モラトリアムの
透明な壁伝いに歩いていたら
いつの間にか
歪な円運動を繰り返していた
足を上げると
そこに階段が出来上がり
振り返れば
過去が螺旋状に積み重なっていた
同じ ....
タイから帰ってるはずのカワバタから連絡がなかった
カワバタを想うと滝の音と満月が濃くなった
さいきん心癖のように思うことがある
カワバタが独身だったらあたしはユキオと別れているのだろうか
....
ゴールデンウイークはパチンコ三昧にした
お盆をとらない代わりに休みをすべて貰えた
市内のホテルにユキオと合宿をはりそこから毎日パチンコを打ちにいった
ちいさなころ町じゅうのパチンコ屋にお母さ ....
あなたと私の魂の頬ずりは
凝り固まった二人の心を解かしていく
それは氷が解けて板の上を流れていく
そんな さらっとした風ではな ....
久かたぶりに訪れた渋谷センター街
取り壊し中の建物とかあったりして何となく余所よそしさを覚える
平日の昼間ってこともあるのだろうけど
チーマー、ガングロな人びと
そして神話の国の神話な ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
雨が似合う日に
とっておきの
憂鬱を着て
雨が似合う道を
お気に入りの
傘をさして
雨が似合う花に
こっそり
逢いにいく
雨が似合う人には
なかなか
なれそうにないけれど
もう雨は
嫌いじゃ ....
100612
晴れたので
トロンボーンを吹く
トランペットだと
昨日の人が泣くのだ
夏が来たと騒ぎだし
夜の石を捜し出す
晴れたので
....
眩むように
ひそやかで
賑わうように
うら寂しく
微かに浮き立つ
輪郭を描写するような
凝縮された時間の果ての
雪洞にも似た夜の入口に導かれ
僕は
記憶の中、
遠くか ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような
元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
....
ゼラチンで固めたはずの
歯ごたえのない決意は
なまくらな陽射しに
もう溶けかけている
サイドブレーキをかけたはずの
座りの悪い忍耐は
他愛ない傾斜に
もう転がり出している
....
遠い風/海の凪
光の海/遠い風
潮騒を割り溢れ出る光の帯
遠く海を渡るカモメが一羽
君のもとへ早く
焦らずに帰ろう
遠い風/海の凪
もう陽がしずむ
曖昧になる境界
遠い海 ....
あなたの瞳にうつるものが
どんなにあなたを悲しくしているか
どれほど考えてもわかりません
あなたの背中がいったいなにを
どれだけ背負ってそんなにも
淋しく見えるのかわかりません
け ....
カワバタの車のなかでヨシミはこのまえ見た小鳥とカラスの話をした
お父さんが山で汲んできた水をポリタンクに入れてお母さんに持ってゆくのだった
まだかわいてねえな、
さんざんドライヤーで乾か ....
象が一匹いなくなった。いつも母象に寄り添
っていた子象がいなくなった。祖父の魂を斎
場から河原へと運びに行っているうちに、行
方が知れなくなった。魂の流れに誘われたの
だろうか。母象は何もなか ....
天使と間違えられた悪魔が
今まさに翼を拡げて地上を去るところでした
人々の彼への愛は(またはその逆も)確かだったはず
なのに彼の血が自分達と違うのを見ると
一同揃って鍋に蓋を閉めました
....
降り止まぬ雨はないっていうけど
それで地固まったのかな?
多摩蘭坂から見上げる雨上がりの夜空は
満天の星降るって感じには程遠くて
やっぱ悔しいけどそれが現実なんだよね
それでも、 ....
相殺しきれなかった存在があたしたちだと思った
相殺されずにのこってしまったのがあたしたちの存在
お父さんのためだけに無駄になるかも知れない晩ご飯をつくっていた
ヨシミはユキオとカワバタど ....
重い雨が降っている
重い水が降っている
土くれになるはずの肉塊を
池に沈めれば
浮かんでくるのは
感覚のない 時の澱
「君ばかりが悩む必要はないんだよ」
背負い込んでいるのは ....
厳格な直線と
流麗な曲線で構成された
コンクリートは
お好きですか?
清潔な時間と
快適な空間が約束された
コンクリートは
お好きですか?
過剰な郷愁と
曖昧な体温を排除する
コンクリートは
お ....
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた
わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから
おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
....
うたいながら空をみあげ
雲のあいまいなかたちの心象
いちまいの絵をみる
あおい空としろい雲のありきたりの事実
ドイツ語でぐーてなはっと
バッハがつぶやきう ....
牛です私決めました出産ですお立ち会いのもと牛です私牛です出産です決めましたお立ち会いのもと出産します牛ました私です決めました私牛を出産します。
産まれました
白と黒の牛は仔牛と呼ば ....
噛み付いた歯の先から、刺激
微笑みの国タイランド
とにかくひどく蒸し暑くて
立っているだけで背中を汗がつたう
ホテルの側で借りた自転車には
鹿児島県の防犯登録証が張り付いていた
....
拳を握り立つ女の背中の弓が跳躍する
大地のステップをくぐり抜け
夕映え瞳の奥
火燃ゆるその矢が到達すべき心臓へと導かれ
まさに射抜くのを誰もが目撃した
唇は乱れひとつなく
確信が彼女の ....
山奥の針葉樹林で生まれた
朝露のひとしずくは
無数のひとしずくと共に
苔や羊歯の間を縫って
ひたすら傾斜に従う流れになった
渓谷では
無邪気にはしゃいで
いたずらに透き通って
....
何もない日が不安なのは
僕の心がゆれているからだ
縛られたい
アンカーが欲しい
ユラユラゆれ続けて
何処までも流れていくから
空の青さにさえゆらいで
昼休みにあてもな ....
かつて若者と呼ばれた者ども
シェミハザの血を受けつぐ我々の
集う先は彼の山にある
神でも徳にでもなく
己の名に背を向けた
かつて若者と呼ばれた者ども
子を持つことが許されるなら
せめ ....
休日の午後
息子と散歩した
飛行機を空に見つけて
あんなに飛んで
どこまで行くんだろう
と息子が言った
西の空を見ては
あそこに夕方みたいなのがあるよ
と僕に教えてくれた
....
*一時限目 数学*
美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く
カリカリカ ....
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