太初の日、
神さまは大きな畑を耕しました。
そう 新たなる収穫を得るためです。
愛そのものである神さまは、
ご自分の愛の種を、
畑にまきました。
そうしてご自身のからだを輝かせて、
....
垂れ込めた 雨雲の下
その街は 午後を迎える
あの路地を
右へ折れると尻手黒川線
左側は商店街
猫の通う 細い道
衣料を商う 廉価店や
まだ 人のまばらな飲み屋街
気の早い ....
ひどいことを
じつにさらさら言い募った後で
ごめん
あたし、
心を病んでるの って
えもいわれぬ大噴火を
だから布団に叩きつけた
ごめんな、
お布団
一 「ミッシング・ピース」
手渡されたたった一枚の
欠けた切符のように
行き先でもなく
日付でもなく
空白のはずなのに
それ以上に大切なものを
どこかに忘れたまま
....
はじめての深呼吸は
君に会えない夜に
街灯にうかれた虫たちを
見上げる時の角度で
波を見上げる魚でもない
雲を抜き去る鳥でもない
手に入れた感情の
空虚な その熱さ
埋 ....
近頃やたらと
涙もろくなっちゃった
なんでかな
自宅で映画の予告編を眺めていても
気がつくと
ぽろぽろしている
自分に気付く
やっと梅雨入りしたんだってね
紫陽花は
お隣 ....
チキン野郎はどこですか。
チキン野郎はどこですか。
勝負しますか、しませんか。
それとも竜田揚げになりますか。
チキン野郎はどこですか。
チキン野郎はどこですか。
明日に向かいますか、 ....
「がんばりました」
とても短いけど
私の学校での一日の感想です
毎日ノートに書いて
お父さんかお母さんに見せます
そしたら何でもいいから書いてもらって
次の日に先生に渡します
毎 ....
ひとりきり の かえりみち
いつもと おなじみち なのに
なぜだか きょう は
ちがうみち のような きが した
あのこ と かえる かえりみち
いつもと おなじみち な ....
夕暮れに降り出した雨は
いつしかわた飴に変わっていた
本日の降水確率は夏祭りです
割り箸を持ち歩きましょう
町を歩くと
大人も子供もみんな
甘く優しい色に包まれながら
頭の上で割 ....
真っ白な
紫陽花なのに
なんだか
かすかに桃色
でも本当は
うす青く
色を変えていく花
どんなに
色を変えても
紫陽花は紫陽花
私は私
―半眼 仰向けにソファからガラス棚の中へ
帆船模型の帆が擦り切れる様を想像して、視線を窓外に移せば
季節の欠片がもろもろと崩れながら天気雨に縫い付けられていくところだった
中庭の、陽の当た ....
この宇宙のどこかで 広がる景色は
どれだけの時間を 刻み込んでいるの
海の底に沈む 悲しい歴史は
変わらない気持ちを 物語っているの
真実の愛も 錆びついてしまえば
嘘に変わ ....
緑の山に響くのは
わたしの声か 呼子鳥
夏の滴りに濡れそぼち
わたしはわたしを呼んでいる
遠い風に乗り響くのは
わたしの夢か 呼子鳥
それともあのひとのささやきが
わたしの耳もと ....
君のことを想い
涙したり 笑ったり
君のことを考え
悩んだり 妄想したり
君がいるだけで
僕の頭の中は いつも フル回転で
君という存在が
僕にとって とて ....
買わなければいけないものがあるのに
あなたはまた、あなたに似たものを買ってしまう
部屋はあなたに似たもので満たされていく
あなたに似たもののほとんどはいらないものなので
あなたに似たものがなく ....
幸福になりたい
そして、はっとする
幸福ってなんだ
いまは幸福じゃないのか
だれもがよく思う
そんなことを思い歩いている
夜も
涼しくはなくなった
....
僕の鼻は齧り取られて
どこかに行ってしまった
僕は自分の鼻の形がとても嫌いだったから
無くなって少しほっとしながら
ひりひりする鼻のあった部分を撫でた
いいにおいや
おいし ....
祝いのメロディのなか
少し照れたおまえは
肩をすぼめて優しくゆれている
ななつのロウソクの灯を
遠く、近く
瞳に映して
{引用=
おまえの生まれたときを思い出すよ
(パパ、気絶しち ....
夜が毎日やってきて
ラピスラズリを細かに砕き
私に塗り重ねる
紫陽花は
青から変わることなく
傷みながら
終わりを迎える
君が触れた私の一部が
いつまでも熱を保ち
上手に朽ちる事 ....
はしゃいで飛び込んだプールの底に顔面を泣けるほど打ったけど
涙をプールの水に紛らせ笑った夏でした
カルピスが痰みたいに絡んだけれど
白くて甘い夏でした
台風で傘が根元から折れたけど
....
「観月橋」
せせらぎの音は
いつのまにか、ざあざあと鳴り
錆び付いた欄干が
しとどに濡れる紫陽花の、夜
ここには愛づる月もなく
ただ名ばかりの橋が
通わぬこころの代わりに、と ....
手を繋ぐだけで、伝わればイイのにね。
静電気みたいに、ぴぴぴって。
この気持ち。トクベツだから。
あなただけに…。ね。
木の分かれ目に砂糖水を染み込ませると
それだけで明日が待ち遠しくなる
そんなラジオ体操そっちのけの少年の目には
明日はどんな風に映っていたのだろう
罠に掛かったお目当てのカブトムシは
....
今
暑さの中で
何かが動いている
畑で汗を流す人
工事で体を動かす人
営業で外を歩く人
みんな汗をかいている
涼しい部屋にいる人も
心の中で汗が出る
この汗で
今日という一日が
....
一億年後も愛してるとかどうとか
気の長い話を歌いながら
家の前を中年の酔っぱらいが通っていった
一億年後のことなんてうまく想像出来ない僕は
一億年前のことを考えようとした
一億年前に ....
揺りかごより這い出でて
私たちは人間になったのでしょう
帰る場所が存在るのなら
揺りかごに戻りたいなんて
おいそれとは言うべきではないわね
生きる事は楽ではなくてよ
死ぬ事より ....
女のバラードを
聴きながら夜を走る
坂道をあがるOLの背中
くずれそうな光
思い出なんかつくらない
ひとはせつなくなりたくて
ひとはひとりでありたくて
ひ ....
もしもし、オレだよ。
3年前、心地よい概念に吸い込まれたオレだよ。
ほら、何でも二律背反にしてしまうオレだよ。
大変なことになったんだよ。
是非、振込んでほしい。
もしもし、オレだよ。
....
振り返ったら
影法師しか
あなたの名残は落ちていなかった
雷雨が滑りこむ昼下がり
四角い白い箱の中
些細なことで
笑う
二匹の赤い鈴
あの日
パスタの蝶々結びが
{ ....
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