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まるで終わらないみたいな、空
彼岸に乱れる紅の花
音もなく太陽が黄道を{ルビ傾=かし}いで
ふっと、突然に夜を連れて
気が付けば昨日よりも深く
夜が、深く、沈んでいく
音の響きは明らか ....
{ルビ私=わたくし}は一日の終わりに
あるいは毎食後に
または休日の安らぎに、人待ち時に
いつかどこかで、あなたに出会うだろう
砂糖も入れていいよ
ミルクだってお手の物さ
閉じ込められ ....
或る 陽射しが穏やかな午後
風はゆるやかに 丘を流れる
窓枠に切り取られたその風景の
ずっと彼方を 少年は見ていた
鳥かごの中
「日常」は夢のまた夢
その身には 穢れなき白と
何もの ....
深い谷に橋を架けよう
向こう側へ行く 旅人のため
大きな川に橋を架けよう
渡し守が 今以上傷付かないように
こちら側と向こう側があって
渡るための橋が架かる
どこにも属さないそこは
....
息を切らして
汗を流して
漕ぎだす足 右、左
急な坂道、狭い路地裏 朝夕に
駆ける、駆ける
風になって
走る、走る
廃線の 鉄道の{ルビ跡道=あとみち}
青い背中に
いったい ....
水面に 乱反射
オレンジと 銀色と
さらさらと風
きらきらと揺れ
浮かび上がる
水鳥のシルエット
夕景が
夜の闇に溶ける前に
浮かんだ小船の 孤独を思う
風に吹かれた
さざ ....
いつかの 最も遠い昨日
空は霞み
遠雷は鳴り
燃えている その姿まさに暁
生まれいずる声を聞け
ありふれた誕生の発音ではなく
境界線を取り払え
そのものに 触れようと思うなら
....
それには まだ
誰も 触れていなかった
息を吹き掛けると
勝手に 回りだした
動きだす日々
巡りだす季節
色とりどりの光
気分屋の雨
種を蒔いて
見つめた時間だけ
命は膨ら ....