1cmだけ足りなかったら
カマキリ




眠る前に夢を見るのがくせになって
耳から大事な言葉が抜けていくみたい
そうこうしているうちに
痛くない時間が過ぎていってしまう
注射針を避けながら歩く廊下
冷たいのか熱すぎるのか分からなくて
隣をかけていく思い出に声をかけたくなってしまう


さんざん雨が降って夜が止んだら
踏み出すまでたった1センチ足りなかったことをしよう
君がイラついて手を出してくるまでは
ほんとうに足りないものだらけだったんだ
不格好に積み上げられた言い訳に手を添えて
まだあえて見栄を張る週末に
何も精算できない僕だけのために
カラスよけのCDがギラギラと光っている


自由詩 1cmだけ足りなかったら Copyright カマキリ 2017-12-01 23:42:57
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