母は
美しい
緋色の指輪を持っていた
『緋恋の指輪』
14の時のことだ
母の化粧箱の中には
翡翠のブローチに
銀のイヤリング
真珠の髪飾りや
琥珀のネックレス
....
愛とは無常なるもの
だからこそ愛はすばらしい
無常だからこそまた出会い
出会い出会い出会い続ける
執着となる時 愛はその色を失い
愛だと思っていたものが実は愛ではなかったと
光 ....
深い記憶が広がれば
良いものさしができる
浅い思い出は
普通のものさしを作る
普通のものさしがたくさんあればどんなときも
適したものさしを探す作業に没頭できる
良 ....
盛況過ぎて
やんわりと羽根を下ろす刻
語り部達が静かに
酒宴に集まる刻
風の香に君想い
星の下雲に優しさ
月が紅潮する淡さ
選んだ夜道
恋人達が求め合う
過ちを飼い慣らし ....
僕ら離れている
そこにきみがいるのか見えない
歩いている人影が見える
声はまだ聞こえない
風に髪がなびくのが見える
きみか と確信する
呼ぶ声を聞く
まだきみの匂いを感じない
見つめる ....
ピンクの小石が落ちていた
小石を拾いあげて
進行方向に投げるのも
空めがけて上にほうるのも
つまらないと地面に叩きつけるのも
あなたの自由
問題は
犯した行動に
あなたの欲をいくらの濃 ....
泣いているのに怒られて
今必要なのに
欲しい言葉はくれない
罵倒して優越感
これが私が欲しかった形なのか
違う
全然違うよ
これだけ一緒に居て
私はあなたの心の片隅 ....
恋の仕方なんて忘れてしまった。
私はいつも
その人が誰かのもとへ行ってしまってから、
自分の抱えた想いに気付く。
恋の自覚なんて、忘れてしまいたい。
跳ねる小虫がとても目障りで
ティッシュを数枚重ねて包み
一思いに握りつぶした時
口の端は確かに歪んでいた
誰かが主張する正しさとやらの裏側には
賛同と共感を請う自己愛が垣間見えて
どう ....
言葉を書いている
何を書くかなんて決まっていない
昔のことを思い出している
何を考えていたかなんて覚えていない
人のことを考えている
それは誰を思い出そうか考えていた
僕は
....
真っ暗な部屋の中
東に傾く月
かつては私にくっきりとした影を与えてくれたのに
今となっては嗚呼遠く
星座のシャンデリアが揺らぐと歌ったあの日は
こんなに遠い過去だったのかと見上げて思う
....
さあ
悪い遊びをしましょう
昼間の仮面を脱ぎ捨てた
汚い大人の手を引いて
さあ
暗い悦びにひたりましょう
善意の笑顔を貼りつけた
醜い大人に媚売って
そう
....
新しい朝が来た。
何にも描かれてない。
真っ白な。
キレイな。
「おはよう。」
そこから。
その真っ白な朝は。
黒く、黒く。
塗られて行く。
気づくと
背中に窓があった
木の枠の 両開きの窓だ
閉じられているその窓を
覗き込んでいる自分がいた
中には 止まった時計と
傾いだ天秤が見えた
やがてその窓の中にも
自分があ ....
階段を昇り終えると
手には指のようなものが生えていて
動かすとそれは
自分のもののように動くので
そればかりじっと見ていた
窓を開けると
外はどこまでも夜で
星のようなも ....
生まれたばかりの君は
まだ数えるほどしか
ものを
もってない
まだ ものを 欲しがらないし
きっと わからない
でも、「これを君に。」ってあげるとき
僕はとてもドキドキする
君 ....
何年か前初めてキミをみた
不思議な感動とよろこび
実際のキミには少し失望して
鶏に似ている
空飛ぶニワトリ
臆病はボクと同じだったけれど
海を経て里に育まれ
....
君
がんばってる
うしろ ななめ上
気にしすぎて
追われているから
君
がんばってる
足元見えない
前も見えない
目を向けても
向けただけで
呼吸が止まってい ....
ひとは、ただ生きることに満足できなくなった
鳥の羽をむしりとって背中に付けてみたが飛べなかった
馬の首をはね、その四肢を付けてみたが速くはならなかった
ひとは、騙され ....
召した、と君は言う
稀薄な意思を養生するかのように優雅を演じた
祓った筈の手に付着したものは黒南風
去り難い指の先に現れた解錠の儀礼
尽力で抱えた儘ならぬ数の哨戒
遥 ....
僕は許せないでいる
そのことに執着している
それは精神的にも肉体的にも
道徳的にも絶対によくないことなのに
そこから抜け出せないでいるのだ
じぶんがどう見られているのか
そんなことに価 ....
疲れてるの
と聞かれると
疲れてると
言ってはいけない
気がしている
休日も
休日以外の日も
そのどちらでもない日も
ある海で
休んでいると
網に掛かってしまっ ....
開かれてしまったら
もう、あなたには見えない
最後に映るわたしは
どんな
顔、なんだろうか
まばたきのシャッターを閉じて
(すとろぼが、みちて
それから
。 ....
わたしはおどる
ひとりでまわる
くるくると
まわる
まわる
わたしはひとり
まわるはわたし
くるくると
おどる
おどる
だれにもふれられないように
まわる
まわる
....
描きかけた まるい絵を
仕上げた事はなかった
曖昧な空に 風船を放つ
重さなどは いらない
この世界のたくさんの声が漏れて
帰り道、溶けそうな歌声に酔う
わたしはわずかに軽い
....
もう一度冬の夜中を越えて
朝を迎えにいけたら
二人で昼寝をしよう
夜の次には必ず朝が来る
何て思って安心して寝てしまうより
朝が来ない事に怯えたり
狂った朝が訪れる事を恐れたりしながら ....
涙を流して見つめ合う
あなたは左のまぶたから
私は右のまぶたから
唇から白い花びらはらはらこぼれ落ち
その花が水に流れてゆこうとも
あなたは私を知る事はない
私もまたあなたを知り得 ....
日々が声になって
声にならないものは
声にならない
紙の上の文字になって
出せなかった
手紙のように
ここにある
まだ捨てずに
取っておいていいですかと
やはり声にならず ....
あの人のなかに
暗い眼をした少年を見た日から
わたしの中に刻まれた誓いは
不安定だけども心の底に残っている
同じように わたしの中にも
膝を抱えた少女がいる
深い底まで降りて
わた ....
緑黄色野菜が嫌いだった
ほうれん草の葉の胡麻和え、甘くして誤魔化すのがやっとだった
体育が嫌いだった
決まって体育が出来る奴がヒーローみたいになった
眼鏡が嫌いだった
余計根暗に見え ....
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