寂れた港町に居る
風が唸りを上げて
右の窓から
左の窓へと
飛び込んで来ては抜けて行く
部屋には何も無くて
退屈さえも無くて
何もない部屋の隅っこには無気力だけが転がっている
みんな、風が運んでし ....
キギの端緑にモエ出てソラ焦がす
神呼んで風ナギ倒すキギの幹
ゆらゆらと大空胚のイキをして
投句して波紋広がれ蓮池 濁
つぶやきは呪の声挙げる5・7・5
虚ろにてやって来るべき言葉待つ
七月は一艘の舟
僕らは詩の上で旅をする
オールは持たず自在にすべってゆこう
喜びも悲しみも傍らに従えて
まだ陽はあんなに高いのだから
指を浸せば波紋の向こうに
雲は流れ 陽はきらめ ....
水の中でしか
生きられないと
思っていた
日々
きみの
ゼリーの肌に最初に触れた せつな
素人の二人が 不器用に
一つになって
創造が始まった 夏 ....
駈けて
駈けて
君のもとへ
幾千の夢を経て
久遠の時
遥かな空
夕日に誓った
あの日の指切り
時は人を得て
人は時を経て
佇む影 ....
七夕なのに 今日は曇り
草いきれと湿った地面の匂いがする
(夏だ)
こっそり張られた蜘蛛の巣を
黙って許すことにした
いのち、を
思ったわけではないのだが
今日はこの国や
内包する宇宙にも
とりわけ関心が ....
朝靄の折々重なり薄紫に
ほのかに明るく心地よき
香りいづこより聴こゆ
水音の感ありて
寄れば俯く人影は
ゆるり振り向き穏やかに
微笑みたたえる女貴人の
後 ....
神の意志雨の降り止み意味に意味
雲流れ天上の者らと会話する
見晴らして煙る都市には乾いた知
そとは 篠突く
{ルビ=雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨}
{ルビ=雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨}
{ルビ=雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨 雨 雨} 雨
失うほどに ....
バーに行けば オーケストラが行き交う
饒舌なバーテンダーが指揮をとり
客は各々の楽器を手にする
銀行員の男性は総銀製のフルートを吹く
離婚歴のある女性が笑うようにピアノを叩 ....
月のひかりに近い
比重の
愁いが
瞳から溢れたとき
あなたはすでに
詩人であった
淡い湖に半身を浸して
何かを探し求め
深層に沈む
リングに手をのばす
ひと ....
{引用=
ハイビスカス
なき濡れる ハイビスカスよ 咲かないで キミに会えない 夏はいらない
「あいつって…」 噂話が 気になって ゆるゆる溶ける チョコレ ....
魔天
Ichiba 魔天市場ニュース
差出人:mephistopheles@maten.co.hell
宛先:詩人様
詩人様限定! エンジョイ・ライフ シークレット・キャンペ ....
ひとつの卵子に
星屑が飛びちって
僕は生まれた
宇宙の端っこで
ブランコを乗り回し
木星の周りを
飛行船でもうもうと
旅をし
月で出家して
僧になり
蓮の花 ....
{引用=幼稚園に通っていた頃
いつもポケットに手を入れている女の子がいた
僕はそれがどうにも気になって
幼い知恵を引き出して思いついたのが
ジャンケンだった
「ジャンケンしようよ」っ ....
追憶が虹を
否、追憶は虹/そのものだ
/追いかけても辿りつけない
否、それは俺/そのものだ
きのう死んだ俺は
きのう生まれた
正体はどこにある
追憶が虹を
否、追憶は虹/そ ....
皆さんは自分が生きているのは自分の意思で生きていると思っているでしょうか?
実は我々は自分の意思で生きているのではないのです。
その証拠にあなたは自分の意思で心臓を止められますか?
食物を食べた ....
○父
窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
君は交差点の角に座り込んだまま膝を抱えて石になる/呼吸する石の塊となる
行き交う人の波を見送りながら立ち止まらない世界を眺めている
思考だけで生きている君/無表情な哲学者
其処だけが別世界 ....
天使と菩薩の上澄みを飲む
「ユリシーズ」文芸室で白光下す
まず横に臥禅の奥儀まず横に
ぼくの存在は地球にしかない
あの青くてきれいな球体にしかない
夏の匂いのまま貼られたアフリカ大陸
ぼくの存在は
あの青くて半分影のあるあそこにしかない
月にはない
太陽にはない ....
端より 染まる
ひと刷け ひと刷け
うっすら
あかね終わるそらは るいるい
夏の夜に
開く
つくばう宵やみに
ゆかたの えりを
赤裸な
きみへの
ほてりが すべり落つ
....
渚を歩いていたときのことだ。
波打ち際に、細くなめらかな黒い曲線が描かれていた。
それは波の姿を象って視界の及ばぬ範囲へと延々と続き、
足元に目をやれば無数の点の集まりで、なにかの種を思わせ ....
縁日で
祖母が買ってくれた
空色の風船が
手のひらを
するりと抜けて
空高く舞い上がっていった
東の空へ流れていく
風ははるか上空
西から東へ吹いている
お日様と ....
人々は 互いの浅瀬に足を浸して
塩の水を汲み取っている
此処では誰もが 孤高で
ありながら共存している
互いの森で 迷いながら
不意に君は森を抜けて 一面の草地に ....
テキストに己遊ばせ長い夏
雨垂れが葉擦れの音を誘い出す
見渡せる地点に真紅の旗を立つ
陽の満ち満ちて虚のグラスに注ぎ込まれ
陽光の踊り始めて風の曲
緑陰や葉裏の透ける木にもたれ
{引用=
〜言葉なきイメージから湧き上がる芸術的言語〜
}
■境界に立ち竦む ということ
常々、『物事の境界に立ち竦む』必要と、その重要性を感じてきた。
その境界とは、善と悪 ....
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