埠頭から埠頭へとコンクリートと鋼鉄の道を手わたす
橋の下で
アキ缶を叩きつぶしながら
男たちがラアラア話をしていた
母音/子音
混ぜあわせたコトバが
まったく意味 ....
寒い時 防寒着をかしてくれた人が居た
都会の職場へ戻る夜行列車の戸口で
切符の予約をとらなかった甘い自分を悔い
朝まで立つ気で汽車に揺られるさなか
途中の まだ雪の見える駅から乗り込み
戸口 ....
待ちぼうけのカフェで
冷めかけた紅茶をもてあそぶ
スプーンのあてどなさ
間延びしたリビングで
戴き物のゼリーをふるわせる
スプーンの退屈
行きつけのファミレスで
カツとカレー ....
今日は歓迎会だったので
先輩が顔のきくバーというところに行ってきました
古典的というかなんというか
カウンターとボックスと通信カラオケ
カラオケは得点制 まあ
それはいいんだけど
得点に応 ....
ヘルスケアとヘルタスケルター似てると思う国
政治がない選挙屋ばかり 評論家が今日も斬る
平和のためゲンセンをカい 資源の眠る海
原理原則あとから決めて 先に予算組む
ダイジョーブ 根拠 ....
知らぬまに
むかえた春の
さくらの 花が散る
ただ、はらはらと
ほら、春かぜが みなもをはしる
みあげる橋のその下を
通りすぎる水上バスに きそいあい
少女のスカートを
ほんの少し ....
軽やかに街を吹き抜ける風が
まことしやかな君の噂を
僕の耳元で囁いていく
騙し絵もどきの日常の水路を
予定通り流されながらも
まだ僕はなくした鍵を探している
散り終えた季節に
....
胴体に日の丸をつけた飛行機が
滑走路から飛び立ってゆくのを見送っていた
まるでデジャヴュでもあるかのように
ものを書き
考えることをしてきた
だのに、なにも残って ....
限りなくなっていくのだ
地平っていう足場はもうなくなった
息できるけれどここは水中です、溺れます、泳げます
イメージは身体をさいていく
神様ー
なんて叫んでもだめ
一握りの空を降り ....
声ききたくなるのをがまんしている
きのう職場でいやなこと言われた
声ききたくなるのをがまんしているのに
いやなこと言われたこともがまんしている
きっとあなたもそうだったんだろう
ぼくにはそう ....
わからないから不安になるんだよね
好きなひとの心うちと
明日の空模様
開けてびっくりでは困るけど
あてにはならない春の天気予報を頼りに
ご機嫌いかがなんて訊ねてみる
わたしから ....
階段の灯りをLED電球に交換した
ちょっと薄暗いけど
四万時間の寿命だという
居間から二階の寝室まで
三十秒あれば昇りきるとして
電卓をたたいてみた
五十年は切れることはなかった
ぼ ....
クリストファー・ロビンはいつも女の子のように思えるのだった
ちいさな胸にはメルヘンを抱いていた
肩をおとすようにも祈るようにも描かれていた
世界は居心地のいいところではないようだった
100エ ....
プーさんはだれだったのか
おとなのぼくが思い出す
こどもの頃のぼくは
プーさんの頃のぼくだった
ロビンとぼくをプーさんが見つめていた
ぼくはロビンではなかった
プーさんだった
心象風景 ....
{引用=
朝露が、透明に落ちて、
ガラス玉、
ふりそそぐ、すべてのことに、
驚かないで
あの高台にたたずんで、
きみが眺めていたものがなんだったか、
それをたしかめるため ....
白く降り止まぬ豪雪に立ちつくし
枝は のしかかる重みにバリリと折れ
春の澄み切った青空の下
まるたんぼうになって
根はネズミにかじられ
もう売り物を実らせない
切り倒され処分される ....
{画像=110417051719.jpg}
足下の明かりを踏んでいる
私は歩いていた
その舗装された道では
所々に白い線が引かれ
アクセントとなって
景色が次々と切り替って ....
こだまでしょうか
いいえ、だれでも
せつない
かなしい
ないている
あいする
うそつき
ほんとつき
こだまでしょうか
いいえ、だれでも
頑張ろうと
肩にばかり力を入れても
腰はひけている
仕方がないと
諦め顔で薄笑いを浮かべても
目は出口を探している
雨のような運命を
受け止めるのは
傘ではなくて腹の真ん中 ....
薄曇りの空
昼の明度が低い
苛立ちを泡立てたような
街の雰囲気のなかを歩くと
泡に包まれた静電気が
渇いた頬にぱちぱち当たる
降るならば降ればよいのに
水の腐った匂いがする透明傘を片 ....
寒村にも桜が咲いている
老婆が田んぼをととのえている
大飯原発に向かっている
福島第一のまわりにも
かつて静かな時間がながれていた
田んぼのつぎの担い手は
いまどこ ....
まがいものに
きみは
こころほれて
まがいものに
きみは
いやいやをして
だけど、きいて。
しんじるということは
う ....
取り残されたみたいになって
みじめになって
ずっとひとりだった
そんな気持ちを
久しぶりに忙しなく味わっていた
こころの恐慌は
津波のように水位をあげて
無責任にふくれあがっていった
....
春がその鋏をもって髪を切り落とすことで
年月はまるで少女でした
幼さ故に軽々しい
その唄声は温い雨
弾むような花の手を
この手で掴む術もなく
彼女は舞台袖から飛び出すと
馬を駆っ ....
川面で光の魚がはねている
春と霞を点描で描くのはぼくではない
土手の並木の樹勢のなかを
グングンふくらみ育ってゆくもの
ふくらみみもだえて勢いを増してゆくもの
樹 ....
地震や原発の心配や不安より
育った町や仕事への帰属意識に
人は大義名分を感じてしまうようだ
人生で得てきた引き出しなど
育った町や仕事とくらべたら
まるで信用されていない ....
上澄みの中を泳いでいた
透明ではなく薄く白濁した温い水の中を
紅い尾鰭をゆらゆら振って
指差すふくみ笑いを払い退けて
腹の下に感じる見えない水底の冷たさに慄きながら
ゆるんだ流れに身をまかせ ....
{引用=――淋しい鳥の夢をみた、
あなたは一体誰ですか}
シーガル 夢をみたの
お前の心臓はとても温かかった
わたしとあわせるとちょうどぴったりして
シーガル 夢だと知りながら
お ....
110412
ふしだらな
感じやすい
企みを
ひそかに抱き
か細い悲鳴をあげて
かわは流れてゆく
拡がる景色の果て
外国船が汽笛を鳴らし
風が凪いだそ ....
道の遠くから
何やら呟き続ける男が歩いて来る
すれ違う瞬間
「答は{ルビ空=くう}だ、答は{ルビ空=くう}」
繰り返す呟きは背後に小さくなってゆき
遠ざかる彼の背なかも小さ ....
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