この美しい風景も
友人の笑顔も
何気ない日々も
記憶という泉の中で
いつしか
セピア色に滲んでいくのだろうか……
「カタクチイワシを一言で言い表すのは難しい」
爺さんがそんなことを縁側で呟いていたので
爺さんに聞こえるよう
「ニシン」
と呟いて宿題をするために部屋に戻った
部屋の勉強机は窓の手前 ....
置き去りにされた
残骸の片方だけ残る後輪に
硬質ゴムの黒いよごれは、
動くことのない平衡を失ったもうひとつを捜してた
均等に働く両足の仕事のようにもとめあう
互いを見ることもなく、罵り合 ....
棒人間は今日も黒い涙を流す
言葉よりも大きな気持を
整理整頓する
嘘っぱちな深夜通販番組を
薄目で見ては誉め称える
貴方は死刑と言われたけれど
そんな証拠は何処にも ....
のぼるのタイヘン
くだるのラクチン
ジンセイなんてそんなもんだよね
見せるのタイヘン
隠すのラクチン
キモチなんてそんなもんだよね
覚えるのタイヘン
忘れるのラクチン
キオクな ....
それがコスモスだと気づくまでに
少し時間が必要だった
黄金色と言えばそれまでだけど
一番君にふさわしくない色
去り行く夏を心から惜しみたいから
毅然とした秋の気配に少しでも抗いたいから
....
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる
その帰 ....
たちのぼる炎も踊る こよい
生けるものたちは、みな □
豊饒のよろこびにみちあふれている ※
誰もが 誰であるかを忘れ
みだれつどい ●#л★дб
星に興じるすがたは、廉恥をすてる
....
I がない一日でした
アイがない一日でした
自分が留守な一日でした
ただ流されていくばかりでした
土左衛門なのでした
いくつもの橋の下をくぐり
今更ながら橋の憂鬱を知り
壊れたが ....
うちから少し歩いたところに住宅街があった
大通りから出る七本の細い道で構成されており
それぞれの道には一号通りから七号通りまで
安直な名前が付けられていた
小学校に上がって通い始めた書 ....
四ツ葉のクローバーの出現は
一万分の一の確率らしいね
あなたと巡り出逢えたことは
それ以上の確率だろうけど
手にした瞬間の幸せの確信は
過去の三ツ葉と違ったからね
僕らが生み出 ....
遠くばかり見てるね。
秋の夜空はとても澄んでいて
僕の焦点の合わない目でも
うっすらと星が見える
遠くばかり見て歩いてたら
石に蹴つまづいた
気付くと
隣にいたはずの君がいなかっ ....
バスが過ぎる
その排気ガスの匂いが薄まると
またキンモクセイの香が戻ってきた
田畑が刈られるのを待っている
風がやむと時間がとまっている
ひかりが雲が空をぼかしている
建物の優しい ....
晴天に支えられた計画がある
秋の涼しさを楽しめた自分
常緑樹 枯野はテカテカ燃えている
どれだけ
つまらぬ嘘を聞いたら
あなたを嫌いになれますか
さびしがり屋の
つよがりをみせに やってくる
そんなあなたを
待ちくたびれ
生きていれば
いいこともあるさって
一緒 ....
あの国に住むひとは
薬の常習者が多いそうだ
先日捕まったりしたのも
あの国のひとたちからすれば
仕事の性格上?織り込みずみなんだろうか
ぼくはいま阿Q正伝を読んでいる
そこにあ ....
{引用=ある時期が訪れると私の肌は、銀杏のように黄色く色づくのです}
銀杏のように色づくのです
オリンピックや、ワールドカップの時にだけでなく
箸を扱うときや、
ひとりこの畳の上で ....
私の詩がどんなに拙い読むに耐えないものであっても
便所の落書き以下の代物であっても
そんなこと関係ないんです。
ポイントが入っていないと誰にも相手にされていないようで
孤独に凍えそうな ....
昨日の続きを話したそうな風だ
グラスの冷水 飲むエロティシズム
コスモスの蝶々追って来る日射し
蝋燭のともしびを
絶やさずに
湯気立つ水槽をわたり切る
それが使命なら
ひどく単純な、それでいて命をかすもの
人の犯した罪に/穢れ/しがらみに
神の子がみずからを捧げたように
汚辱に ....
生まれたばかりのきみは
ぽやぽやとした輪郭でふわふわとした軽さで
赤ん坊の手のひらにもおさまるほどの大きさで
あたためられてすくすく育つ
産毛はだんだん寄せ集められて太くなり
気付け ....
小さな星が僅かに光る
近未来的な都市で
黒い煙に包まれて消える
電話の向こうで話す人間は
どのような輪郭の持ち主なのか
君の首を絞める夢を見て
いつも起きる時は冷や ....
090923
萎びた地球に
問うてみた
感じたままを素直に
吐いてみてと
言ったのだが
萎縮したのか
言いたいことがまとまらない
....
のびやかな風の指先が
大地のたてがみを
慈しむように撫でつけると
さわさわと歓声をあげて
きんいろのうねりが
遥かな山の麓まで駈けていく
約束は果たされた
澱みない自然の ....
過去の自分に 縛られて
身動き出来ない 時もある
過去の自分を 消したくて
嘘を重ねた 時もある
過去の自分が 虚しくて
殻に籠った 時もある
そんな過去でも 僕 ....
かならず
抜け出してみせる
それが
やすぼったい紙ひこうだろうと
この手で とばすだけ
歯をくいしばって立ちすくんでいた
こんな街から それしかなかった
脱出/逃亡/降参/妥協…
....
{引用=人類は、まだ生まれたばかり}
時の口がガラスの乳房にぶら下がり
刻々と私の砂丘は完成されてゆく
埋もれゆくさなぎは薔薇の衣を纏って眠る
彼が(もしくは彼女が)飛び立つのを目にす ....
君は彼女じゃない
そう自分にいいきかせても
彼女の欠片を
そこかしこに見つけてしまう
喜んだ顔とか
ふとした仕草とか
そんなことから
7,8年前の
ほろ苦い思い出が甦る
....
あのね
とりあえず声に出してみた
答えなんかでた訳じゃ無いし
そんなものはなから無かったりする
えっとさぁ
次のことば続かなくて
それでも携帯の画面へ逃げ込むのだけはぐっと堪え ....
銭にもならない我が儘な奴は
はやいうちに見限るにかぎる
銭にならない奴に
銭の成木を任せていてはならない
銭の成木には
銭を稼ぐ奴を張り付かせておくべきだ
銭にもならない奴とは ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100