空っぽエンプティの神様は
融通がきかない
シジフォスのように岩を
頂に押し上げる
朝から雨だと
出かける気がしないのは
小学生の頃から
変わらない
生きていることにテーマはない
....
勤め先近くに珍しい衣装を扱う洋服屋さんがある
どんなのかっていうとお笑いの人とかが舞台で着るようなやつ
スパンコールちりばめられた真っ赤なベストが店頭に飾られていて
開店直後らしい午前中の早 ....
帰路暮れて揺れる電車は音穿つ(で、あったなら)(で、なかったら)
ミルクティー恋人たちがこぼすから空は蕩けて星空になる
夕焼けの残滓に向かう農夫いて暗き川原に燃やす唄声
....
春に迷い込んだ赤とんぼが
ゼンマイをキリキリとうたわせた
ブリキのおもちゃのその中の
ブリキでできた心臓の
あんまりとんぼが赤かったから
ブリキはとんぼに恋をした
おもちゃであ ....
すこしグレーの染みた水色の空をバックに
街道の広い駐車場でのぼりがはためいている
風をコピーして光と影の紋様を見せてくれている
政治経済や環境や人心などの問題を
空やのぼりを見つめながら考えて ....
見慣れない電車を
何度も乗り継いで
見知らぬ人達に
何度も道を尋ねて
見惚れた造花で
何度も指を切って
見損なった夕焼けを
何度も何度も許して
やっと辿り着いた
近所のコンビニで
アイスクリ ....
涸れた港を見下ろす丘の上
にある廃墟のような酒場で
俺は飲んだくれている
のかすら分からない
ただまどろんで
きしむ壁をすり抜けて
吹き込んでくる風に
震えているのか
スト ....
夕日の終わるころ
僕はなにに影を落とすだろう
うらぶれた浜辺の賊らが踊りだせば
僕は楽しいことだけをしよう
おなじ波なんてあるのだろうか
波は波にちがいない
それだけでいいのではないか
ささやかな浜辺 ....
今夜は神日和{ルビ=カンピューリゥ}
神日和{ルビ=カンピューリゥ}は物忌み
神日和{ルビ=カンピューリゥ}の夜は家の外へ出てはいけない
村の年寄りは若者に諭した
けれど若者は
十三日の ....
薄暗い放課後の理科実験室で
やさしさの裏側を顕微鏡で覗いている
数名の男子が抱く女子への幻想があるかもしれなくて
もしくはどこか悲観的に
いくばくもない生命のおわりが映るような気もして
....
がらくたに音を立てた雨は
まばらに窓を濡らしただけで 止んでいた
真っ直ぐな風が一通り
花弁を泥の上に 押し退けた後だった
冬よ去らないで
夜よ
暗がりのまま
....
金属を叩く音が
全部で三つ
離れすぎず
また、求めすぎない間
充分で理想的な関係
重要なのは音色
振動する空気も
重すぎないのがいい
単純な規則性と
各々は直に影響し合う ....
■チューリップ
包むように咲く花びらは
遠いむかしにわたしの頬を覆った
大きくて暖かな手のひらに似ていた
誰のものだったかは
もうとっくに忘れた
中に隠れている ....
別に空が切り取られた訳じゃない
むしろ高層ビルの群れは空を望んだ形だろう
人が地上に建設した願望の手
その指先に立って手を伸ばしてもまだ届かない
屋上でも地上でも
見上げることしかできない
....
公共性のない才能と
正解を欲しがる幼稚性
そのどちらもが
渦になれないおまえら液体だ
いちからじゅうまで
そんなんじゃいやなら
おまえらの惨めさにおれは蓋などしない ....
{引用=
うわの空に舞う花弁を掴もうとして距離を見誤る春愁の日
性別なんて窮屈すぎて息が詰まりそうだった
黄昏色の溜息を煙草の煙と一緒に吐き出して
トイ ....
初出:2000年「詩人専用シナプス」
ヒマな時によく、詩のサイト巡りをする。ちょっと前まではwebringの営業のために、投稿コーナーのあるサイトを見て回ってた。Googleという検索サイ ....
パンと珈琲と絶妙な目玉焼き―
それだけで
眼差しと沈黙と即席の悪意―
それだけで
唇と両腕とベッドの上で呼ぶ名前―
それだけで
朝と昼と自分だけの夜―
それだけで、十分だなん ....
なつかしい音
なつかしい音
なつかしい音
結局 わかんなかったな
なつかしい首
なつかしい首
なつかしい首
めんどくさいん ....
大根でできた透けた奴 添え物のつまになりたい
がりがりはいやだから
糸みたいに細くなくっちゃダメ
ふわふわしてなくっちゃ ....
機械的に家路を歩いてた
なんにも考えずに
帰巣本能でもあるまいし
歩道橋の向こうに
私を照らす光源があった
セピア色した夜に
私は突撃したのだけれど
それは本能でなく
機械的にした訳で ....
降りているのか
上がっているのか
分からなかった
肩を並べてなのか
今からすれ違うのか
降りているのか
上がっているのか
分からなかった
幻なのか
悲しみなのか
降 ....
100417
並が、7
並が、8
並が良いと、
3が、
吠える朝
狼
大神
オオカミ
おおがみ
頬白が通り過ぎる海原に日が照る
....
てんてんつるてん
てんころりん
咲くや香るや 花の町
川流れ行く その上を
薄桃色に 染めてゆく
花びら 花びら
さーらりん
もうし、もうし 旅の人
冬の終わりを 見やしゃ ....
女の面影や身体の柔らかさのことを
夜道を歩きながらぼんやりと思い出そうとしていた
半月に照らされた王都の白い石畳が
南島の短い冬に冷えていた
(あれは、まぼろしではなかったのか)
....
ぽ ぽ ぽ
あてどなさを
撒き散らしながら
歩く
ぽ ぽ ぽ
優しさを
蹴飛ばしながら
漂う
ぽ ぽ ぽ
愚かさを
噛み締めすぎて
笑う
ぽ ぽ ぽ
淋しさを
演じ切れ ....
薄暗い河原にしゃがみ込んで
肌寒い風に吹かれながら石を拾う
積んでは崩し 積んでは崩す
水の流れる音がする
向こう岸に繋がっていた橋は
いつのまにか流されて
橋脚だけが空に突き立っ ....
爽やかなしょんべんの匂い
あたりを見回すと
ツツジの群生しかなかった
あいつが俺のを飲んだのを
思い出してもいた
意味などさがす気もなくて
あいつが俺のを飲んだのを
植物的な愛の形を
....
あてどなく
そうあてどなく
ぼくはきみに聞いた町を通りを
喫茶を探すように歩いた
東京の商店街の
あの密着感がにがてだ
ぼくはよそものだと
目がおもくなる胸がくらくなる
足が空を蹴る
あてどなく
....
耳鳴りだ
またあの耳鳴りだ
またあの耳鳴りが
ぼくの精神に風を吹かせていた
目のまえのものが無数の風になる
どこへか向かってひゅるひゅると
無数の風が立ちのぼっている
ぼくはそれを虚無の風と呼んでいる ....
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