バケツをひっくり返したようなって言われても
ピンとくるわけじない
ひところ軒先で騒がしかったツバメの巣はいつの間にやら静かになっていて
育ち盛りと餌を催促してた雛たちは
ハーメルンの笛の音 ....
こどくにはつよいはずだった
ぼくが
ふあんにたいして
ふあんていにたいして
こんなにもぜいじゃくでむぼうびであったなんて
おもいもしなかった
ふいのかぜがふい ....
きのう手紙がとどきました。ふるさとのこころの箪笥から。
【前略 私は あなたの本当の母です。あなたは 親に「橋の下でひろってきた」と言われると喜んで、高貴な産まれを夢想するような娘でしたね。卵が先 ....
狂女の独白
いつもそれは夕刻よりも暗い夜明け
一日は、東の地底で死んだ胎児のように
いつ迄も、紫色の胎盤にまみれて
暗黒の硬い産道に引っかかっている
胎児の頸には硝子のつららが刺さって ....
夏の朝は早く
蜩の話し声が聞こえていた
雨上がり
入道雲は悠々行進
忘れ去られて行く毎日
モチベーションは何処へしまったかな?
窓ガラスに映るのは
揺れる二本の電線だった ....
{引用=
「おはよう、
せっせとお弁当箱に昼食を詰める
この世界のなんらかに収まりなさいと
話しかけてくる忙しげな背中
通学路に捨てられた雑誌には
艶びかりする牡牛の角と蛙の屍
女の子の ....
シャネルの前にはいつものように孤独な乙女が
「私の志集」を薄い胸の前に掲げて佇立している
思えば20年以上前から立っているけどリレー制なのだろうか
夢多き若気の士心は1部300円というのに誰も買 ....
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです
必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
経糸の波が島に打ち寄せ
砕けた珊瑚の欠片が筬の羽の隙間を通る
浜は白く織り上げられ
降っては降りてくる日射に
転がる岩岩は奪われた影を慕っていたが
素足 ....
朝めざめると
あなたは哀しい
人の形をしていた
毎朝きまって
そうなのだとしても
本当のことは
けっして言わなかった
言葉にできないことや
したくないことを
たく ....
夢にまたあれがでてきた
あれいらいだ
シンゴが洞窟を持ってしまったのは
女の子との別れならいくつも経験していた
それまで好きで別れたことなどなかった
そんなお人よしではなかった
連絡を ....
ダイエット目的にはじめたジョギングだったはずなのに
夢はホノルルマラソンなんて張り切っている
フルマラソンって42.195kmも走るんだよね
あの子の精神構造ってどうなっているんだろう
....
その身を削いでゆく
どこまでも
いつまでも
と、いうわけにはいかないのだ
だれであっても
どんなひとであっても
あげくの果て
使いものにならなくなった
....
七夕なのに雨模様
願い事を見透かしてしまう僕には
あまり関係のない事実
笹を(と携帯に打ち込んだところで、稽古が終わった娘が車のドアガラスを叩いたから、作業を中断をせざるを得ない)
※ ....
眩い光りは衣を重ね
いつまでも消え去らぬ
それは人知れぬ
夏の海峡の 輝きを増した陽炎
落ちてきた 数知れぬ星達をあつめた天の河のように
静かによこたわる
無数のきらめきは、時を惜しみ
....
あかさびた喧騒昏く広小路
上野山くろぐろ聳え駅を指す
午前二時松坂屋横かすめ行く
おかっぱの少女防空頭巾{ルビ厭=や}で
千代ちゃんは数え四歳母捜す
川向う慰霊の堂は家ならず
....
{引用=
真っ白い砂の中に混じる小石をじゃりと鳴らしながら、薄闇に光る下弦の月明かりが照らす平地を、真っ直ぐに歩いていく。そのうちに見えてくる、ゆるやかな勾配の坂道を登ったところにあるバス停で、 ....
1
春を見て
鳥はなんて思うだろう
月を見て
蛙はなんて思うだろう
虹を見て
花はなんて思うだろう
雪を見て
雲はなんて思うだろう
空を見て
木はなんて思う ....
この際、生理や物理なんて
大人のお伽は邪魔だ
畳の上に、
ヨーヨーなんかとぶん投げて置くさ。
柔らかなまま
君のおちんちんを引っぱって引っぱって
電車に乗って、新宿で乗り換えて
上野動物 ....
昨夜の雨でまだ湿っているアスファルトは
打って変わった今朝の強い日差しを吸い込み
ジーンズに包まれた足元からじわじわとあたためる
今朝は目玉焼きを二つ作った
フライパンを火にかけて卵を ....
僕のしがない手を
君への花向けだと思って受け取ってくれ
僕の干からびた足は
君への愛着だと思ってくれ
僕の垢だらけの耳は
君への差し入れだと思ってくれ
僕の乾いた眼球は
....
外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
私は今日も窓からその変容を眺めている
それはもう毎日のように
この窓辺から遠くへ臨むことだってある
窓越しに映画を見に行ったり ....
カワバタくん、ランチでもどう、
同僚のイガタアヤコがシンゴを誘う
いっしょに働いて10年以上になるのに話すようになったのはこのいちねんのことだ
飲み会で子育ての話になったときなぜかシンゴ ....
じっと生活していると
だんだんと埃まみれになってきて
埃のおばけみたいに
手なんかもうサボテンのよう
そんな時に誰かがやってきて
ふーっと吹いて埃が舞って
おばけの中から一瞬わたしが出てき ....
{引用=
旅群の影に腰掛けて
静かにナツメを噛んでいた
夜露に濡れた
クサカゲロウの卵塊が
孵化した途端
光に溶けて
満ち欠ける月が映る
瞳を抉り出し
過去を刻んだ証人として
....
昔たってそんな昔じゃない昔
筑豊とかの炭鉱では女のひとも坑内で働いていたらしい
上半身裸で乳房丸出しの腰巻き一枚
薄暗く蒸し暑いヤマの奥底で
気の荒い男衆に混じり
掘り出したばかりの石炭 ....
根津
百歳の藤猫侍る祠岩
杳として千本鳥居入ったきり
かはたれの緋牡丹 墨の袖も引く
貸本屋 {ルビ眇=すがめ}の映る飾り窓
不寝
あぶら揚げ咥へたるはゝ月抱く
胸はだけ ....
真夏がアスファルトに喰らいついてる
だらりと垂れた野良犬どもの舌は
桜のころより一〇センチは長くて細い
渋滞気味の二車線に鳴り響くクラクションのブルース
運転席にいる連中はみんなが ....
独立記念日の夜
祝いの祭
星明りの夜空に光の花が舞い散る
願いを集め 放ち
大輪の夢を咲かせる
けたたましい空の鼓動となって
瞬時に消え去る はかなさに
―― 祖国という明日をもとめ ....
{引用=頂点はさらに、高さを増す。塔の上に塔を
重ね、そのようにして時代はいつも、賑や
かに葬られていく。足元には、無数のメタ
セコイアが植えられ、手をのばして、空を
仰いでいる。道は、休むこ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100