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久々の実家に泊まり
ふと手をみれば
爪はのび
父と母はよたよた、歩く
妻が財布を買ってきた
古い財布と、中身を入れ変える

小銭と幾枚かのお札を、入れて
レシートの束を、捨て
ポケットの空洞に
旅先のお寺で買った
お守りをそっと入れる

その日から
 ....
三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した
 ....
――誰もが探しているものは何?

ふり返ればずいぶん
{ルビ流離=さすら}ってきたけれど

――わたしが探しているものは何?

  青い光
  ヨコハマの
  青い光

それは観 ....
僕の部屋の片隅に
久しく再会した
幼稚園の頃の先生が呉れた
ご主人の形見の下駄が
置いてある

夜の部屋で、ひとり
黒い鼻緒の下駄を見ていると
あの大きな背中と共に
からん、ころん、 ....
ゆっくり育つ息子が
五歳にして
歩き始めたので
日曜日の公園へ連れてゆく

小さな影は、{ルビ日向=ひなた}にのびて
ひょこひょこ歩き
地べたに尻餅をついては
砂を、払ってやる

 ....
遠くに数羽の鳩が舞う
あの泉を目指し
時の川をのぼりゆく

(空ノ青サガ 私ヲ 呼ンデイル)

夢の鞄をずしりと背負い
快い逆風を裂きながら
いつしか爪先は方位磁針になる

この足 ....
キーツが本の中から語る
細い川の流れが、視える

道を歩くわたしの影にも
細い川の流れが、視える

時代も国も
異なる二人の間を
結ぶ
ときの川のせせらぎに
耳を澄まして歩けば
 ....
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう

私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)

まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩い ....
あの頃
布団に包まりながら
小さな糸口を探していた

抱えた頭の中で
絡まる悩みを
こねくりまわしては
豆電球のぽつり、灯る
薄暗がりの部屋で
見上げた
時計の針はすでに 午前一時 ....
わたしの骨がぎくしゃくと、鳴る
肯定的な歌
1+1=人間じゃない

不恰好な日々のつまずき、こそ
しんしんと軋み泣く骨の{ルビ声音=こわね}、こそ
人間の調べ

すけるとんよ
ぎくし ....
誰も自分の正体を知らない

一生、気づかぬ人もいる
思春期に一度気づけど、
結局まぼろしの人も

ひとりの部屋で
鏡に映る自画像は
右と左が逆だし
ああ俺は!
一生涯、己の姿を視れ ....
あなたに貼られた
〇×□ etc.
無数のラベルを
べりべり…剥がす

天然のいのちの顔が
出てきたよ

曇った周囲を
仄かに照らし出す
世界にたった一人の

電球の顔  
 ....
亀有に住む妻の友から
宅急便が届き
段ボールを開ける

ぎっしり入った愛媛蜜柑の
一人ひとりが太陽の顔を浮かべ
手を突っこみ、皮を剥き
(つややかな汁は弾け)
うまい――思わず目を瞑る ....
日々の「詩の扉」をくぐり抜けてゆく。  逆境をおもろいわと、言ってみる。 あなたが歌を歌う時
あなたは歌そのもの

僕が言葉を語る時
僕は言葉そのもの

僕等が一人ひとりの日々の旅路を
ゆったりと加速して…歩めば歩むほど
人間は歩行になる

――あっ 真 ....
悔しいことがあったなら
ぺしゃんこの空き缶に
自分の姿を重ね
思いきり、蹴っ飛ばせ

(人に当てちゃだめヨ)

空き缶は
すーっと空へ吸いこまれてゆく  
あなたは一体
何処から来たのでしょう?

あなたは、あの日
たった一粒の種でした

一粒の種の中には
「他の誰でもないあなた」という設計図が
小さく折り畳まれ
ぎゅっ  ....
郵便ぽすとが
陽だまりに
一本足で、立っている

今まで、どれほど人の思いを受け入れたろう
これから、どれほどの言葉を届けるだろう
今日も手紙を持つ人がすうっと闇に手を入れる
 ....
建設現場で
クレーンに取り付けられた
ドリルがゆっくり
地中深くを掘っている

地球の中心に
灼熱のマントルは
どろどろ光る

わたしという存在の
只中も、掘ってゆけば
小さなマ ....
帰りの時間、お年寄りの皆さんの前に立ち
マイクを持った瞬間、言葉は詰まり
震える声で、新たな日々を誓う
一人一人の手を握る…熱い涙のあふれるまま 
送別会で酔っ払い所長の隣りに、腰を下ろす
――俺は昔上司に嫌われ、必ず見返す!って
  決意して、ここまで歩いて来たんだよ
そんな所長の男気を初めて知った、退職前夜  
暗闇に小さな火は点り
{ルビ蝋燭=ろうそく}は徐々に溶けてゆく

白いからだの多くは
残されている

あなたのわざの多くは
残されている

小さな火

身を揺らし
夜を仄かに照 ....
私の背後には、いつも
不思議な秒針の{ルビ音=ね}が響く  
――いつしか鼓動は高鳴り
――だんだん歩調も早まり
時間は背後に燃えてゆく

この旅路に
{ルビ数珠=じゅず}の足跡は…刻印 ....
鏡に映る人は誰?
姿の無いそくらてすは、遥かな過去から
耳に囁く
――汝自身を知れ

机に置かれた器は何?
音の無い声でぷらとんは、透けた国から
耳に囁く
――ものの背後にいであ在り
 ....
駅の切符売場で
僕が地面に置いた、紙袋を
風を切って
倒していった幼い少年は
くるり、振り向き
「ママ切符買ってみる!」
「あら、横からすみません…」

一歩後ろに下がった、僕は
少 ....
昼からわいんを飲み
赤ら顔でぐらすを手に
体を揺らし、厨房へ  

細長い空間の
小窓から
――正午の日は射して

何処からか、聴こえる
白髭のかみさまの
高らかな

笑い声  ....
聖夜、互いに灯す
{ルビ蝋燭=ろうそく}の火をみつめ、私は想う
日々出逢う人々と織り成す
唯一の時を生きようと

あなたの何げない指先に
あなたの語る素朴な言葉に
あなたが注ぐまな ....
聖夜――教会に集う私たちは
{ルビ蝋燭=ろうそく}の火を一人、二人……と増やしてゆく

私たちは探している
暗闇に射す、一条のひかりを
私たちは待っている
{ルビ永遠=とわ}に消え ....
間村長さんの服部 剛さんおすすめリスト(39)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
実家にて- 服部 剛自由詩418-10-20
財布の中身- 服部 剛自由詩918-10-6
光の欠片- 服部 剛自由詩1318-9-18
言葉の船_―横浜詩人会六十周年に寄せて―- 服部 剛自由詩918-8-8
下駄の音- 服部 剛自由詩9+18-3-22
日曜日の公園- 服部 剛自由詩12+*18-2-9
空ノ声- 服部 剛自由詩618-2-8
足音- 服部 剛自由詩918-1-25
自らを脱ぐ- 服部 剛自由詩917-12-8
小さな箱- 服部 剛自由詩217-12-8
骨の歌- 服部 剛自由詩817-11-20
鏡に映る人- 服部 剛自由詩317-11-20
電球のひと- 服部 剛自由詩217-11-20
蜜柑の旅- 服部 剛自由詩217-11-10
一行詩_3_- 服部 剛自由詩117-11-10
一行詩_2_- 服部 剛自由詩117-11-10
SPIRITS- 服部 剛自由詩517-11-7
缶蹴り- 服部 剛自由詩317-9-30
花の名前- 服部 剛自由詩917-6-18
赤いぽすと- 服部 剛自由詩417-6-18
わたしのなかに- 服部 剛自由詩217-6-18
十一月二十六日(土)_夕- 服部 剛自由詩217-2-28
十一月二十五日(金)_夜- 服部 剛自由詩317-2-28
火ノ心- 服部 剛自由詩317-1-24
空の呼び声- 服部 剛自由詩1117-1-24
ユメノセカイ- 服部 剛自由詩317-1-19
風人間- 服部 剛自由詩317-1-19
酒の効用- 服部 剛自由詩217-1-19
聖夜ノ火- 服部 剛自由詩316-12-21
降誕の夜- 服部 剛自由詩216-12-20

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