お金や幸せを掻き込むという
縁起物の熊手
わたしの望む幸せとは
そんな熊手の上手から漏れた小さな幸せ
例えばそれば
何時に無く目覚めの良かった小春日和の午後
所在無いままに陽だまり ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ
一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒
整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
ハンガーが足りないため
シャツとセーターを7枚着込む
窮屈な身体をもたれ自室の戸を開け
間取りを読み
鏡だけの部屋で鏡が
なぜ
縦にあと3センチ長くないのかを
考える
....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように
きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ
あるばんにだれにも
はなせないことがあったら
ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
きょーちゃんはクリスマスが大好き
サンタさんからプレゼントが届くからです
クリスマスの朝が 一年で一番嬉しいときでした
きょーちゃんは サンタさんに お手紙を書きました
....
きのこ、ひとわんのきのこ
ヒグマの親子のように
部屋でくつろぐ
きのこ、一つまみのきのこ
音のない時計が
時を刻む
きのこ、ひともりのきのこ
絵を見ては
ため息をつく
黒いジーンズに黒いセーター
黒いロングコートと黒手袋
街灯を避け夜に浸ると
アスファルトが
願いで輝いているのが分かる
ウルトラマンになりたい
今年こそ東大に合格したい
宝くじで1等 ....
白くて柔らかい紙で折鶴を折った
シャボン玉みたいに風に乗り
ふわんと上にあがって
ゆっくり流れながら落ちてくる
空気に跳ね返ってまたふわんと上にあがる
折鶴に乗っている小さな少女は
....
ぼくらの言葉は
山でありました。
緑でありました。
渓谷の流れでありました。
あなたが
お嫁にいくといいます。
リュックもクツも
ハーケンもハンマーも
ザイルも投げ捨てて
お ....
こよりのむすびめ
ねじってつないだ
どこにもいけない
かみの おれめ
かくしたことで
かなうというもの
しんじたよるゆび
まだ いきをしている
あめに ゆきに
やぶれておちる ....
クリスマスローズは薔薇じゃない
電飾まみれの、トウカエデが、
アオ、とミドリに照らされた、
噴水の、プールにも、映る。
ラッパを吹く天使たち、と、幼く
小さなトナカイたち、 ....
停止線を越えたぼくの感情のかたまりが
きみの言葉で編まれたハンモックに絡め取られた
ぼくが自分の臆病さを知る頃にはすでに
第二の呟きが世界の水面に波紋を描く
....
みんな揃って
春を待つ
無くしたのです
何を無くしたのかは
覚えていないけれど
無くしたのです
確かに私は無くしたのです
無くしたのです
無くしたものは判らないけれど
記憶 ....
君が僕の詩を待っている頃
僕は君の声を待っている
賑わう街では肩を擦らせながら
人々が振り返らずに先を急ぎ
増殖した三角ポールは
国道の硬いアスファルトを齧っている
橋を渡れば ....
雑踏で喫煙をしていると
衛生的な感じの服を着て
酸素マスクを付けた人たちが
群れを成してやって来て
あなたはどうして煙草を吸うのか
と言う
くちごもっていると
健康の為に今すぐにやめ ....
人の想いは伝染する。
だから、
いつでも素直でいよう。
いつでも笑顔でいよう。
沢山の愛を感じていよう。
小さな幸せを見過ごさないでいよう。
素敵な気持ちでいよう。
不意に闇に包 ....
最初は綿ぼこりかと思った
小さな白い塊が
ふわふわと目の前に浮かんでいた
疲れた目の錯覚と決めつけてはみたが
白い塊はその数を増し
やがて
小雪でも降り始めたかのように
凍えた集会室 ....
雪の日は
音がしなくなる
そうしていつのまにか
幼い頃に戻ってる
いつもうちに帰りたくて
どこへ行っても泣いてばかりいた
お母さんが大好きで
世界は
まだ白くて
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
どこまでも続くかのような
朱に覆われた道を歩み進むうち
母の胎内から生まれいずるような
新しく生まれ直せるような
そんな心持ちになりましたが
かあさん
一度 生まれたわたし は
....
年月が経って
環境が変わって
見た目が変わって
本人も変わったように
思っていても実はそれほど
変わっていないのかもしれない。
何をどうしても
その人自身の雰囲気は残る。
その人らしさ ....
{引用=クリスマススター
どうかあの子を助けて
クリスマススター
炎ですべてを燃やして
クリスマススター
クリスマススター
この聖なる夜に 神様!}
雪の降る寒い夜
あの子は裸足で ....
(夕火の)
雨がふっている
多分、あの崖に植わっていた木の枝
くすぶっていた赤や黄は
ゆうやけが
いや葉っぱが
お互いを見ながら
しばらくのまどろみを
一日のしめくくりを
見つめ ....
ティースプーン2本が
彼の人生の全てだった
安いアルミで出来たそれは
既に古ぼけ
2本重ねてもぴったり合う事は無く
カチカチと無機質な音を鳴らした
男はそれが好きだったし
いつもポケット ....
ある人はそれを「雨」だと言った。
またある人はそれを「雪」だといったし、
偉い学者は「塵の一種」だと力説した。
ある日細かいものが降ってきた。
パラパラと人が気づくかど ....
九十六だった大叔父が暑さに耐えかねてとうとう往生したのが3年前の8月4日。
「もうちょっと前にいってくれりゃあ、初盆も今年すまかいたのに」と、葬式と三日七日と盆と忌明けがごちゃごちゃにきちまった夏 ....
いつも
会う人
何ですが
どうしてあなたはと いってしまう。
いつも
云う人
....
1年前の物干し竿がボキボキ折れたため
線香立てに刺し
バスタオルを半年前の乾麺にかけると
「向いてないですから」
一瞬で職場放棄され
シフトに二つ穴が開き
洗濯機が運ぶ ....
黒い道がのびている
静かな{ルビ轍=わだち}が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて
灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
....
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