ため息交じりの朝、風はそよぎ、鳥は歌う。
 ベランダに用意されたささやかな食事。
 葉を落とした木々が静かな影を落としている。
 すべてが謙虚な幸せに包まれている。

 注がれた珈琲に ....
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう

私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)

まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩い ....
あの頃
布団に包まりながら
小さな糸口を探していた

抱えた頭の中で
絡まる悩みを
こねくりまわしては
豆電球のぽつり、灯る
薄暗がりの部屋で
見上げた
時計の針はすでに 午前一時 ....
笑え

笑え

笑え

そう思えば思うほど
笑えなくなるものだ

意識して口角を上げる
頬が引きつる

笑え

笑え

わ ら え

いっそ泣けと言われたほうが
 ....
ノートの一面に書き込まれた文字たちを
消しゴムで斜めに切り落としていく
行き先を失った半直線の切り口から
じわじわと滲み出る、意味のドリップ

味気ない線の切れ端だけが残り
毛糸玉のように ....
それは私の宝物
気が付けば口にする
歌のように
触れられないし
触れられることもなく
ただ佇む
だけれどそこに確かに存在する
あなたとわたしを連結する
振り返り、微 ....
手持ちの性欲が多いのでアイテムが貰えない
捨てようか
人に頼み事をするときは土下座をするようにしている
圧力をかけているのだ
ゆっくり歩くことができない
我慢ができないのだ
昔から年上に可 ....
夕凪の浜で拾ったビードロの小瓶で眠る誰かのいつか


流木と貝殻たちの沈黙の傍らの海を見るガガーリン


お昼寝を漁師にとわにうばわれたお魚たちのしょっぱいなみだ


地平線越えゆく ....
肉体の、
肉体の檻が邪魔だ
空間をよぎって その声は
いつも私を焦らせる

部屋を暗くして闇にうずくまる
部屋の心音と私の動悸が重なって
あらゆる、存在に理由を付けたがる私の思考が
膨 ....
あなたがトマトといえばピザやパスタが出てくるのに
わたしがトマトといえば三割引の見切り品を
手渡されるのはなぜだろう

あなたがケーキと呼ぶだけでバースデーケーキが出てきて
わたしが ....
生き返ろう
しばらくぶりの きょうだから

せぼねをゆかから
少し離して
元気 ということを
そらせた腰のちょっとへこんだあたりに
滑らせて

生き返ろう さあ
きょうだから
ま ....
ちょっと難しいことを

百人の私達の中に
セイウチの数を数えよう

セイウチは足が早くて
あっという間に廃れてしまう
ので

そんな
セイウチの仲間に おのれを数えよう
おのれを ....
朝陽の「おはよう」って声に「おはよう」と返す。
雨の日にカエルの人生相談に乗ってあげる。
自分の身体より大きなパンケーキをみんなで食べる。
そんな絵本みたいな暮らしがしたい。
冬のはじまりを
ことばにしたくなった
ときすでに、

むかし話のように
ふり続くゆきのような、
文字のられつ

呼ばれなくなった
なまえを口ずさむように
くり返し、くり ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
ある人には 最後まで欠けたままのパズルの一ピース 

ある人には 心に生まれ持つ鐘ことある毎に鳴り響く 

現に映す夢の面差し追いかけて魂の迷酔 わたしには




         ....
口紅をつけた
自分のか誰のかわからない血の赤
すると足元が浮ついて
堕ちた天使のよう爪先で滑るから
慎ましく知的 胸元に
悶えに悶えた腹を割いて取り出した
真珠ひとつ
それでも世界は殺風 ....
群衆の中で孤独を覚え
ふと虚しさに襲われる

抵抗する術もなく
笑い飛ばす寛大さも持ち合わせず
気づかないふりをすることもできず
時間だけが過ぎてゆく

なんとなく取り繕うために
空 ....
顕微鏡のようなカメラで撮られたら
一本のヘアーさえ
見落とさずに撮れるだろう
アマスポーツの競技でも
裸どうぜんのユニフォームだ
今やネット上では
そういう写真や動画があふれている
そし ....
移り変わる季節
どの季節も美しい

隣にはあなたがいる
何も足りないものはない
幸せでいっぱい

散歩道
あなたと歩く道
人生の道

想像出来るから楽しい
あなたとなら現実に出 ....
 午前のアトリエに光は射し、人はいない。
 淡いキャンバスに薄くデッサンが描かれている。
 海だ。
 透明で純粋な世界がそこにあった。

 時間と空間の概念をその筆に携えて、
 その海 ....
眠る前に夢を見るのがくせになって
耳から大事な言葉が抜けていくみたい
そうこうしているうちに
痛くない時間が過ぎていってしまう
注射針を避けながら歩く廊下
冷たいのか熱すぎるのか ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた ....
積んで
形を作る
崩しては組み替えて
別の形を作る
限界が来たら
新しい形のツミキを一つ足す

嫌になったら
全てのツミキを
部屋の壁にブン投げて
玄関から飛び出していく

町 ....
燃え盛る自分の家を見て
この火で
多裸子パス多を茹でたいと
思った
確かにこの家は
賃 貸 だ か ら
人権のある従順な
犬、猫を飼ってはいけなかったが
人権のない家畜
牛、豚であれ ....
上級生の君にわからないことを聞きたいけれど僕の頭の中を同級生の彼女に覗かれてしまったのでとても聞きにくくなった
僕達の住んでいるこの街は30才以上の人たちが管理していて
50才以上の人が中心となっ ....
俺の考えや気持ちに関係なく
毎日日は昇り沈む
時は過ぎ去る
俺がどんなに苦しもうと悲しもうと
世界は関係なく動いていく
世界は俺中心に動いてはくれない
俺が世界に合わせるしかない
俺がど ....
 .... トーク・トーク・トーク
真っ赤な空を見ている
古びたものを一つポケットにいれたまま
死んでしまう子猫の胸に手を当てて
なくなっていくものを拾っていく

構造について考えるはじめての休日 ....
お前の右足の踵が地面に着いたら
この世の中が破壊されてしまう

だからボクはいつも
右足をびっこ引いてる
決して踵を地面に着けないように
世界を終わらせてしまわないために

どうしてボ ....
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