倒れない木

死なない人

瀬戸内海が耀いている

それを望める田園では

枇杷がなる

葉がさわぐ


ラブはラヴでも

LOVEでもなくて

気になる憂うつ

 ....
語り過ぎるのだよ
いつだって

僕たちは
うんと はやおきをしてつまみながら朝ごはんをつくるきみのお弁当をつくるおくりだしてなんだか眠くってちょっと横になる。
お昼ごはんはあまりをいいかげんにたべるコーヒーは一杯だけよ わたしのおひるごはん ....
一日は
時速1700キロメートルの
超音速で進んでいく
一年は
時速10万キロメートルという
思考をこえた速さで進んでいく
取り返しのつかない時が
凄まじい速さで過ぎいく
 
母音がうつむいて部屋に籠る
空はもう投げ出された孤児となる
白い鴉の群れ

消費期限の過ぎた救命用具の欠伸が聴こえる
LP盤のレコードが針を探して
書きかけのままの日記帳

   ....
母が母でなくなる時 母の手はふるえる
乗り合わせのバスは無言劇
親切だったおばさんは 母の乗車後には夢になる
向かう先はお山の真上の病院で薬をもらえば
また手が ふるえる、ふるえる、大量の薬を ....
そのバスは込んでいた
しかし、その女性は
隣の空席に紙袋を置いて
占領したままだ
バスが大きく揺れた後
初老の男性が無言のまま
その女性の紙袋を
通路に降ろして席に座った

その女性 ....
電車の自由席
隣の席に荷物を置いて占領している人を
素敵だとは思わない

しかしその人は
自由を満喫するのが自由席だからと
邪魔されないようにしている
自分は知的だと足を組む

満員 ....
転がっていく

林檎が
レモンが
いっしょうけんめい転がっていく

いつか終わる坂道で
かけっこのように追いかけあって
いきいきと

私はからっぽになった紙袋をさげ
なんとな ....
彼はおもむろに、誰もが見たことのない缶ジュースを誰もが見た事もない飲み方で飲み干した。
ぼくは越してきたばかりで早く友達を作りたいと思い、彼が見せてくれたそのアグレッシブな飲み方に多少大げさなリアク ....
気にしないでいいからと

そんな優しい嘘を

ぼくみたいについてくれ


閉店まぎわのパン屋にはいつも

じぶんの好きなパンをとって隠す

アルバイトの女の子がいるから


 ....
 繰り返し呟くみたいに大きな空を描く
 風は大地連れ
 音楽をのせる
  空は暮れ

指に挟んだ紙を隣に渡す
過ごした時間に名前をよびかけることはない
風は雲を連れて暮れていく
 ....
題名のない詩には、名前がありませんでした。
題名のない詩は愛されました。題名がないというだけで、読者にとっても、作者にとっても、なんだか特別になるからです。
題名のない詩は、名前が欠けているという ....
鉛を擦った袖が
すっと高い
青空にひらめいて

手を振りかえすと
穂波へ消えていった
あなたを
好いていたんです


あなたの骨の中には
あの青い光が詰まっていて
きらきら き ....
あと何分で着くのか
うなじに尋ねる

水辺で死ぬ と
予告されたひと月前
の雲を抱えている
やさしい人たちが
みんな一斉に
難民になる島で
私は呑気に
ひたすら食器を洗った

 ....
労働というものは
自然界のように複雑で
神秘に満ちている
今日俺は法務省人権相談窓口に行って
パワハラの件など相談してきた
ところが法務省というものも
労働と等しく複雑で
不可思 ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
ふだんは疎遠でも
連絡すれば
パッと心と心がつながるのが
心友である
白い湯気が十二月の肩をやんわりと叩きます
あとでお疲れ様でしたと
家内の肩でも揉んであげようか
大晦日が近づいてもゆっくりとしていられず
首から上はいまも世間に見られている気がする
 ....
 守りたいもの

 大切だと思っている人

 大切なもの

 大切な記憶

 守るもの

 現実の出来事

 感じる心

 消し去りたい記憶

 守り続ける

 ....
仕事もテストも駆け引きも

さいきん連戦連敗だ

もう少し若ければ

人生を投げ出してしまいそうなくらい


生きてきた自信かごう慢か

叶わないことに慣れてしまったってことか
 ....
たまに全てが幻だったかのような
ふわりとした感覚に包まれる
部屋の隅に置いてある
明らかにひとつ趣味の違うクッションが
あなたという日々を確かなものにする

寝起きがすこぶる悪く
 ....
安心やよろこびというものは

じつに居心地のわるいものだ

だから不安にもなるのだろう

不安や悲しみというものは

だれにとっても心地いいものなのだろう

だからいちいち

 ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
一寸先も闇だった
夜空から月も星も剥がれ落ちて
真っ暗な闇のなかに
いきなりサムライが現れて
刀を抜いてきた

人通りの絶えた道で
先を急いでいた商人は
足止めされて
殺気に身を構え ....
加害者側は親族一同
名前晒されようが
石投げられようが
とんでもない殺人鬼の
親族である以上
仕方ないっちゃ仕方ないが
とんでもない殺人鬼の毒牙に掛かって
無惨に殺された上に
連日連夜 ....
その日は朝から

私は悪魔と双子のパズルを解いておりました




けれども中々解けずにいる私を見るに見かねて

 ....
イージーオープンがイージーでない
ひとり笑って寒くなる
目が覚めてすぐ目が西陽にやられて
ちかちかしながら
インターネット動画を見続ける
朝ごはん昼ごはん晩ごはん
昨日の夜も風呂に入らなか ....
「正治、俺は天皇陛下殺しに行くで」と
僕に話しかけてきた
そのおじいちゃんの話を聞き
「今は警備が厳しいから
警備が緩くなったら教えるわ」と答えた
おじいちゃんは
「わかった、正治」と言っ ....
後何日かなと考えていたら
悲しくなっていくよね
僕の命
そして生まれてくる命も必ずあって
輪廻転生も捨てたものじゃないと思えば
この世界はいつも忙しい
ここはひとつ何もかも忘れて
詩 ....
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