夕方の海は
ひとも去って
見捨てられた波は
静かに静かに音もなく
けれど
夕方の色彩
こんなグラデーション
あたたかな海の水に
想いを溶かして
1
どこかで
仔羊が鳴いている
めぇぇえ
仔羊は迷いながら
堂々巡りをしている
めぇぇえ
嗚呼
何が幸いや幸いや
めぇぇえ
苦しんでいる人を
助けるこ ....
トイレで用を足したなら
ちゃんと流す
それがおとなの対応
いくら大好きな彼のであっても
普段は決してあからさまにすることの無い
若かった頃の女性遍歴やら
誰かと何を食べたのか見せつ ....
ゆっくりと水位が下がる速さで
湯船の底に
夜がすいこまれていく
排水溝を通り抜けた夜が
ひんやりと
海まで流れて
水面で
光とすれ違った。
その
速度を捕まえて
ポケットに ....
眠り薬を30日分呑んだ翌日
あのひととふたり
芝生に横たわって
空を見上げた
すっかり忘れていた
空はまだ蒼いということを
自然はまだ美しいということを
この世界にも
まだ生き ....
目の届かないところで 何度も僕は殺されていた
気づかないままでいられたら まだ歌を唄えただろう
誰が見るわけでもないのに 淡い紅の線を引いていた
覗き込む鏡もないのに どういうつもりでいるの ....
はんぶんより
すこしいびつにふくらんだ
あかいつきが
駅前どおりにうかんでいる
重力をかんじさせている
胸のしずかな
熱いところに
線香花火のだまのようだ ....
平和のこの世の中に産まれ
幸せに過ごしている
幾つの国が生まれては
消えてきた。
平和の為にどれだけの人が
心を痛めたか。
特攻隊のお兄さんが手を振っている
戦後の復興に明け暮れた工 ....
今日と明日の夜の谷間に
微かだが
感じるあなたのため息
ソプラノ歌手よりも
こころに染みる
透き通ったそのひとの言葉
最上の音楽に聞こえる
胸のふくらみがさらに大きくなり
木管の寂 ....
ぼくの温度は
ビッグバンのときの
熱のいちぶか
その子孫か
いのちには
温度があるというの
温度には
いのちがあるというの
だれか大人のぼくに教えて
....
べれいれん…だなんて
あのひとが新聞に目を落としたまま
ひとりごとを言ったような
ヴァンヘイレンがどうしたのだなんて
おまぬけな返事をしてしまった
わたし
べ平連
ベトナムに平和 ....
たくさんの
言葉を交わしたはずなのに
覚えているのは
「さよなら」
の四文字だけ
もう
顔も思い出せない
その仕草も
でも
まだ
あなたが好きです
瑠璃色の地球とは
どんな色なのでしょう
そもそも地球は
どんな色なのでしょう
ある人は
青と言っていました
私は実物を
肉眼で捉え ....
黄昏をそっと飲み込む部屋で
夕闇の迫ってくるのを
静かに 待つ
大いなる大地の
昼と夜を
この地球が音もなく航行するのを
額のにじむ汗に微風を感じながら
夕闇の光で織る
繭玉を ....
夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
誰かが与えたいものが
誰かがほしいもので
誰もあぶれなければ
砂糖菓子のように
甘やかされて
育てられているの
なんてウソ
ワガママは
何でも
許されているの
なんてウソ
過保護で ....
ニャァニャァと 鳴く犬がいて メールした
ホントだってば ホンマやってば
ミンミン、シャララと
朝からセミの声
思いきり
深呼吸して
空を見上げて
ぽかりと浮かんだ
雲に手を振って
よし。
夏を迎える
準備ができた。
何ゆえあたしは起きているのか。
人が眠る時間に。
ああ、冷凍庫の変な安いアイスでも食せばよいのかしら。
もう意味がわからないわ、広い広いこの地球にいてガリガリくんを食べるなんて。
....
我々は我々であるために
キャッチボールをする
キャッチボールは速い
止まらない
たまに爆発現象もある
五秒で終わるべきことが
終わらずに
並行を保っている
だから安定してい ....
秋は鏡だ
温度のない実体だ
秋が八月を覗いている
さなかの蝉が
耳のてっぺんで鳴る
秋の日
濃縮したような
夏の朝
秋は鏡だ
温度のない実 ....
あたしは、
綿のスカートを翻して逃げる。
誰もいない、
....
07/07/30
不連続な顔を揺らして
新幹線の列車が通る
チラチラと漏れる明かりが
旅情を誘うが
いつまで経っても新幹線と呼称さ ....
遠くを思う
思うが積み重なる
それは思う時間で
測定される
もしかして人間って奴は
がらんどうの愛のなかを
すさまじい時間をかけて
きらめいたりしずんだり ....
空が滲んでいる
夏の午後の昼下がり
遠くからだんだんと自分の方へ
その暗闇が近づいてくる
あっという間に
滲んだのは空だけではなくなった
明確だった単語や熟語の中を
その雲は浸透してくる ....
「おかえり」と
笑ってくれるから
私は還るのだ
「ただいま」と
言いたくて
私は還るのだ
....
犬は閉ざされた窓から外を見上げ
うごめく棕櫚の森に耳をすませていた
そこに勝手な押しつけや創造はなく
素直な発見に頷くまで
あるいは発見がないと悟るまで
心を離すことはないのだろう
犬 ....
なんとなく
名前を忘れたら
気持ちが楽になった
苦しみもなくなって
痛みもなくなって
しがらみもなくなって
名無しも悪くない
まるで自由みたいだなって
思えたのは束の間
....
水曜日の4時間目 窓に映る貴女
名前は何というのでせう
クリッとした大きな瞳が印象的なので
「ヒトミ」と 勝手に名付けさせていただきました
しぐさの ひとつひとつに ため息がこぼれます ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81