{ルビ=アヒルの子}
紅葉があんまり紅いから
メールを送ってみたんです
紅葉があんまり紅いから
安心するんじゃないだろかって
紅葉があんまり紅いから
やさしくなってみようかなって
良く撮れた
....
脚で立つことの違和感では
耳や指に入り込む砂とは明らかにされずに
厚みですか
では開くのでしょうね
それがそれであるという意味
腕に噛み付くと大きな声を
抄本に
抄本へと
いくつもの皮 ....
恋人よ 悲しい冬の朝のにおいを
結び合わせて僕たちは
僕たちを手ひどく扱った
このちっぽけな町を出てゆくのだ
機械油のにおいだとか
缶詰工場の工員のつなぎだとか
狭い路地や貧乏そうな子 ....
こへびちゃんは
友だちがほしかった
遠くへ行きたかった
仲良しをさそった
いっしょに行こう
これ美味しいよ
こへびちゃんは友だちができた
友だちはふえたので
いっぱいできた
....
{引用=
今日 {ルビ午后=ごご}の空は、
秋をきびしく拒絶していました。
その審判は、言葉や法則でなく、
まして、表象された風景などでも
なかった。
許しはしないと、
風や雲の ....
テイブルの下に
ひきっぱなしの布団
みかん転がり落ちてるよ
段ボールから猫
なんもないのはわかってるんだ
ポンコツ話も聞き飽きただろ
こっちもうんざりしてるから
冷蔵庫にはたまご ....
向かいのあの人は何考えているんだろう
19歳で田舎から来た僕は山手線で向かいに座るOLが何を考えているか考えていた
そして33歳になった今
同じことを同じ山手線上で考えている
....
軽蔑の光を灯して
人は彼女をみるのだ
知恵が足りない子だという
足し算 引き算はできない彼女は
人のために泣くことができるのに
ずるい笑みを浮かべて
また騙そうとするだれもかれも
だ ....
壊れたものを修理にだしたけれど
どこの店に行っても直すことができなかった
別れ際のあの不意な涙は
今も僕の掌に落ちて染み付いている
必ずハッピーエンドになるとは限らない
....
「メランコリー。」
可愛がってたねこが
朝冷たくなっていた
そんな憂鬱
やりたい事見つからない
夢の消える音聴いた
そんなメランコリー
だから苦しいんだ
靴下片方見つからな ....
宵闇に包まれた路地に建つ
戸建住宅の玄関前に
一匹
猫が座っている
しゃんと背筋を伸ばして
正面を見据えて
その確固たる存在感を
僕は
しげしげ見ながら
通り過ぎる
どこ吹く風とい ....
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなその ....
待ち人でありたいと廊下に立ち
ほとぼりが冷めるまでの言葉遊び
未だに解けない誤解があるなら
不本意な配慮も無駄にはならない
街灯が照らし出すと同時に
忘れていたものを思い出す
何気 ....
言葉は時々嘘になる 
心は時々嘘をつく 
優しい嘘であって欲しい 
悲しい嘘は不安になるから 
君の癖 
嘘をつくときの癖 
....
かばんには レニーブルーズの自伝と
上座仏教の指南書とくしゃくしゃのプリント類が入っている
2冊はだいぶ違う本どうしだが どちらも好きだ
でもレニーのほうが好きだ
....
*
*
電車をおりたら、正しい冬の予感がした
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂いが冬の匂いで
あたしはとっても幸せだ
今年の冬はシチューのC ....
{引用=
悲しむことなどいつでもできるのです
とどかない想いは、手にあまるほどなのに
あきらめない
今という日をすごす 今日
透明な引き潮は、
小さな入 ....
大根の葉っぱにくっついていた
かたつむりが
ひこうきぐもは
そらをきる
わたしはてらてら
ちじょうをぬう
さいほうばこを
もってこい
よいしょよいしょと
ぬってやる
ひこうきぐも ....
夢をみた
ふかいいふかい沼にはまりこみ身動きもとれず
出せる声は呻くような無様な音のみで
がいこ がいこと鳴くイキモノが迫っては消える
暗いとも明るいとも言えぬ景色は
これがこの世界の果 ....
あかぎれた手の甲は膝のうえに重ねたままで
ふぅっと深くため息をついてみる
シャッターを下ろした売店脇の柱に掲げられた時計は11時55分過ぎを指していて
どうやら今夜もフェリーは出航しない ....
木枯らしがからからと乾いた音を立てる
あらゆるものの輪郭がくっきりと描かれ
移り変わる季節への感傷に浸りたいのに
冷えた手は無意識のうちに摩擦を起こし
細胞の根元から発信される欲求を満たそうと ....
仮にアレがアレだとしたら
意外に簡単に理解ができる
とどかなかった物は
隣の席に座っていた
綺麗な世界をみたいなら
とりあえず待って帰ってきたら
おかえりなさいとく ....
命を継ぐいがい
時を旅することはできないぼくらは時の旅人だ
星は知らない
互いに知らない星と一掴みにされて
勝手に名前をつけられていることを
星よ、ぼくらが、なぜそんなことをしたのかって ....
成層圏 私風景
{引用=
そらのひろがりが 【 騒音のやまない
手にあまるこんな日は、 プラタナスの並木
苦しいのがわかっていながら ....
こころの成り立ちがわからない
こころは支配できるものではない
こころは何処へかむかっている
消えてしまうこころなんてあるのか
永遠のまねをして太陽は
ぼくらと同じ有限 ....
魔法なんかじゃないよ
君はそっけない顔をして言う
そのきれいな指先で操られて
形を変えていくものを茫然として見つめ
そんなしなやかな指裁きはできないと
溜め息を吐く
魔法の呪文は ....
その両手に零れている
内臓の薫りは
私の生まれた日に死んでしまった
柔らかいこころだった
水滴が肌を湿らせるように
じんわりと温もりが呼吸する
世界になったんだ、私
色彩が視界を埋め ....
木造の家。
年老いた梁がぱきりと声をあげる。
見上げると其処には長い年月を経た木目としみ。
ぼんやりと眺めているとまたぱきりと鳴った。
そうかこれは、
....
一面に垂れこめる月から
頬笑んだ顔が落ちてきて
ここには
僕をつなぎとめるものなんかない
つぎの船を渡って
みんなみんな行ってしまうよ
指をからませながら
だけど母さん
僕に世界をくれ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100