{引用=
どぶ川に棄てられた
あの子はどこへ行ったかな
しろい柔肌を
葉っぱみたいな深緑色にして
ぷかぷか浮いて流れていった
幼い兄妹がそれを指差して口づさむ
(ごらんごらんあれ ....
机の上に置かれた
黒い本の中に
うっすらと、顔がある
自分の貧しさに震える私と
遥かな昔に交した約束を
今も語っている
蝋燭の火が
風にふっと、消えた
暗闇から ....
聴く、という姿勢で
石の上に腰かけ
微かに首を傾けながら
瞳を閉じる少女よ
冬の冷たい風に襟を立て
凍える私の前で
風に耳を澄ます
銅像の少女よ
閉じた瞳の裏に ....
駅前のデパートが閉まると聞き
短い帰省の間、立ち寄った
商品のない売り場と
間もなく解雇される店員たちの笑顔が
とても痛々しかった
逃げるようにエレベーターのボタンを押したとき
七歳の ....
気楽な女の
お一人様も 珍しくない
今日日(きょうび)
あたしはアイツに
すっぽかされて
居酒屋のカウンターに
座った
日本酒 熱燗!
刺身と焼き椎茸
椎茸を網であぶ ....
愛さえあればなんてね
でもそれってお金で買えそうな気もするよ
何もしないからと言いながら
私の背中に変なのを押し当ててくる
そんな安っぽいんじゃなくてさ
至高の愛
とか
無償 ....
雪の降る日には
わたしの手は凍えてしまい
擦り合わせても
擦り合わせても
ちっともあたたかくなりません
デパートで500円で買った手袋をして
いっしょうけんめい擦り合わせ
じっと火を ....
看板ばかりが大きな
古ぼけたシェブロン
停留所のサインも なにもないそこに
長距離バスがやってくる
テール・ランプの冷たい光りの帯
夜の街は、行き場を失った静けさに満たされ
月の光さ ....
浜町で地下鉄を降りたら
明治座を背にして
とっぷりと暮れた
甘酒横丁をまっつぐ歩く
人通りも疎らな通りを
吹き抜けていく北風が
飼い馴らしたはずのひとりぼっちを
カ ....
なにが有効な手なのか
わからないままに
かれは
もう、とっくに
地図に表記されていない場所にきていた
音がない
姿がない
赤い血が
ながれることのない ....
さびしい気持ちなんてものはない
なにかが気持ちをそうさせているだけだ
なにかがあるから
そうなる気持ちなんだとしたら
なにかがなければ
気持ちなんてものはなくなるはずだ
....
りすはおばかだ。どんぐりをどこへ隠したか忘れる。
ばあさんもおばかだ。鼻紙をいろんなところに隠して忘れる。
エコを心配して、ばあさんを叱ってはいけない。ばあさんには、ポケットの中、パンツの中、枕 ....
そういうじぶんをきらいになるしか
あなたとは別れることできなかった
オレ泣きそうだな、なんかさ
あなたをきらいになれないから
そういうじぶんをきらいになるしか
あなたとは ....
{引用=
小さな籠の中からこちらを見やる
黒々としたきよらかな眼
欲しがる言葉も持たぬ
やわい毛糸玉のような身体を掬い上げ
背筋に鼻先を埋めれば
滴り落ちる真水で濡れそぼる羽
愛すること ....
はだかんぼうな大銀杏の木
それでも寒々しさは微塵にもなくて
なんだか凛々しい
思わずさわりたくなって
てのひらで逞しい幹にふれてみれば
生きているんだ
木なんだから動きもし ....
ミロのビーナスは
両腕で僕を抱き締めようとして
両腕をきりおとされた
あの黄色い満月は
巨人が少しづつ月を食べて
そして初めて三日月になった
あの太陽は好きな人と目 ....
「鬼は外!福は内!」
節分になると そういう声も聴きます。
豆を蒔くのも 畑や庭に撒くぐらいのことでしたら
1年のうち1日ぐらいは と我慢もしてきました。
「福は内、鬼も内」と言う地 ....
{引用=
両の手で耳を塞いで
押し寄せる血潮の波の
遥か遠くの音を聴いている
真夜中に
わたしはわたしの体が
排除しようとするものを
いつまできつく
抱き締めているのだろう
....
ベランダにでて月をケイタイで撮るひとがいる
月のしたで勉強を誓うひとがいる
試験は春ごろだろうか
どこにゆけば
安定した幸福を感じつづけられるのか
天体はまちに住んでいる
オリオンがから ....
だきょう
だせい
どんづまり
1366×768ドットの檻の中で
ゆうゆうと座り込んだままの
気障な行分け文章
だみん
だつりょく
できそこない
TFTカラー液晶の眩い ....
{引用=へやがくらい}
かわいいお口を開けてりりかは考える
{引用=あのひとかえってこない
ぜんぜんだいてくれない}
埃をかぶったつぶらなお目目で考える
{引用=ふりむいても ....
みんな宇宙からもらった炭素でできている
みんな炭素の波動にすぎない
わたしは胃をこわしている
わたしは肝臓をこわしている
炭素がなにかの身代わりをしてくれている
炭素はた ....
子宮のなかをゆく精子のようだ
ちいさな粒子数千まん
どこへか一点へとむかってゆく
この風はいつも唐突に吹いてくる
心にでも命でも魂にでもなく
この風はいつも精神に吹いてく ....
ちょっと変な感じなんだ
この股間の疼きがね
僕は性欲が露骨に
股間に出るタイプなんだ
僕は大きさに
そんなに自信はないけれど
もし大きかったら
今すぐ君に声を掛けてみるのにな
二人 ....
{引用=
誰かが朝を呼ぶたびに
ひっそりと佇む夜は震えて
おびえる仔猫の背骨は軋む
もう少しだけ闇を含んだ唇で
触れられていたら
いたんで汚れた指先も
傷付けることはなかっただろう
....
カシオペアってどれだろう
懐かしい北斗七星は何処だろう
オリオンの一角も捉え得ぬ眼球は
地面に転がって冷えている
でも、宇宙はもっと寒いんだよ
?昭和の音?という玩具がある
夕景のフィ ....
琥珀色のサウンドトラックが、
頭蓋骨の内側を濡らしていく
すっかり皺が減り、ツルンとした私の大脳皮質
鼓膜までねじこむイヤホンや
タイムラインを流れる電子文字で
刻まれたものが薄れ、 ....
低いほうへ
もっと低いほうへ
流れていこうとする本音を
どうしたものかと
眺めるばかりの今日この頃
後ろ向きは
好きじゃありません
斜め上45度に向けた建前を
たまに誤 ....
知らない言葉を知ることは楽しい。
わたしの知らない世界でどんな言葉がリアルに使われているのか、体感出来るのは嬉しいし、大変なご馳走だ。
最近、「御作品」という言葉を知った。他者の詩に対し ....
ハーモニカの小さなキーホルダー
これ 読んでみない?
と
「クリームレ ....
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