すべてのおすすめ
立春を待ちながら
冬を抱きしめる
いとしさに狂い惜しむ
十月にも秋を惜しんだけれど
秋は秋なのだと{ルビ悟=し}ってもいたから
立春を願いながら
冬と心中したい
できることならば秋も ....
夕凪の浜で拾ったビードロの小瓶で眠る誰かのいつか
流木と貝殻たちの沈黙の傍らの海を見るガガーリン
お昼寝を漁師にとわにうばわれたお魚たちのしょっぱいなみだ
地平線越えゆく ....
住む場所の変わりて水は甘くなりわれ懐かしむ塩素の匂い
きょうからは花野綴じられ立冬の訪れしこと足から沁みる
旅立った秋を追うことゆるされずこの世の生の切なさ想う
みあげれ ....
雪の街を歩きたい
ってあなたが言ったら
本当に降ってきたあの日
わたしは応えなかった
降らない街で
本当に降って
雪は
きれいでした
綺麗だった
降る音も
確かに聴いた ....
君のことを想うと
気持ちが
懐かしくなる
君との夏はついこの間のこと
なのに(だから)
君のことを想うと
しゅーっしゅーっ
モノクロームでしか掴めない
古い蒸気機関車の写真 ....
くさくさする夜だった
何もかもがうまくゆかない
できたと思った即興のソネットは
書きとめようとした途端に
すべて蒸発してしまった
くさくさするこんな夜に
あなたにはごめんなさいを繰り返 ....
心のなかの晩秋は
村雨ばかりの降りしきる
そこへわたしは土足で立ち尽くし
自らを裏切り続けている
かなしみ屋の通り道で
一等かなしいラブストーリーを と
けれどいつまでも訪れず ふ ....
もう
葉を落とすこともなくなった
落葉樹のようなふたりになったら
冬には陽当たりの良い縁側がほしいね
一日中観ていられる
そんなちいさな庭もあれば素敵なことだね
ある日
これから ....
可笑しなことを云うかもしれない
夫のすべてを知りたくはないと
そうしてわたしも同じように在って
それらを心の闇ともしない
可笑しなことかもしれないけれど
この時わたしはマンモスを想う
たそがれ時の偽りの永遠が僅かに、薄らいで
今年の夏至も千年の眠りについたのだと
いよいよノートにペンを走らせる
しかし明日からの八月が
八月がかなしい さびしく終わるから なぜ
この月に ....
、伴うかなしみってもう
行き着く涯てなんじゃないかな
神さまはわたしたちが抱え込んで手放さない
憧憬も
現実も
音楽も
何もかもを一つ一つほどきながら丁寧に握り潰してゆく
それって どこ ....
東京の空を知っているか
ネオンのその上にあるんだ
スカイツリーのその上にあるんだ
匂菫のそのうえに
あおい銀杏のそのうえに
かの黄葉のそのうえに
稀なる雪のそのうえに
ぺてんに慣れてうた ....
疲れたけれど
明日も歩こう
疲れちゃったけど
云わないで歩こう
神さま疲れた
神さまだけには
疲れちゃったよ
天と地と
自分だけ知って
明日も歩こう
あたしかみさまっているっておもった
あたしいまかみさまをかんじた
だから、
もう一度だけ、
神さまという名のぬくもりを
思い出して
縋ってみようじゃないか
もう一度
....
じいちゃん ありがとう
おなかは満たされたよ も
う幸せな、はずなのに
おなかが満たされたら 今
度は さびしくてたまら
なくなったよ さびしく
てたまらなくなったよ ....
未里はもうこれが最後のチャンスだと
準備しておいた大きなレジャー用の鞄と車のことを思い描き始めました
今日のこの寒さは明日夜明け頃まで続き
以降本格的な春の訪れとなるでしょうなどと傍らのラジ ....
こんやねむると
ころされる
しにたくないし
ねむりたい
たのしいですか
私を紙飛行機に折って窓から飛ばす未明
要らなくなった 嬉しい や 楽しい も
それから 負のなみだの源泉 あれやこれや
みんな闇に溶けて
さようなら
けれど朝陽が昇ってそして見る
いく ....
カナッペ、お空が綺麗だよ
ちがう、あれはゆうやけ
じゃあお空って?
あおいあおーいやつ
――じゃあ夜にお月さまがいるところは?
うちゅう!
お陽さまが見えないと青くないけど?
知らない
....
泣きたいほど優しいひとがいて
あるいは いま たったいま
しばらくこのままでいたい
神さまに祈る 明かすと
思春期も反抗期もなかった
そのせいか ふいによぎっても
いつも掴めずに未知の ....
その少女の心にとって
世界はちいさな鳥籠のようなものだった
清潔な場でなくてはならなかったし
少女も清らかな心を懐いて
完全無欠な美しい絶対の四季の森の湖面に
常にさやかな漣をつくる風のよう ....
紅いベルベットのシュシュがほしいと
彼女は探している
二つ、希望している
左右に分けた長い髪のために
それは紅いリネンのワンピースに合わせるために
この冬わたしクリスマスを知らなかったもの
....
そうなんです
そのポピーですきっと と
云えなかったけれど あのつらい時に
うれしかった 教えてくれたひとが居た
ヒマラヤン・ブルーポピー
いますぐにあなたまで
駆けていきたい
会い ....
笑うから
愚痴云わないから
かならず笑うから
だから、
蹴っ飛ばされれば誰だって痛いだろう
わたしだっておんなじだ!
扉のそとの明るい闇に
つっかけ一つで飛び出すと
石焼きいも屋さんがいた
おいちゃん、わたし千円持ってる
三つあげよう 特に美味しいのを選ぶからね
家には人間は一人しか待っていなかったけれ ....
十二月にちいさな春の贈り物
空は高く青く澄んで
一切の白色の翳りすらなく
風はこんなにも心地よく
海をみたかった
そのようなものを
浜辺を駆け回りたかった
遮るもののない自由を
....
石っころの
かなしさ
傲りに過ぎなかった
自由との蜜月
石っころ
おまえを蹴っ飛ばす
花よ
おまえを踏みつける
けれども
踏ん張れ石っころ
けれども
立ち上がれ野の花よ
そうして私に教えてほしい
身をもって 意気地を
それでも、 ....
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