感情が入り混じって危険になったら
ただ早足でバッティングセンターに行く
やる気のない店員のタバコふかしながらされた挨拶も
今は見えていない
コインを入れて
120Kmで30球 ....
スクリーンにはBPMじゃはかれないテンポがある。その遅さにぼくは何度も救われた。一生分の景色をミニチュアにしたようなフィルムのメロディーは匂わせるだけでいいんだ。声に出す必要はない。
さて、でっ ....
お前の美しさに業を煮やす
少し下界の風に晒されると良い
パタンと閉じることの出来ぬ雑誌の
下世話なコーナーに佇む
昔ながらの 電話ボックスに告ぐ
悪夢と灰汁湯を 一緒くたにするな
図ら ....
艶めく林檎の滑らかな膨らみに
包丁の刃を当てて一息に押し切る
迸るエチレンの醇香
生まれ立ての双子は
仄かに黄味がかった白い果肉を
更に真白な俎板の上に
投げ出していた
あられもなく
....
薄墨色の空は
不安を掻き立てる
なにか良くないことが
起きるのではないだろうか
そんな予感で胸がざわめく
それはある種の期待ともいえる
高揚感を抑えつけても隠しきれない
そのような淡い期 ....
紫外線に
焼かれ続けて
色褪せた
生活の数々が
焼かれ続けて
ぼやけた
台詞の数々が
流れ着いて
さらされて
流され出されて
打ちつけられて
砕かれる
....
ワタシノコエガキコエマスカ?
ワタシノコエガキコエマスカ?
今の私があるのも
あなたのお陰であると
深く深く感謝する
雲の上にはアオゾラが広がる
それだけで充分じゃないか
天気がいいな
もしよければ
僕のチョコレート
死んだ母乳 ニコチン
足が先に出て 手がなであげる週末
ミュートしているギター音源が抗議の電話をして知る
迷子のギターはいつも孤独 ....
たとえいくら年を取っても
目ん玉だけは輝いている人になりたい
たとえ頭は禿げ、顔はシミシワだらけでも
目ん玉だけは輝いている人になりたい
たとえ貧乏年金暮らしでも
目ん玉だけは輝いている人に ....
その死刑囚の首に
縄をかけたのは
何を隠そう
僕たちだったんだ
そして彼は
吊るされ命途絶えた
まっ赤な血を
吹きながら命途絶えた
彼の
首の縄には
仕掛けがあって
首をすり ....
おまえではない
おまえではない
絵の具を燃やす手
土に火の絵を描きつづける手
隠れていた猫も虫も去り
原はどこまでも静かになる
鳥も鳥を話さなくなり
常緑樹のなか ....
きょうもたくさん、頭を下げました
ありがとうございます、あ、すいません、すいません
「雇用期間の定めあり、平成30年3月31日まで」
条件により更新あり
条件により・・・
ねえ、あなた、 ....
勤労感謝の日で休日。
「おれって、アラジンの魔法の精みたいじゃない?
起きたら、洗濯も終わってるし、洗い物も溜まってないし」
横で洗い物をしている私に
感謝の一言もなく、
冷たい視線を一瞥く ....
雨は止んでいた
底冷えの余韻もなく
左手にはぶらぶらと
きまり悪そうに一本の傘
軽やかに往く人々が
刹那の訝りを湛えた一瞥を
そっと私に投げかけて去る
そうか、彼らは知らぬのだ
ま ....
開けたり
閉じたり
叩いたり
抓ったり
もっと
面白いこと
ないのかと
探す
長く 細い 指先を
引っ張るように
力を込めたら
瞳 外れた
睫毛の方 ....
あなたの寂しい心
買い取ります
あなたの悲しい心
買い取ります
あなたのイライラした心
買い取ります
あなたの苦しい心
買い取ります
こんな買い取り屋がいたら
いいな!
雪を被ってすっかり閉ざされた
枝の間
小鳥は空を
ひと跳ね
ふた跳ね
すっ と吸われるように消える
とりあえず
生あるものは辺りから姿を消した訳だ
空を埋め尽くしていたあ ....
この見渡すかぎりの
芽吹きの果てに
わたしは満ち満ちて
君がそういわなくても
俺には
この全てに
問わず語りで
君の影を見ている
名前をつける前に
消えてしまった朝にも
....
自称詩人になりたいことを
誰にも言えずに
悩んでいる女子高生に
SNSで
「私が自称詩人になるお手伝いをします」と
甘い言葉で自宅アパートに誘き寄せて
9人を自称詩人にした
元キャバクラ ....
ババアは後ろを
振り返らない
誰かに嘲られたって
詰られたって構わない
ババアには未来しかない
懐かしんだり
誇ったりするだけの過去がないから
未来志向のババア
ババアの視 ....
わたしの骨がぎくしゃくと、鳴る
肯定的な歌
1+1=人間じゃない
不恰好な日々のつまずき、こそ
しんしんと軋み泣く骨の{ルビ声音=こわね}、こそ
人間の調べ
すけるとんよ
ぎくし ....
誰も自分の正体を知らない
一生、気づかぬ人もいる
思春期に一度気づけど、
結局まぼろしの人も
ひとりの部屋で
鏡に映る自画像は
右と左が逆だし
ああ俺は!
一生涯、己の姿を視れ ....
あなたに貼られた
〇×□ etc.
無数のラベルを
べりべり…剥がす
天然のいのちの顔が
出てきたよ
曇った周囲を
仄かに照らし出す
世界にたった一人の
電球の顔
....
部屋一面 起き抜けの尿の色だ
永い永い言い訳のような廊下を
既に冷たい素足が横行し続けている
いけない事だ
あぁ 本当にいけない事だ
元気でね、と祈られることは
もう元気でないことが悟 ....
言葉が絡まって出てこない時、
無理に言葉を紡ごうとはしないで
空を仰いでみる
私の悩みなんてちっぽけなもので
誰かに同情される価値もない
言葉が出てこなければ
詩を書くのを中断すればい ....
あまりにも訃報が鳴り響く時代
名誉を剥奪された紳士のように腰が曲がりくねって
星になった少年の瞳のようにはなれなかった
虚ろのウスノロ
エレファント
自分の年金払わずにボランティアに励む牧師 ....
満たされた心の器からぬめりのある液体が溢れ出し、それを笑う魔女の長いお鼻に蝿が止まった。
踏み潰した過去のこだわりは完全に取り払われ、新しい国が生まれようとしていた。
私の手には光、心に穴。
事 ....
朝が黒い
青黒いし
青灰色の
朝が白い
シン・ゴジラを1.7倍速で観ていた
多くのひとが早口で喋ることが
正しいかは別にして災いを遠ざける
朝が黒い
....
味方を撃つものも
殺しに来るものも
写真を撮るものも
みんな仲間のようだった
不愉快な仲間だ
宇宙から見たらこの有り様は何だ
死んだらみんな
あっけない顔 ....
倒れない木
死なない人
瀬戸内海が耀いている
それを望める田園では
枇杷がなる
葉がさわぐ
ラブはラヴでも
LOVEでもなくて
気になる憂うつ
....
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