一年に一度の晴れ舞台

小道具もちゃんと持った?

髪も整えて

さあ
いくわよ
いつものように
髪を結い


いつものように
紅をひく


わたしは何も 
かわらない


置き去りの
この部屋で


恋しい
恋しい
恋しいと


嘆 ....
私のいのちはもってあと一年です

あわれんでくれますか

どうじょうしてくれますか

なにかをかえてくれますか

なにかをあたえてくれますか

いちねんのかぎられたじかんのなかで
 ....
教室の蛍光灯を全部ブラックライトにして
みんなのシャツを真っ白く浮かび上がらせてやろうぜ
ノートも教科書も薄青く光って
きっと楽しいから

公衆便所の便器を全てショッキングピンクにしてやろう ....
まだ知らない君は
向こうにいるんだね
いつか君と出会いたいな

その時まで僕の声を忘れないで
旅芸人の吹く笛の音が
忘れかけていた哀愁を呼び起こす

自分にはもうなれない
夢を追い、人々に夢を与える人々

漂白民が時として定住民にもたらす羨望と憧れのように
彼らもまた私たちに触れ ....
笑う門には

福来たり

本当は違うんじゃないか

笑ってるから

幸せそうに

見えるだけなんじゃないか

それでも

笑った先に幸せが

まっていることを

静 ....
さやぐ森のいたみを抱きとめ
私たちは目覚める
陽光の届かない場所にも
太陽がのぼることを願い
川へ小さな葉をながす

それは
ゆらゆら
やすらかにたゆたうので
そのうちに
ながれに ....
写真を撮りたいときは
いつだって真夜中で

撮れる技術やカメラは
いつも
僕の手にはなかった


夜が集まって静かに騒ぎだす
黒い影
夜の一つ一つに色をつける

黒い色は様 ....
うそになる

わけを探せば

同じこと

あいもわかれも

理など能わず
大人になるって

マジックの
タネを明かされた後
のようだね

トリックに
だまされていた時の
方が

はるかに心は
自由だったね



タネを明かされる度に
シカケを ....
渦巻く大海

荒れ狂う空の下


{引用=―レヴィアタン}


昔 昔 だけれどね

覚えているよ あの姿

怖いものなしの強い船長が

唯一 怖がっていた 水の悪魔
 ....
雨混じりの雪

雪混じりの雨




些細な事で

声荒げるより




雨混じりの雪

雪混じりの雨




降る情感の一雫に

 ....
どこかの知らない住宅地で流れている

いびつなサウンド

それはまだ若い男が夢をあきらめず

努力ということをしている

それでも夢という狭き門に

自分は通れない事はし ....
夜道に浮かぶ洋燈は 
硝子の裡から暗闇を 
今夜も仄かに照らし 


人の胸にぽうと灯る 
たましいの面影です 
 
真昼の夢
ゆっくりと
落ちていく
 
陽気な空
あざとく笑う
嫌味だけを込め
 
 あああああ
 
書き溜めた黒い文字
吐いてみたら
白紙に戻っていく
 
 け れ  ....
夜明けの頃、
目覚まし時計は鳴り響く

いくつもいくつも
鳴っている

私が
寝ぼけ眼で
順番にボタンを
押しているころ、

君はまだ眠っているだろう

あのあどけない寝顔で ....
8月27日
あの日の夜

君は確かに笑っていた

いや
そうだったと思う

時間は容赦なく
すべてを抽象化していく

匂いも体温も
そして声すらも

おぼろげで
脆弱に変 ....
気付かず歩いて来た道のりに
たくさんの感情を織り交ぜながら
定期的にやってくるこの日は
僕に感謝を思い出させる

生まれる前からの巡り合わせと
生まれるために育まれた愛と
生まれるまでの ....
  君は黙って頷く、
  雨に濡れた夜でもないのに。



  僕は語り続ける、
  消えそうな焚き火のまえで。



  身勝手なやさしさで、
  どうせ僕は君を傷つけてい ....
芝居がかった波が打ち寄せる
僕らの港からは
いつだって色とりどりの星星が見える。



  かなしみを選びとれるほどに、

この世界は寒色で描かれないけど


  しあわせを選び ....
眼をつむって二月を踏んでカレンダーをやり過ごすきりのない午後。


おがくずの中で膝を抱え眠る幼蟲になって眠りたい。

痩せこけた冷蔵庫の中で瞼がくっつくぐら ....
チョコレートケーキ
甘いと思ったら、
舌の敏感なところで
苦さを感じてしまった。
スポンジの芯あたりから、
ほのかにオレンジの香りが
鼻についてきた。

人の生き方も
こんな三重奏だ ....
飛騨小坂に
帰りました。

小坂川を
見に
行ってきます。

翡翠色の川
ほとばしる
瀬と

真っ黒い
たゆたう


そこに
身を投げます。
私は
川の中で
暮 ....
今日は少しだけ風が強いから
雨雲が喜んでる

爪跡も霞む窓に河川敷
水飴のように頼りない陰り
偶に鳴る鉄橋の響きなんて
すうっと遠い

音色の小さな一隅で
ゆっくり短針が捉える様
 ....
赤い満月が暗い密林を包む

琥珀の毛並みの一匹狼は

この本能がうずく世界で獲物を探す

純白の毛の一匹兎は

本能のまま世界を飛び回る

この世界で狼はどん欲な男
 ....
彼女の手は優雅極まりなかった。

注がれたグラスを指だけで持つのも
差し出された手に手で応えるのも

様になったし、僕はなんとかしてその手をとろうと
やっきになった。

トラン ....
髪を整えるクシが見つからない。
このままじゃクセがついてしまうから、
僕はパステルカラーで彩られたつま先でフローリングをぺたり、ぺたりと歩きます。
濡れた髪はうざったいほど乾きにくい。

先 ....
 透明な煙が
 流れている部屋の窓を
 右手で閉じる
 閉じた手の
 余った時間が虚しい
 煙の足跡の風が冷たい

 こころの温度を
 回復するまでの間が
 夜を登るように苦しい
 ....
昼下がりの陽射しが
雪のじゅうたんをめくって
春をたたきおこす


小さな飾り気のない
窓の外では
ゆきんこたちが
まだ
ぺちゃくちゃ
おしゃべりしている

それでも
待 ....
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