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冬のはじまりを
ことばにしたくなった
ときすでに、
むかし話のように
ふり続くゆきのような、
文字のられつ
呼ばれなくなった
なまえを口ずさむように
くり返し、くり ....
帰省した
ほんの気まぐれに
親に顔を見せた
ひどく暑い夏の折
来月に盆を控え
年のはじめに世を去った
祖母を思った
居場所なく
結局仏間でくつろぐと
線香の匂いが
また ....
貝がらが君の右の手から放たれて、しなだれた花びら一輪を左の手から掬った。泣いてしまう前に話そう。潮の満ち引きのこと、涙の渇く早さのこと、月の光の明るさと甘さのこと、君との足あとのこと、私の ....
暗がりに恋情を隠す
心音が落ちてゆく
水の階段を登り下り
君の肌の質感に流され
簡素な語彙に抗えない
私の内部の熱源に点される
愛にも似たようなもの
鍵はそのままにして
綺 ....
君のうなじが
白くうつくしいので
ことばを失くし
つつじ柄の着物に
雨が落ちてくる
そっと和傘をひらく
しぐさに湿り気が帯びる
四つ辻まで
ご一緒しましょう ....
秋の{ルビ夜=よ}の 月のライトの 帰り道