夏の土は掘り返された
今まで誰もにも見られなかった
その暗黒が
ついに地上の光に照らされ
盛られた土たちは
ふうっと息をついた
初めて受けるその眩しさに
知らない世界を知る
こんなにも ....
鍵が手元に2つあります。
これで無くしても大丈夫。
でもやっぱり無くしたくないです。
我儘だねって笑うかな?
スペアキー。合鍵。誰のための?とかね。
部屋に帰れば暗いです。
たま ....
朝起きると、
夫の蟹を食べる。
水のきれいな土地で生まれ育った夫の蟹は、
沢蟹に似た味がして、
なかなかの珍味である。
蟹は大抵、
夫が寝ている間に、
湧 ....
忘れたくても
忘れられない思い出の中には
必ず忘れ物があるの
気付かずに落とした
忘れてはいけない何か
いつか拾いに来てくれると
ずっとずっと待ってるの
忘れたくても ....
(読んだ後に眼を瞑ってもう一度)
かえるのなきごえ
暗い道
かん高い女性の声
切れかかった蛍光灯の灯り
雑音
空に舞う星たち
かえるのなきごえ
....
来る日も来る日も
こうやって
涙さえでるのを忘れて
来る日も来る日も
こうやって
焦燥を{ルビ抱=だ}く他仕方ない
去る日を何時も
忘れてしまって
うつくし日々は嗚呼何処
....
君は踊り続ける
君のような人間はいない
僕と合わせてくれるような人は
一緒にスコーンを食べてくれて
一緒にファンタグレープを飲んでくれる人
一緒にお風呂に入って
一緒に髪を乾 ....
窓辺には
ガラスケースにしまわれた
誰かの心臓が置かれている
真夜中の無人の部屋に現れる
今は亡きピアニストの面影
奏でられる旋律に
永い眠りから覚めた心臓は
脈を ....
ブラウン管に浮かんだ偽物の海を見ていたら
涙が出てきた
涙も海に帰りたくなったのだろう
あれは偽物なんだよと教えてあげたけれど
あとからあとから
俺も私もと押し合いながら零れてくる
それを ....
やせた、やせた
七キロやせた
わたし、ちょっと綺麗になったみたいよ
そして
あなたのこと、やっと忘れられたみたいよ
さようなら
ポテトチップス
グミ
チョコレート
キャンディ
....
しんせり
この言葉の響き
好きなんだ
真言のような
感じで
ひらがなの、その感じも
ぼくは女と別れてから
とても楽になっていた
会いたい気持ちとは
....
久し振りの友に電話をかけた
女が出た
「現在使われておりません」
と言われた
冷たい声だった
わたしはいい人を演じている
間違いない
人の悪口は言わず
頼まれれば断らず
お年寄りには席を譲り
飲みの席でも気を使い
赤ちゃん見れば手を振って
重い物は無理して持って
泣いて ....
手にしたペンが
ここを握れと言っている
真っ白い紙が
これを書けと騒いでいる
すべての物が語りだす
物と心は離れない
物にも目や口や耳がある
その魂を描くとき
それは物語となる
物は ....
メールが来るだけで頬が緩んでしまったり、とか
声を聞くだけで胸がきゅうっと締め付けられたり、とか
顔を見ると心臓が飛び出してしまいそうになったり、とか
そんな甘酸っぱくココロを染めるよう ....
君は今どこにいるのか?
深い深い海の底で
さながら交換不可能な進化の果てにいるのか?
でも君は人気者だよ
今だってセカイジュウのケンキュウシャたちが
瞳を真っ赤に染めて
君を探してる
で ....
背中が守られている
抱擁でなく
囁きでなく
いつも見えない後ろが
守られて温かい
そんな気がしている
口元が護られている
くちづけでなく
言い付けでなく
冷たい言葉が洩れない ....
ことばなんて おぼえちゃいけないのかな
保育園の先生に さよなら を言いわすれた
ユキ姉ちゃんが
いつまでも半ベソをかいている
そのすぐ傍で たあくんが
「あびば ぷぅー」と叫びながら
そ ....
くちびるは人体で一番敏感である箇所
一番皮膚の薄い部分
誰よりも先にキスをした人は
それを知っていたのだろうか
やわらかくて あたたかくて やさしい
それはキスの相手が君だからか ....
少女を演じてるんです ホントは悪女なんです
男はみんなそうです これを好んでるんです
シイナリンゴを聞いてます 毎晩独りで聞いてます
だけど あの人の前では ドリカムばかり唄ってます ....
何の気なしにそいつを手に取ったのさ
わけなんてありゃしない
そこいらに落ちていたゴミを拾ったような
そんな気軽さ
赤茶色の表紙
そいつはずいぶんふてぶてしい面をしていやがる
まるで鏡に ....
セイタカアワダチソウは
他の植物の
成長を抑える物質を出し
いつの間にやら増えてゆく
あっという間に増えてゆく
あれ、なんか
どっかの誰かさんと似てません?
どっかの誰かさんは
....
なんでも願いを叶えてくれる女神さま
もしも「あの子がほしい」と願ったら
いったい何をしてくれますか
ぼくはどうしていいか判らないのです
それほどあの子を好きなのです
コルトレーンのサックスが
僕のペンを踊らせて
水色のノートに
リズムを覚えた言葉達
派手に転んでは
また立ち上がる
詩がダンスなら
人生だってダンス
空白のページに
素敵な言 ....
砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されな ....
犬小屋で眠っていると、
きつねのこんに声を掛けられた。
「どうして、
そんなところで眠っているんだい?。」
ぼくは、
わるいこだから。
そう答える ....
露草色の空を
のどかな雲が流れて行く
いつか見た雲が白い蝶をかたどって
私の頭の上を
風に吹かれて飛んで行く
どこへ行くのと手を振ると
今度は白い子馬となって
東の空へ駆けて行った
....
私たちは互いを必要としながら
それぞれの場所で夕陽を眺め
明日の湿度を欲しがり飲み込む振りをする
あなたと私は
埋もれてしまったいつかの夏に
栞を置いたままかもしれない
そ ....
捨てられてた子猫
拾ってあげられなかった僕だから
ずぶ濡れの君を
ほってはおけなかったんだよ
優しいだなんて思わないでおくれよ
ただの罪滅ぼしだって
そう思ってくれてかま ....
たったひとつの言葉
大切な
なくしてはならない
いきている喜び
あなたのもとに届けたい
母の日のカーネーションのように
感謝も込めて
日中の眩い陽射しの下で
踊る蝶々も ....
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