雄大な光景が私の心の襞に響く。
山々の稜線が音楽のように流れて見える。
私は絵画の前で瞑想しながら感動している。
窓の外には現実が眠っている。
何かを感じる一瞬間、人の心は純 ....
眠れない夜に走らせる車
滑り出す道は三日月のレール
あなたの寝顔を確かめる為の
最短距離を測ろうとしたら
丸い地球の裏側に居た
社会人が仕事をする舞台では
みなが仮面をかぶって役割を演じていた
そこでは魔女狩りが行われ
決闘や縄張り争いが絶えず
仕事の達成と失敗があり
虚構の連帯が結ばれる
自宅に帰り仮面と衣装 ....
無数の素数たちは、真っ直ぐ前を向き、自然数のもとへと走りだすのです。
セミがミンミン鳴くなかを、ひまわりのところへ、かたつむりのところへ、
帰るのです。自然数のもとへ。
自然数の「おかえり」とい ....
聖夜、互いに灯す
{ルビ蝋燭=ろうそく}の火をみつめ、私は想う
日々出逢う人々と織り成す
唯一の時を生きようと
あなたの何げない指先に
あなたの語る素朴な言葉に
あなたが注ぐまな ....
納豆のカラシ
ぜんぶは入れない
納豆のカラシ
小袋に残る
納豆のカラシ
可燃か 不燃か
納豆のカラシ
とりあえず 可燃へ
納豆のカラシ
今夜もまた ....
聖夜――教会に集う私たちは
{ルビ蝋燭=ろうそく}の火を一人、二人……と増やしてゆく
私たちは探している
暗闇に射す、一条のひかりを
私たちは待っている
{ルビ永遠=とわ}に消え ....
クリスマスツリーは、何処か寂しい
聖夜の言葉にならない歓びを
言葉ではなく
自らのからだに灯る
無数の色の明滅で語り
少し温まった人々の靴音が過ぎ往くのを
夜道でそっと、見守るから
....
先生は本気でおこっている
なんで友達ができないんだろう
なんでみんなに誘われないんだろう
いつも世界を信頼していたのに
ひとを傷つけたり
わがままと言われたり
....
漆黒の宇宙から聞こえるファンク
水平な硝子は古いテレビから抜いた
ミルクホ-ルには単車乗りが集まり
レコ-ドの歌が終わるまで街を走る
自分の手で組み直したエンジンに
火を ....
落剝した姿で
八十八箇所を巡り
たどり着いた庵で
小さな蝋燭を売る
食事も採らず
墓場に晒された髑髏を盃に
夜中には安酒を呷り
浮かんでくる呻きに驚き
萎縮する
四文字熟語に ....
尿を採取すると見せかけて
お茶を入れるとか
採取した尿は
俺のではないとか
言い張れば
不起訴になるガチョウ、もといカモ知れない
ことを教えてもらったのは良いが
間違えて午後の紅茶を入れ ....
私は善人気取りだが
私のバカさ加減を
指摘する人間には
断固抵抗する
直接ではない
何だかよく分からないように
抵抗する
何故なら私は
バカの上に卑怯者だから
私も間借り人の ....
暮れなずむ冬の街並みを
独り とぼとぼと歩いた
今日は暖かく風も吹いていない
写真家気取りで
街並みを切り取りながら行く
空の赤と青のコントラストの美
街の灯りと生活感の匂いの ....
私は私の電源を切りに出かけたまま帰ってきません
笑うと笑いじわが出来て、厭ですね、死にたいですね
だから私は帰ってこなくていいんです、死にません
どうやら魚は生き物では無いようなので
マイナス ....
今日が人生最後の日
最後のおはよう
最後のおやすみ
最後のおはなし
最後のおかえし
食べるのも最後
笑うのも最後
渋滞するのも
寄道するのも
嫉妬するのも
猫なでるのも
....
あなたが、綺麗って言う
私は、そう、って言う
あなたの後ろ耳が真っ赤で
....
見えない月に
想いを馳せて
逢えない君に
想いを寄せる
嗚呼…
ただ、ただ…逢いたい
鳥のような羽根を失くした日は
どこかで雨宿りすれば良いのに
立ち止まると不安になるから
景色を連れて自転車に乗った
ペダルを漕ぐと空を飛べそうな
パイロットの夢が語られる時
....
美しい夕暮れに見とれることも
大きな声で歌うことも
誰かに恋をすることも
煎じつめれば逃避行
どこへ逃げているのか分からないが
何から逃げているのかはよく分かる
それはひたひたと静 ....
戦争はメリークリスマス
もう来ないさ
まだやってるけど
戦争はメリークリスマス
白のスーツで
だだっ広い白い階段を
音符みたいになって
横に
縦に
....
女房を悪く思うのが
一番良くない
お互い許し合って助け合って
生きていくしかないのだから
しなやかな獣のようだきみは
脂肪のわずかなあたたかなからだ
むしゃむしゃごはんをたべ
わたしをむさぼり
疲れたらひっぱたいても起きずに深くねむり
あしたははたらきにゆくのだろう
眠 ....
満たされた気持ちが
嘘のように流れて行く
真実など欲したことはないくせに
今日は今日
それでいい
どうせ
すべてが思うままにはならない
否
思いのままになることなど一つ ....
亀はよなか
光っていた
声が
それを
すべるように引き去ると
亀たちは安心して眠った
毎夜順番に ひかる亀たちを
うつしながら水は
さびしさも 涙も
持っていなかった ....
押寄せる季節の色々に
見とれながら躓いては
間違い探しの答を望んでいる
きょうはやけに枯葉が多いとおもったら
これは枯れた夢たちだ
わあ光りますね、
そうですね
影の手で触る
....
ドラゴンフルーツ?!
そんな美味そうなもんな訳ねえだろ!
入れ替わってんの、ドラゴンとフルーツが!
どっちかってえと
フルーツコウモリに近いんだよ
不気味な顔して
フルーツしか食べ ....
そっと繋がった糸を
切れないようによりあつめて
糸に染みこませた泪は
温かみがあって、ひどくくすぐったかったよ
綺麗に端をそろえて
君に手渡した絹糸のようにきらきらしたそれが
....
土佐の海辺の村で
毎日毎夜薄暗い電灯の
野外畳の上にでんと座り
鍋に茹でられた貝という貝
爪楊枝でほじくり出して
それぞれに違う味覚
食い喰らい喰らい食い
瞑黙ひたすらに
味わい味わい ....
口笛のような
オカリナのような
電子音楽のような
みらいのような
懐かしい時代のような
内なる世界へ
校長がこの文化祭に掲げたスローガンだった
先輩とふた ....
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