ある晴れた日に

平野にあなたが帰ってくる

自転車を避けながら

国道の渋滞にめまいを覚えながら

膚がかさかさになる家に

丘からそれを見つめている

思わずふたりは

 ....
語彙のとぼしい
おまえの話は実に難解だ

実に難解だが
実に、真っすぐでもある

何か、
大発見があったのだろうか
きらきら輝くその目に
応えてやりたくて
必死に推理する
 ....
Sと昨日会った
物凄い人で原宿駅の前の溢れていた その日
私は しかし なぜ 連休となると
人と会わなければならなくなるのだろうと思う


そんなことを考えていた 私は
降られていた ....
雲の隙間から降りてくる
やわらかい陽射しから

「  」

って聞こえた


それが
はじまりで
それで
おわりのようだった

結局
きみにとっては
ってつぶやいた
空 ....
現代社会では
厳しい品質が求められており
不具合のあるクルマは
めったに走らない

そのうえ現代社会では
自動運転が求められており
それをドライバーは
恥ずかしいと思わない
ナゾだ
 ....
あの星にも、かつて誰かが何かを願ったのだろう。
同じ星空を見て、あなたもきれいだと思っているだろうか。
遠い遠いあなたにも、いつか出会えるだろう。夢を見つづけているかぎり。
だって、同じ星空を見 ....
人間にとって向上心は
不具合だったのだ

空を飛ぼうと
飛行機を作ったが
戦いを酷くした

いつもそばに居たいと
通信機を作ったが
かえって孤独になった

笑顔を残そうと
映像 ....
ケツの穴、穴、穴
で有名な円歌こと
こぶ平の実父(アウト礼二・孝二 談)
が亡くなったのを受け
みどりの妹で
歌手の林家泰平が
金髪亭豚平に
またもや攻撃を仕掛けたことが
話題になって ....
零れそうな雫に
思わず伸ばした手を引けず
しとり、と潤った手の平が
少しくすぐったい

いずれ
ひたひたと満ちる朝に
夢の始まりと終わりが
分からなくなる
君の夢の終わりが
僕の夢 ....
  皐月 水無月 待ちこがれ
       ものやわらかく
       あたためられて
      萌えだしはじめる
        庭の柿の木ょ

  ことしの夏も 変わらずに
うれ ....
○身元保証人
いざ入院となると
誰に頼もうかと迷う
まさか近日の90歳の叔母さんに
頼むわけにはいくまい

○緊急な入院なのに
入院書類をたくさん渡される
こういう場合に読む人なんて
 ....
わたしは黒いプードル
年齢は10歳
人間で言えば60歳を過ぎた
おばあちゃんってとこかしら

わたしは今、ある事情から
ここ、下北沢のペットショップで
里親さんが来てくれるのを待って ....
あたりまえと思っていることが
とても大事なことなんだよ
健康あたりまえ
平和あたりまえ
三食食べられてあたりまえ
水が出てあたりまえ
電気が点いてあたりまえ
さて今日も花が咲き
往来はあざやかな灰色
卵を割る指に思いが絡まって

( )

シャツを洗い シーツを洗い くつ下を洗い
はがれ落ちる自意識をかき集めてくり返し洗い
 ....
夜が割れ
なまあたたかい風が降り
明日の朝を見せ
ふたたび閉じる


標は暗く
音は見え 川は見えず
小さな鉄の声が灯り
水に映る夜を扇ぐ


三角の紙の群れの ....
人は

入退院を繰り返しながら

生を充実させてゆく
ほう
そう ですか
そう ならば
さよう ならば
さようなら
彼女が一枚のメモをのこした
その筆跡を正しくなぞって
彼は彼女になり代わって
亀や葡萄のイラストを描いた
タイムマシンはきっとあって
時間が10年遡って
また10年の時間が過ぎると
彼女 ....
新しい季節は いくつかの出来事を
思い出に変えていく 流れつづける川のように
流れない肉体を持て余し 大切だったもの
手を伸ばしても 届かなくなっていくばかり


言葉にできる言い ....
脇目も振らずに走ってきたよ
余所見をしている余裕はなかった
家と会社を往復するだけの毎日

ケースに入れたままのギター
若者の音楽を受け付けなくなって
大好きな歌も歌えなくなっていた

 ....
初任給を握りしめて走る背広達の
少し浮ついた雰囲気を足下に絡ませて
引きずる様にして帰るけれど
ドアを開けた所で何も無いんだ
冷蔵庫の中も
テレビ局に
サリンばら蒔いて
久米や筑紫が死んでいたら
ショーコーは歴史に名を残したと思う

俺が大臣なら
記者になりすました
得体の知れない奴の質問にぶちギレるどころか
てめえ、この ....
勇気



裸足
もしも僕の顔がもっと格好良かったなら

もしも僕の背がもっと高かったなら

もしも僕の年がもっと若かったなら

君の恋人になれるのかな

もしも僕がお金をもっと稼げたなら

もしも ....
肩越しに
LEDがにじんでた

それはやがて
朝焼けに溶けてった

いつの間にか
さよならだった








(即興ゴルコンダより)
台所の窓辺に
葱だけが青々と伸びている
ほかの葉っぱたちは項垂れて
もう死にますと言わんばかり
葱だけが青く真っすぐ伸びて
葱好きではないけれど
すこし 
刻んでみたくなり 
ぱらりと ....
滴れば淡く溶ける指先

笑え緩む口許溢れだした

赤い水槽浮かぶ遠い夢

髪を触る足先の冷たさを

温める心の強さと弱さに

酔いながら抱きしめて

覚えのある口に絆をつけ ....
朝露に濡れた薔薇のつぼみよ

蕾の持つ美しさ

それは未来(あした)という一瞬の輝き

過去(きのう)は蓄積され

そして、沈澱してゆく

現在(いま)は消費され

そして、過 ....
    卒寿をすぎて
      ふと想う
    痩せっぽちの
      俺さまが
  よくも いまでも
 生かされている と
  「時」が真っ赤な
「塑像」になっている
  「空 ....
看護師たちが患者に
「だいじょうぶですかあ?」
と口癖のように声かけしている
あるおじいちゃんがたまりかねて
言った!
「だいじょうぶじゃないから
入院しているんでしょうが」
患者の立場 ....
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