いちばんつらい、いちばんいたい
きみがいたのは、そういう場所
わたしたちにできるのは
もはや最期のひとつだけ
そしてきみは、だいすきなご主人に抱かれて、永遠の眠りについた
お ....
感謝や感動を感じる涙を、
僕は君にあげてるだろうか。
謝罪や恐怖を感じさせてる涙を、
僕は本当は見たくないんだ。
だけど、君はそっと涙を流すんだ。
僕に気付かれないように。
あ ....
変わっちまった。
変わっちまった。
一秒前の俺はどこだ。
一年前の俺はどこだ。
変わっちまった。
変えちまった。
あの頃の俺はどこだ。
あの頃の君はどこだ。
....
鯉のぼりが
羨ましかった
『鯉のぼり』
我が家には
江戸時代から受け継ぐ
鯉のぼりがあった
もう骨董ものの古さなので
額に入れて飾るだけで
実際に吊るしたりはし ....
もう既にどうしようもないこと 今となっては止めることもできないこと
部屋中を探し回っても どこにしまったのかも分からなくなったもの
いくら思い出そうとしても ぼんやりとした残像しか残 ....
もっと、近くで見ることが出来たなら。
美しさに飲み込まれて、死んでしまいそう。
生きてるんだ。ただ、生きてるんだ。
強いとか、弱いとか、運とか、不運とか、
どうでもいいんだ。生きてるんだ。
生きたいんだ。ただ、ただ、生きたいんだ。
あなたと、生きたいん ....
そこに在るだけで、
僕らは生きて行ける。
嘘つき狼
穴の中
深い深い闇の奥
外へは一歩も出られない
地上のカラスが
「大馬鹿者ね」と叫んでも
穴の底から
卑しい目をして睨むだけ
甘美な光に惑わされ
真実に目を背いたあの夜 ....
長編の旅に出て心痛んで
引き戻す だって心細くて
夜に甘えようとしたのに
休日に慣れようとしたのに
混雑する帰路みたいに
押したり並んだり
そんな行間がこわい
必要にせまられたの ....
彼のことは好きだけれど
彼女のことは嫌いなの
彼には有りったけの優しさ
彼女には有りったけの悪意
平等にあげましょう
与えるものの
大きさは同じなのです
ただ少しだけ
種類 ....
物語を読み終わったあと
夢うつつに思いを馳せる
形のないものをふちどる
魔法みたいなことができる
まぶたの裏では鮮明に
雨が降り 夜が来て
風が吹き 夕暮れを迎える
知らないことを知 ....
貫くような熱い暑い厚い情愛と柔らかく包み補うような敬愛を綯い交ぜにした季節を例えるならば
常に夜を内包する深い色を持つ君へ贈るは土を食むような重い重い想い、愛しているよと囁く声も冷えてし ....
夕涼み
縁側で
冷えたスイカを食べながら
きみがしゃがんで
線香花火をしてるのを見てる
薄暗い中
静かに燃える火花が
儚げで切なげで
今こうしてるぼくらは
い ....
暑い暑い
熱帯夜の入り口。
夕暮れを過ぎて、
思いだすのが
汗の冷えた君の背中なんて。
今日のあたしは
ほんとうに
どうかしてる。
また道に迷ってしまった
これで何回目だろう
行きたい場所はわかってるのに
気がつくと
目的地とは違う
見たこともない景色の只中に
ぽつんと一人
子供の頃から
こんな風な ....
サイダーを流し込んで
クリスタルを身に纏って
引いた線からは光が
零れて溢れて止まらない
宝石みたいなゼリーを
食しては次の朝を待ち
古い友人に会っては
微笑み撒き散らして日傘を
きらきら生 ....
帰り道、あまりにも星が綺麗で、立ち止まって、見上げた夜空。
車が、横を通り過ぎて、雑音の一つとなる。
こんなにも、綺麗な夜空が見えてないのかな、なんて心配をして、もう少し見上げた。
....
ぽ、と、り、ぽ、こ、り、と、あ、わ、に、な、る、
もう忘れていいのです
苦しまなくていいのです
もう昔のことなのですから
これからはほかの誰かのためにないてください
わたしにはも ....
ぼきっ
骨ばったゆびの折れるおと
まるで、マリオネットのよう
一人では立てない私を君は何故慈しむの?
『早く治るように』
そういって塗ってくれた薬は
今でも確かな熱を保 ....
暗い部屋に行こうと思って
穴に落っこちた
見上げた空が青くって
誰か覗いてるみたいだったけど
自分にも見えて
よくわかんなくて ....
映して
浸して
境目に
触れそうなほど
恋しかった
透き通るあなたを
私が唯一濁らせる
悲しみを 満たした夜は 月明かり 星を眺めて 夜更かしをする
目隠しの 隙間から見た 日常に 僕らは居場所を 探している
小さな街に寄り添って 小鳥みたいに歌う 不器用な僕 ....
積み重なる日常
怠惰な瞳を凝らして見ても
モノトーンな色彩が
おまえの心を締め付ける
何も変わらない
おまえはそう呟いて
何事もなかったように
うつむいたまま家路につく
....
いつしか繋がっていたことも忘れていたでしょ
見知らぬ土地に行って、一人で上手に生きたとしても
僕はなんにも変わらないと思っている
空から落ちてきた一筋の光
もう一度、僕らを結びつけ ....
毎朝、まるで無知な太陽が昇って
毎夜、全て悟りきった月が死んでいくように
僕の本当のこと
君は何も知らないままだった
夢の中でもなんとなく気付いた
これは嘘だ
気付けばきっと
あの狭 ....
世界はそんなに善意ばかりで出来ていない
いい台詞だと思うけど
夢がないよ先生
まるで平和は勝ち取れみたいじゃないか
血を流すのは
合法化されたリングの上だけで十分だ
僕らは狼じゃない
肉 ....
昔には流れ星のことを
天つ狐といいました
空のマッチ
狐尾が灯す狐火
天つ狸といったら何でしょうか
ぼわわんと
化けたら化けたで
一晩中そこにかかっているだけの彗星?
一晩限り ....
最後に虹を見たのはいつだろう。
不確かになった虹の色を思い出しながら。
晴れ渡った空を見て、夕日を浴びる雲を見た。
虹色には届かない、そんな色に染まる雲を見た。
一時の光りは、そんなに続かず。 ....
降り止む雨の最後の一滴を
僕は確かめる事だけに憧れて
降り止まぬ雨を避けようと
最後の一滴だけに濡らされる
そういうものだと理解した
生きることも、愛することも
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