落ちる一瞬さえも逃してはなるまいと
刻み込ん ....
欠落を隠すのは、詩人に非ず
じっとしているそこのあなたよ、
ひとしきり震えた後、その後悔を夜の海に葬り去れ
去れ!
月明かりの美しい夜に、深い幻を作り出せ
流れはじめた後悔は、どこへ流れ ....
ちいさい頃
留守番の夕暮れ時
椅子の下だけが安全な場所で
顔が出たら溺れてしまう
足が出たら喰われてしまう
と思いこんでいた
入学式前
ランドセルを背負ってみたら
ランドセ ....
これは
その日もまた風の吹く日で
風の吹く日の桟橋は弾んだ
黒い深い雲は西へと進み
それでいて天上から尽きる事はなかった
赤銅色の鉄板が跳ね上がる
同色の鎖は少しも流れていかないように ....
その人の
麦藁帽子の影落とし
額の重さが
夏になった
赤く錆びた鐵骨マエの死体から
頭でっかちの奴らが、ふたたび湧き出す
怒涛のごとく押し寄せる攻撃は、日に二度ほど
きまって朝と夕 規則正しくやってくる
その、ぶよぶよした肌に刀を突き刺すと
....
妖精になりたいな
虹色の翅をひらひらさせて
花の蜜を吸って暮らしたいな
気まぐれに梢を揺らしたり
あなたの帽子を飛ばしたり
満月の夜には月明かりの下
湖を滑って遊ぶの
月の光 ....
何処までも澄んでいるという
明日の空を夢見て
僕は
視線を泳がしている
世界の涙を粉にして
混ぜ込んだ、砂場の真ん中
僕はただ
足をばたつかせて
(腕を広げて、飛び ....
寄り添う民は顔を並べ
一つの空を仰いでた
真綿の雲に腰かける
マリアに抱かれた幼子を
逆さのままに
舞い降りる天使等は
丸い顔で母子を囲み
小さい両手を重ねてた
....
1998/06/28
しかし、SRは軽快に、
小粋に走りたいものです
400ccが本命でしょうね
もう少し軽く、足回りも華奢に
街乗りでは今のは少し重 ....
たあいも ないことで
かんたんに
きずついたり
しぼんだり
やわらかな
きみの たましいは
まいにち とっても
いそがしい
だけど どれだけ
いそがしくっても
....
この水滴はなんだろう
風に混じりながらほそながくのびてゆく知らない子供のよだれ
常磐道
星をちりばめてする虫たちのセックスのしずかなマジさ加減にびびりながら
自転車の沈む前輪と後輪 ....
いとしめやかなアイボリィ
遥々と注がれし、名も知らぬひかり
廃墟に移ろう古代からの縲々たる遍歴に溶けいるようで―
風はどこから来たか
西か? 西は神の湿地、金属の焦げる病の、
東か? 東 ....
こたえ、という
ことばそのものは
とてもかよわいものです
だからといって
あきらめたりはせず
突きつけることもせず
こころは、そう
並んでいけたなら
じゅうぶんだと思います ....
水無月の夜
長雨が流す 街波の排気
初夏の風が 白いブラウスを
揺らす
雨後の 空気は 新鮮で
深呼吸する 肺は透明に
清々しく
木々たちが 雨梅雨を
振り落とす 街の路上 ....
普段は絶対に使わない漢字を
みんなはすらすらと書いている
そんなことぐらい
書けて当然らしい
でも手紙や作文の書き方を
ほとんど知らない
当たり前のことが
わからなくなっている
複 ....
私を悲しませないで
私達を引き剥がさないで
私たち愛し合っているの
愛のないあの人なんて嫌い
束の間の愛
一瞬しか許されていない
愛の力は大きい
病気を良くしてしまう。
でも結 ....
ひと足踏み入れば
彩る花弁の甘い香りが
しあわせの時を与えてくれる
いつの日も
六月の雨に濡れている足が
軽やかに茨を縫って進み
見え隠れする背中を追う
赤い薔薇、白い薔薇、あなたの ....
わたしは自転車に乗って
同じところをぐるぐる回って
後悔と
希望と
哀れみと
幸せと
悲しみと
喜びと
憎悪と
感謝を
ぐるぐる回って
....
ひたむきさは許されず
素直さは捻じ曲げられ
行く当てはなく
なにもないわけではないけれど
ざわめくのは、やはり僕もであって
目的地なんて季節のように
移ろい続けるんのだろう
しとしと ....
{引用=「序」
万華鏡に
甘い想い出だけを そっと詰めて
くるくるまわして のぞきこむ
金平糖のじゃれあうような
さらさらした音がはじけて
あまりの甘さに 歯を痛めて ....
夏の交差点で
朝に出会ったのは
真っ赤なトマトと
黄色のトウモロコシだった
トマトはトウモロコシの甘い匂いに
胸がきゅんとなって
さらに赤くなった
夏の交差点で
昼に出会ったのは
....
せっかくの連休も 僕は家に独り
遊びに出る お金もないし テレビの前で寝転がる
僕の愛しいサトミちゃんは 男と旅に出るんだって
日帰りではないみたいだから なにもないわけはないな
いつ ....
自分の名前を失くしてみた
自分の名前をてのひらにのせる
初めてちゃんと手にとってみたそれは
案外に硬く
今までそれを身に付けていたにしては
まだ馴染みきっていないような感じがした ....
喜びを悲哀に吸われ
その中で戸惑う心と変わらぬ顔
「おめでとう」
言葉が重くのしかかる
笑顔で返せぬ弱った我が身
無理をして笑顔を浮かべ悔しがる
風呂場で流す涙と疲れ
....
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