「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く
う〜ん、淋しいかも
開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛 ....
魚の小骨のように胸腔にナイフが引っかかっております。
子どもの時分からずっと引っかかっているのです。
(おかしいですか?
たいして悩みでもないのですが、
やみつきだなんてとんでもない。 ....
{引用=
変わらずにやってくる
やわらかな朝に手をふれるのが嫌になった
億千の人の一人でいたかったのに、自分に
うそをつくのに疲れた
少女の箱はもうなにもなくなって
そこから ....
君の母の納骨式が行われた日の夜
朗読会の司会を終えた僕は
仲間達に手をふって
高田馬場駅に近いコンビニの公衆電話から
( 今、終わったよ・・・ )と、君に言った。
久 ....
遠いちいさな丘のうえで
初夏の梢が水草みたいに揺れていた
命あるもので揺れていないものは無かった
揺れながら皆まっすぐ天を指していた
ひとつとして同じ形の枝は無かった
ところどころ折れて歪ん ....
死んだら二十八グラム体重が少なくなるって
それがひとのタマシイの重さらしいよ
と、どこから聞いてきたのか
娘が言う
父はおもう
タマシイに重さがあるなら
物質 ....
僕はケータイで
ニルヴァーナの
「十七歳の娘の匂いにむんむんむらむら」
を聴いていた
そうしながら
いつの間にか
旦過市場の異次元に迷い込んでいた
魚屋で一匹の
真っ赤な
鯛が
「 ....
あんたぁ ちょっとぉ みかけに よらない 日本一のくるくるぱぁー
ってなぁ
あほぉいうたひとがあほぉなんですぅ、あほぉ
マヨルカ島にふきよせる地中海の青い風をすくいとる
ピアニストの手のひらは白い
葉叢を束ねる小鳥のさえずりに頬ずりをして
月光にきらめく細い爪をみつめていた
風の家にあ ....
テンションが上がってくると
ヂっとしていられなくなって
後先見ずに飛び出してしまう
僕のやんちゃな意識は
行き当たりばったりに
モノやヒトにぶつかって
喜怒哀楽を撒き散らしながら
僕の内側を言葉 ....
「泣き腫らした家」
その家は号泣する
時間を失った丘陵にたたずみ
家主の帰りを待ちわびながら
その家はときどき夢想する
彼女が門扉を開き
飛び石伝いにやって来るさ ....
涼しい風に乗って
赤トンボが行く
僕たちを見つめながら
スイスイと行く
何となく僕は照れて
紅い夕日を眺めてみたり
夕暮れどきの君は
ほんのり朱くて
可愛くて
明日はきっと晴れるよね
そう願わずにはいられなくて
ふと手を休め振り返る
自由気ままに暮らしてきた日々
愚痴っぽくなってみたり
ときには人恋しいくせして無口になってみたり
....
言葉を
見つけた
探していた
ジグソーパズルの
最後の1ピースのような
言葉を
言葉を
見つけた
欠けていた
色えんぴつの
代わりの1本のような
言葉を
そっと
近づいて
陽だまりと一緒 ....
冷たさを増す風に震える
荒野の先のやわらかな双丘をそのままに
奥に流れる寂寥とした音色に耳を澄ませている
何処かに隠した水瓶から溢れ出す
指先を濡らすほどのちいさな泉を大切に護って
....
生まれたばかり――
あまりにもまぶしかったので
まぶしい と
叫んだはずなのだったが
揺籃期――
プロレタリア文学だと称する
ひなびた小説を口に入れるが
不味くて ....
しずかな森から手紙がとどき
くもったはいになつかしいにおいがはいりこむ
寝ながらYouTubeケルンコンサート
キースジャレットのピアノは
せきをとめ
「いきかえって ....
夜空から剥離した星明かり
星騒に眠られぬ夜
人知れずやってくる 孤独は、
ただ一人でいることでも
まして、理解されずにいることでもないのです
それは、答を待ちわびるということ ....
晴れ渡った空の青が濃いのは季節の分かれ目だから
あたしは出かけなければならなかった
剥離は目撃しなければいけないのに
お父さんは寝転がってゴルフばかり見ているし
9月さいごの日曜日だからと言っ ....
朝焼けの美しさの前で途方に暮れるたび
あらかじめ失っているものの大きさを思い知る
それでもこのまま進んでいくことしかできない
アルゴリズムに沿ってできるだけ
ループから消えた数字は
....
{引用=
ハナアブのはねを千切って
裏返すと コメツキ虫のように跳ねた
しばらくすると独楽(こま)のようにその場所を回転していたが
捨てた記憶もないのに 朝になると消えた
僕らは身体を突き合 ....
誤解されて
ひとの役に立てなくなるようなとき
この詩を口ずさんで
しずかな気持ちになるのが好きです
脱力して
まるではだかで抱き合うように
お喋りしながら
ま ....
やっぱ秋だものね
いつのまにか下腹のあたりに不吉な弛み
食べ過ぎた覚えないんだけど
運動不足ってこともありそうだし
いつのまにか
そう、いつのまにかなんだよね
いつのまにか ....
辞職願には「一身上の都合」とだけつつがなく書いたものの、本当の理由は「生きることによる倦怠感」であった。生きる、という本質的な目的がわたしの中で、ピントの合わない眼鏡をかけているように、急にぼやけて ....
秋を洗う
ダイヤモンドの花
プラチナの雨
慈愛
このオレンジの果てを
思う
果てに止まない開花があるとして
それが 想像が及ばないほどに 美しいとして ....
峡谷を越えると
静かな瓦屋根の風景だった
懐かしい味噌汁の匂いがした
ああ、そうか
もう冬になるんだ
木が無口だ
迷路のような路地裏を抜けると
君の家がある
赤い屋根の洋館で
君はピ ....
{画像=101015121000.jpg}
君はどこに行っていたのと
神話が問いかける
ここまで
ずいぶんと時間をかけて
きたのに
ほんのちょっとの不在で
だいなしにしたね、と
....
{引用=
+
ぼくがはじめてきみになかだしをしたよる
ぼくのなかのぼくはほとんどしんだ
額からこぼれ落ちてくる
角を拾い集めて
....
掲げた手首に引かれた風コンパスと炎の赤道は喉を掻き切り流れ出す椰子の黄色い核が浮き沈みする痕では半人半霊の拝む太陽の焦点も焦げている瞳孔と溶けるチョコレートの肌に押し寄せる波濤そして火傷するほど疾 ....
ずっと昔、夜、天から水が……
……記の底に溢れている 憶
地名を襲う大洪水
聖穢なく
隆起しながら鼻筋を形成していく
雨の島
渇きながら灼熱を求めていた
亜種、獣
めくら ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100