雲に覆われた
夜空を見上げる
なにも考えずぼーっと
空の深さが分からなくて
ただ眺めている
その空を区切る電線と
夜空にぼんやり浮かび上がった鉄塔
風がさわさわと渡る
僕は ....
その唇で
言葉のシャボン玉を
際限なく繰り出しては
あらゆる色と形を
貪欲に飲み尽くす
その唇で
まことしやかな嘘を
丹念に織り成しては
曖昧に微笑んだ後に
こっそり赤い舌を ....
東京ドームで
ボン・ジョヴィのコンサートがあった
妻が息子、16歳になった息子と
二人で出かけた
妻は20年間
ボン・ジョヴィが来日するたびに
大喜びではしゃぎ回り
コンサートは欠か ....
過去など何処にもありはしない
ちょうど幼い私が失禁して
呆然と佇んだ道端の
あの豆腐屋が
とうに消えて無くなっていたように
私はいつ、大人になり
いつから老い始めたのだろう
私はいつ ....
埼玉から都内の西に越して
一部屋減った
3LDKの都民住宅
なにも家具が入ってない
下見のときは
とても とても
広く見えた
が!!!
おとな5人と成猫2匹には
狭い ....
あり合わせの野菜と特売の豚ばら肉で作った野菜炒め
ちょっと辛めなのは彼の好みで
できたての熱々をふたりのお皿に取り分ける
彼はと言えば相変わらずのパソコンに熱中していて
彼のお皿にはお ....
あさいちのJRに乗っている
コートの大人たちでふつうに混んでいる
ぼくは中二の秋くらいの気持ちになっていた
電車のなかにいると引きこもってしまうのだ
みんなが立派そうに見える
みんなが上 ....
のび太君はいつも
スネ夫にからかわれては
頭が煙の昇るエントツになるものの
テストや体育の時間になると
何故だか決まって、負けるのです。
そんなスネ夫にも
時折気まぐれの風 ....
旦過市場を抜けたはいいが
山を越え
谷を過ぎ
ここはどこやねん
ぐるぐるぐるぐる
廻る道
これがニーチェの言っていた
永劫回帰か
あほんだら
と
天と地におけるありとあらゆるも ....
わたしを見ている
あなたのネクタイが
少しだけ曲がっているのが
気になって仕方がないけれど
愛しさが憎しみに変わる瞬間を
型に流し込んで作った
わたしの細すぎる指先は
ディスプレ ....
満月か? 14番目の月か?
星座と月の輝きに見とれて、身体が冷えた
もうパン屋には灯り そろそろ焼き始めるのかな
煌々と月や星が輝く
夜空が明るいと 真夜中であ ....
いのちを軽く人生を軽く
かんがえていた訳じゃない
十代のころ
自殺と未来がいまよりも
そばにあった
ただ
いまよりもずっとそばにあったんだ
そんな生死の
....
涙
猫鳴廻恋恋
人噤臥愁愁
一去知難遇
鏡中暗涙流
涙
猫は鳴き、恋恋として廻り
人は噤み、愁愁として臥す
一たび去りて、遇ひ難きを知り
鏡中、暗涙流る
....
リアルには実態がない
わけではない、勿論
ただそれが波及する場所に
なにかしらの不具合が
生じてしまうのだ、きっと
リアルはとても
いたずらっ子だから
リアルは
....
起こすとまだ寝ていた
いまなん時かを教えて
四十五分にまた
電話すると言ってきった
それまであと二十二分ある
そばにいてあたためていいか
もっと触りたい
ふわふわの領域を
もっと抱きしめたい
ふわふわの範疇を
手のひらから沁み込んだ
もふもふは一気に
視床下部まで駆け上ると
セロトニンの波に乗って
第3肋骨の裏側に潜んだ
「不」のつ ....
目覚めると真っ先に君の二の腕を求めた内側から蝶の刺青を浮かび上がらせるそれを僕はどうして失ってしまったのかほとんど無自覚のまま
本当に美しい言葉は永遠でも真実でも物語でもなくあなたの唇が開いたと ....
あんなにも忙しくぼくの脚はうごいていたのに
それいじょうに
踏みしめていたものの方が素早いなんて
なので、いつまで此処にいられるか
ぼくはじっさい
心もとない気分です
....
絡み合う2匹の軟体動物さながら愛し合う
舌と舌とが唾液を攪拌しながら弾かせる
無声子音の破裂音
こうやってお前を吸い込み食べちゃいたいよと
賞味し合う前菜じみた聖餐の
静かな咀嚼音
そ ....
「箱」
部屋の中で降る雨
窓はもはや絵画
三角錐の頂上はそれほど高くはなく
そこはとても四角だった
誰かしらの手がきっかけで
箱は隙間を許し
本棚は本棚に
テレビは音を放ち
....
何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか
下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな
女のひとだとしたら
無性に巣篭もり ....
くちびると舌でつよく吸った
おまえからの写メを見つめてる
あかい地球につながってゆく
漂ってあかい地球に浮かんでる
かるく閉じたおまえの目
くちびるが
ちいさな ....
通り沿いにガラス張り
湯島のちいさな洒落たカフェ ペグ
オーナーの娘だろうか店員女性にときめくわたしは
「おはようございます。玄関マットの交換です!」
の発声加減については役者なみだ
マ ....
詩を読んだ日、
見上げると満月だった。
詩を聞いてもらって,
「いいね」と言われる。
詩を読んだ日、
見上げると満月だった。
今年最後の林檎もぎの日は晴れて
山に建つ我が家では霜が降り冷たかったけど
生まれた家の近くの林檎畑に長靴で行くと
陽気で 草露になっている
十月の葉取りから会社の休みには手伝い
雨の日は ....
充血するほど
見つめあっても
見えないものはある
どんなに長い
聞耳を立てても
聞こえないものはある
見えているのは
草原の遥か彼方の
とても体裁の良い
互いのまぼろし
....
愛猫たちの大好きフーズ
チーズ入りのふっくら
カリカリ
あたしは
その横で三角カマンベールチーズを
かじる
そしてハイボール!
猫たちは
チーズの封を開けると
寄ってくる ....
さかな色の、光が
夜の道を跳ねる
記憶にふる 蒼い雨の想い
街灯の光りは、やすらぎの
{ルビ七色=にじ}を生むこともない孤独に満ち
つめたい 明かりを揺らす
力尽き 腐植し始 ....
中学の用務員パンパカは
第二グラウンド裏手の平屋に住んでいた
戦争中はラッパ手だったのでパンパカ
短気な爺さんでからかうと怒り出すのでパンパカ
上級生の一部男子は面白がってかまっていた
かば ....
土屋さん
百日咳ではありませんでしたよ
あぁ
長引いた風邪は
大人の百日咳ではなかった
そう言われて
病院を出たとたん
おなかが空いてきた
朝 家をでるまで
ずう ....
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